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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第二十章 狭まる包囲網

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第2話 聞こえる声と見えない姿

「おかしいのう? たしかにわらわを呼ぶ声が聞こえたと思ったのじゃが」


 ルリが顔を傾げながら辺りを見渡すが、二人以外の人影は見当たらない。彼女の様子を不思議に思った瑛士が、声をかける。


「ルリ、どうしたんだ? 何か探し物でもあったのか?」

「わらわを呼ぶ声がしたような気がするのじゃが……ご主人には聞こえておらんのか?」

「お前を呼ぶ声がするだと? ちょっと待てよ」


 ルリの話を聞いた瑛士が耳を澄ました時だった。


「あそこにいるのはルリ様たちだよね? おかしいな、見間違えていないと思うんだけど……」

「俺にも聞こえたぞ!」


 瑛士の耳に消え入りそうに呟く男性の声が聞こえ、思わず声を上げる。すると、目を輝かせたルリが嬉しそうに話しかけてくる。


「そうじゃろ! やっぱり空耳ではなかったのじゃ!」

「ああ、間違いないな。でも……どこにいるんだ? 人影は見当たらないんだが……」

「そこなんじゃよ。わらわも先ほどからずっと探しておるのじゃが、なんでじゃろうか?」


 ルリと一緒に瑛士が周囲を見渡すが、声の主と思われる人影は一切見当たらない。不思議そうな顔をして二人が探していると、少し離れた位置にいた音羽が笑みを浮かべて話しかけてくる。


「ふふふ、二人ともお困りのようね? 私の力を貸してあげてもよろしくてよ」

「音羽……ふざけてる場合じゃないんだが……」


 上から目線で声をかけてきた音羽に対し、瑛士が呆れた様子で答える。


「ひどいわ。私はこんな簡単なトラップを()()()()()瑛士くんに、力を貸してあげようかと思っただけなのに」

「つくづく棘のある言い方だな……誰がお前の力を借りてまで……」

「音羽お姉ちゃん、さすがなのじゃ! 是非とも教えてほしいのじゃ!」


 音羽の態度に苛立った瑛士が腕を組み、左手で払おうとした時だった。彼の言葉を遮って前に出ると、目を輝かせて声を上げるルリ。


「あ、ルリ! 人が話しているときに割り込むなって言っているだろ」

「ご主人、意地を張りたい気持ちはわからんでもないが……今はそんなことを言っている暇はないじゃろ。わらわたちでは解決方法が見つかっておらんのじゃし」

「いや、まだ見つけていないだけだ! 何かきっと見落としているだけで……」


 意地になって答える瑛士を見て、ルリが大きなため息を吐きながら話しかける。


「ご主人、音羽お姉ちゃんに負けたくないという気持ちはわかるのじゃ。しかし、物事はいろんな視点から見るために、教えを乞うということも必要なのじゃ」

「……」

「何でもないときであれば様々な検証を出来るじゃろう。しかし、他の人間が閉じ込められておる可能性も否定できん状況じゃ。変な意地を張らず、皆で協力するのが最善策じゃと思うのじゃ」


 ルリの口から思いもよらぬ正論が飛び出し、ぐうの音も言えず黙り込んでしまう瑛士。その様子を見ていた音羽が感心した様子で声をかけてきた。


「ルリちゃん……素晴らしいわ! いつの間にそんな卓越した思考力を身につけたのかしら……」

「ふふふ、今までのわらわとは違うのじゃ。人は過ちから学んでいかねばならぬのじゃ」

「間違いないわ……人としても大きく成長しているのね、ルリちゃん」


 胸を張って答えるルリの姿を見て、目に涙を溜めて感激している音羽。そんな二人の様子を見た瑛士が、思わずツッコミを入れる。


「ちょっと待て! 当たり前のことを言っているだけでなんでそこまで感動してるんだよ! そもそも、音羽がバカにしたような言い方をしてきたのが問題だろうが!」


 瑛士の叫びが響くと、盛り上がっていた二人が冷めた視線を向けながら口を開く。


「ご主人……何をムキになっておるのじゃ?」

「そうよ。なんでそんなに怒っているの?」

「お前らな……言っていることとやっていることが全然違うだろうが! だいたい閉じ込められた人がいるかもってどこにいるんだよ?」


 苛立った瑛士が声を上げると、両手を左右に大きく動かす。たしかに彼の言うように周囲には人影などなく、そびえ立つ迷宮以外には目立った物は見当たらない。すると、額に手を当てた音羽が大きくため息を吐くと話し始める。


「はぁ……瑛士くん、まだわかってなかったのね」

「何がだよ、何の変哲もないいつもと変わらない景色だろうが」

 言葉を聞いた瑛士が音羽を睨みながら話し掛けると、音羽は顔を横に振って答える。

「さっき呪われた(ツイステッド)子供たち(・チルドレン)と戦ったでしょ? あの影響がまだ残っているみたいなのよね……」

「は? そんなことがあるわけ……いや、もしかして空間が歪んでいるのか?」

「空間が歪んだというか魔法の残渣と言ったほうがいいのかもしれないわね。私たちは魔法を使う側だから何ともないけど、もしかしたらヤツが仕掛けた結界とかの中に閉じ込められているのかもね」

「そういうことか。でもどうするんだ? 何が仕掛けられているかわからないぞ……」


 話を聞いて深刻さを理解した瑛士が苦虫を嚙み潰したような顔で答える。すると、無言で刀を取り出して、構えを取る音羽。


「音羽、何をするつもりだ?」

「成功するかどうかはわからないけど、物は試しって言うでしょ?」


 言い終えると目を閉じて精神統一を始める。そして小さく息を吐くと目を開き、刀を横一線に薙ぎ払う。すると、今まで普通に見えていた空間がゆっくり左右にずれ始める。


「マジかよ……」


 目の前で起こったことに瑛士が呆然としていると、笑みを浮かべた音羽が声を上げる。


「まだ終わりじゃないわ、一気に決着を付けるわよ!」


 再び刀を構えて空間を睨みつける音羽。

 そして三人はこの直後、驚愕の光景を目にすることとなる……

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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