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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第十八章 再オープンと不穏な影

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第5話 ついに出発できる……のか?

「さてと……みんな準備はできたか?」


 玄関で荷物を持った瑛士が家の中へ問いかけると、奥から二人の人影が現れる。


「準備万端なのじゃ! さあ、わらわの神がかった伝説が幕を開けるのじゃな!」

「お前が張り切るとろくなことが起こらないからな……ほんと慎重に動いてくれ、ルリ」

「むっ、聞き捨てならないのじゃ。わらわがいつ失敗したというのじゃ!」

「自分の胸によーく聞いてみろ……」


 ふてくされたように頬を膨らませ、そっぽを向くルリ。その様子を見て額に手を当てて大きくため息を吐く瑛士に対し、静かに見守っていた人物が声をかける。


「今のは瑛士くんの言い方がよくないわよ」

「じゃあどうしろっていうんだよ……毎回被害にあうのは俺なんだぞ、音羽?」


 瑛士が苛立ったような視線を向けたのは、黒いゴスロリ服を着て頭に狐のお面をつけた音羽だった。


「そんな……瑛士くんがいつも進んで()()になっていると思っていたのに……」

「ちょっと待て、どうしたらその認識になるんだよ?」

「え? だってか弱い女の子を守って痛めつけられるのは、男性にとってご褒美なんでしょ?」

「何でそうなるんだよ!」

「有名な()()があるじゃない。『我々の業界ではご褒美です!』って知らないの?」

「知りたくねーよ!」


 瑛士の絶叫が玄関に響き渡る。その言葉を聞いた音羽は、両手を握りしめると口元にあてて上目遣いで訴える。


「でも~私も万が一のことがあるかもしれないし、守ってくれる……よね、瑛士くん?」

「いや、音羽に限ってはその心配は皆無だろ……」


 猫なで声で訴えかける音羽に対し、思わず本音を漏らす瑛士。しかし、すぐに失言だったと気が付くがすでに手遅れだった。


「へえ……私のことはどーでもいいってことなんだ……」

「あ、いや、そういうことじゃなくてだな……」

「いいのよ。迷宮内では自己責任が基本だもんね……」


 俯くとスカートのポケットから棒状の機械を取り出す音羽。


「音羽さん? いつの間にか右手に握られている機械はいったい何でしょうか?」


 謎の機械を見て、恐る恐る問いかける瑛士の額から一筋の汗が流れる。


「これ? ネットで見つけたんだけどね、護身用のビームサーベルらしいの」

「なんでそんな物騒な物が売っているんだよ!」

「普通にヤプーオークションで出品されていたわ。ちょっとお値段は高めだったけど、性能はすごいのよ。岩でもなんでも切れないものは存在しないって書いてあったの」

「いやいや、いろいろまずいだろ! ってか、オークションで売っていること自体どうなんだよ!」


 右手を指さしながら必死にツッコミを入れる瑛士に対し、不思議そうに首を傾げる音羽。


「何かおかしなことでもあったかしら?」

「ツッコミどころしかないだろうが! そもそもビームサーベルなんて映画の世界でしか存在しない代物だろ……」

「瑛士くん、気持ちはわかるわ。私も最初は騙されたと思ったんだけど、実際に使ってみたら結構ちゃんとしたものよ」

「……」


 話を聞いていた瑛士が言葉を失ったまま固まると、得意げな表情で右手を体の前に突き出す音羽。そして、柄についている緑色のボタンを押すと、黄緑色の光を放つ刀が現れる。


「ははは、面白いおもちゃだな。柄の中にライトが仕込まれていて、光を放っているんだろ? ずいぶん子供だまし……」


 笑みを浮かべた瑛士が話しかけると、音羽が無言で真横に剣を振り抜く。すると下駄箱の上に置かれていた花瓶が斜めに切れ、ゆっくりずれ落ち始める。


「……」


 その光景を目の当たりにした瑛士が、目を見開いたまま固まってしまう。すると、切れ味を横目で確認した音羽が感心した様子で口を開く。


「うん、切れ味はまあまあかな」

「ちょ、ちょっと待て! なんで花瓶が真っ二つに切れているんだよ!」

「え? だから言ったじゃない。オークションで買ったビームサーベルだって」

「そういう問題じゃねーよ! そんな危なっかしいものが普通にあるオークションってありえないだろうが!」


 我に返って大声で訴えかける瑛士に対し、呆れたような表情で話しかける音羽。


「だから言ったでしょ? 本物だって。あんまりにも信じようとしないから実演したまでよ」

「……ありえないだろ」


 言葉を聞いて呆然と立ち尽くす瑛士に対し、二人のやり取りを黙ってみていたルリが口を開く。


「音羽お姉ちゃん、ずいぶん面白いものを手に入れたのじゃな! 護身用としてこれ以上ない武器なのじゃ」

「でしょ? 私もこんな掘り出し物が出てくるとは、予想外だったわ」

「そうじゃのう。わらわも面白そうな武器が出品されてないか、探してみるのじゃ」

「そうね。外の世界にはモンスターだけじゃなくて、他の危険もいっぱいあるからね。やられる前に殺ったもん勝ちよ!」

「あほか! なんでお前らの脳内はいつもデッド・オア・アライブの選択肢になるんだよ!」


 笑顔で語りあうルリと音羽に対し、大声でツッコミを入れる瑛士。


「どうしたのじゃ、ご主人? そんなに叫んでばかりでは、迷宮攻略の前に力を使い果たしてしまうのじゃ」

「そうよ、もっとリラックスしないと。お楽しみはこれからなんだから」

「誰のせいでこうなったと思っているんだよ!」


 再び瑛士の絶叫が玄関に響き渡る。その様子を見て、顔を合わせると思わず吹き出して笑いだすルリと音羽。


「あはは! 本当にご主人は面白いのじゃ!」

「ほんとね、瑛士くんをからかうのは飽きないわね」


 お腹を抱えて大笑いするルリと音羽を見て、鳩が豆鉄砲を食らったような顔で固まる瑛士。

 この直後、二人からネタ晴らしをされて再び叫び声をあげると――まだ彼は知らなかった。


 ――迷宮攻略再開まで残り二時間――

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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