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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
幕間⑱

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閑話⑱-1 ルナと翠の作戦会議③

 瑛士たちが玄関で大騒ぎしている様子を小屋の日陰からルナが伺っていた時だった。


「ねえねえ、ルリお姉ちゃんたち何しているんだろ? 大きな遊び場にはまだいかないのかな?」

「うーん、なんとも言えないが……って、何で翠が()()()()()んだよ!」


 突然聞こえた翠の声にびっくりしたルナが振り返ると、顔を傾げた翠が背後に立っていた。


「え? なんでって?」

「何でじゃねーよ! さっきまで音羽姉さんと一緒にいただろ!」

「あー! まあ、細かいことはいいじゃん」


 あっけらかんと話す翠に対し、耳が垂れ下がると項垂れてしまうルナ。


「……あっちにいるのは誰なんだ……? それもだけど、ご主人たちもなんか揉めてるしな」

「えーそうなの? ここからだと三人で楽しそうに遊んでいるようにしか見えないよ。ずるい!」

「……何をどう見たら遊んでいるように見えるんだ……」


 隣で頬を膨らませている翠を見て、大きなため息を吐きながら話しかけるルナ。


「えーだって、音羽お姉ちゃんもルリお姉ちゃんも笑ってるよ?」

「いや、まあ、そうなんだが……どう見ても瑛士のヤツは怒り狂ってるだろ……」

「むー! そんなことはどうでもいいの! 早く遊びに行きたいから呼んでくる!」


 我慢の限界に達した翠が三人の元へ走り出そうとした時だった。咄嗟に首根っこに噛みついて、ルナが必死に止める。


「ねー離してよ! 約束を守らないのはいけないことだって言わないと!」

「お前が飛び込んでいったら余計にややこしくなるだろうが! ほら、あれを見てみろ!」


 必死に叫ぶルナの声を聞いて、玄関に目を向けた翠。視界に飛び込んできたのは、奇妙な格好で静止している瑛士の姿だった。


「あれ? 瑛士兄ちゃんが変なポーズのまま動かなくなっちゃった」

「ああ、音羽姉さんが読書魔法で止めたんだろうな。何があったか知らんが、ご主人に飛びかかろうとした罰だ」


 大人しくなったことを確認して噛んでいた首根っこから離れると、胸を張って誇らしげに話すルナ。すると翠が顔を傾げながら声を上げる。


「ふーん、あの程度の魔法ならすぐに()()()()()けどね」

「は? すぐに解除できるだと?」

「うん。だって魔法術式が穴だらけだし、構造もところどころ弱いんだよね」

「……お前は何を言っているんだ?」


 言っている意味がわからず、ルナが呆然としていた時だった。立ち上がると体を伸ばしてストレッチした翠が、目を細めながら話しかける。


「あー絶対ルナさんは信用してないでしょ」

「まあ、魔法構築が未熟なのはわかるが……仮にも読書魔法だぞ? そう簡単に解除できるもんなじゃないだろ」

「そんなことないよ。ルリお姉ちゃんが掛けた魔法だと、隙がなさすぎて難しいけれど……」


 満面の笑みを浮かべて話す翠を見て、なんとも言えない表情で言葉が出てこないルナ。


(いやいや、ご主人が掛けた魔法を解除するなんて絶対不可能なのはわかる。だけど、瑛士のヤツが引っかかったのも、未熟とはいえ見様見真似でできる代物じゃないぞ……しかも、この魔力反応は音羽姉さんだし……)


 玄関を見つめていたルナが考えを巡らせていると、何かを思いついた翠が声を上げる。


「そうだ! 瑛士兄ちゃんの魔法を解除したらきっと褒めてもらえるよね? それにすぐに大きな遊び場にもいけるはずだし……ちょっとやってきてもいい?」

「いやいや! ちょっと待て!」


 眩しいくらいの笑顔で声を上げて、今にも走り出そうとする翠の首根っこに噛みつくルナ。


「もールナさん、何するの? 邪魔しないでよ!」

「お前はもうちょっと落ち着いて物事を考えろって……どうやらご主人たちが配信をしながら、何か考えてるみたいだぞ」


 首根っこに噛みついたまま、器用に話しかけるルナ。身動きが取れず、不貞腐れた様子の翠が答える。


「配信まで始めていたの! ずるい! みんなと一緒にお話したい!」

「落ち着けって。この後、迷宮に行ったら配信もするだろうし、みんなとたくさん話す機会も増えるだろうからさ」

「そうなの? でも、それまでずっとここで待っているのはつまんないよ……お出かけするって聞いていたから、お散歩も行かなかったのに!」


 再び頬を膨らませて手足を動かしている翠を見て、大きなため息を吐きながら項垂れるルナ。


「気持ちはわかるけどな……でも、あの三人が動くと、ほぼ毎回何かしらのイレギュラーはつきものだから」

「それはわかってるの! みんなで一緒に遊びたいの!」


 イライラが頂点に達し、翠の怒りが爆発しかけた時だった。突然、地面が揺れ始めて空に黒い雲がいくつも現れ始める。


(げっ、なんかまずいことが起こりそうな気がしてきたぞ……翠から奇妙なオーラが出始めてるし……ご主人たちが気がつく前になんとかせねば……)


 翠の体から黒い霧のような物がにじみ始めた時、ルナが咄嗟に話しかける。


「翠、ちょっと話を聞いてくれないか?」

「なに? 我慢しろって言われても無理だからね」

「いや、このまま待っていてもつまらないからさ。翠がいつも歩く散歩コースを教えてほしいなと思ってな」


 ルナの提案を聞き、溢れ出していた黒い霧が一気に消え、翠が目を輝かせながら話しかける。


「え? ルナさんも散歩に行きたかったの?」

「ああ、ご主人たちはまだ掛かりそうだしな。たまには翠と二人で歩くのもいいかなって思ってさ」

「やった! とっておきのコースを教えるよ!」

「ありがとう。だけど、あまり遠くに行くとご主人たちが心配するから……ほどほどで頼みたいのだが」

「大丈夫だよ! 瑛士兄ちゃんの魔法が解けたらすぐわかるし」


 笑顔で答える翠の言葉を聞いて、ルナが引っ掛かりを覚える。


(魔法が解かれたらすぐわかるってどういうことだ? 術者は音羽姉さんだろ?)


 ルナが眉間にシワを寄せて考えていると、いつの間にか敷地の出入口に移動していた翠が大声で呼びかける。


「ルナさーん、何をしているの? 早くいくよ!」

「ああ、すぐ行くからちょっと待ってくれ」


 慌ててルナが駆け寄っていくと、元気な声を上げる翠。


「それじゃあ出発!」


 玄関から響き渡る三人の声を聞きながら、その場を離れていく翠とルナ。



 翠が言っていた「魔法が解除されたらすぐに分かる」と言う意図を、ルナは嫌と言うほど思い知ることになる――迷宮攻略の最中に……

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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