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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
幕間⑰

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閑話⑰-4 白髪の少年と研究チーム

 意味深な言葉を聞いた紀元は、先ほどとは打って変わった真剣な声で雫に聞き返す。


「機械と話しているような感じ……なにか引っかかるな……雫、お前が案内した少年のことをもう少し詳しく教えてくれないか? 見た目とか話した感じとか」

「うーん……どんな感じだったかって言われても、ほとんど話はしてないし……」


 真剣な表情で問いかける紀元に対し、腕を組みながら困ったように答える雫。


「そういえば……違和感があるといえば、感情がないと言うか他のことにまったく興味を示さなかったんだよね。人って知らないところを歩くときって、周りの状況を把握しようとするじゃん。どんな場所かとか、目印になりそうなものを無意識に探すと思うんだ。でも……視線は前を向いたままだし、他の社員さんとすれ違っても目を合わせようともしなかったよ」

「そうか……その話だけでも違和感がありすぎて怖いな……」


 話を聞いていた紀元の表情が更に険しいものに変わった時だった。何かを思い出したように手を叩いた雫が口を開く。


「あ! そうそう、研究チームの人かな? 白衣を着ていた人はなぜか顔を背けて、足早に去っていったんだよね。こっちが挨拶してるのに、気まずそうな顔してさ! 別に変なこと言っていないんだけど、なんでだろ?」

「白衣を着た人間が顔を背けただって? いや、ちょっと待て……雫、今の話は本当か?」

「嘘を言ってどうするのよ。本当に気分悪かったんだから! 最初は笑顔で『お疲れ様』って言ってくれたのに、すぐに顔を引き攣らせて逃げていったんだよ? 信じられない!」

(……研究チームのヤツラは一体何に怯えているんだ? 白髪の少年がいたら違和感があるのはわかるが……)


 話を聞いていた紀元が眉間にしわを寄せながら考え込んでいると、少し苛立った雫が話しかける。


「悟兄さん、ちゃんと聞いてるの? 本当にムカついたんだから! こんな可愛い女の子を見て、逃げるってひどくない?」

「お前な……自分で可愛いとか言うなよ……」

「え? なんで? そりゃ芸能人には勝てないけど、素材は悪くないわ。スタイルも顔も良いほうだと思ってるし」

「その自信はどこから来るんだよ……外見は悪くなかったとしても、お前の場合は中身が問題だろ」

「は? それはどういう意味よ! こんなに性格も良くて一途なのに!」

「……たしかに一途だが、いろいろ歪み過ぎなんだよ……」


 頬を膨らませながら怒る雫に対し、額に手を当てて大きなため息を吐く紀元。本人が言うように大学の時に開催されたミスコンでは、毎回最終候補に残る実力はあった。しかし、彼が指摘したように性格面の癖が強すぎて、浮いた話は一切聞いたことがなかった。


「悟兄さんが何を言っているのかさっぱりわからないわ。周りの人間が見る目がなさすぎるのよ! あ、でも私には心を奪われた人がいるから」

「……別にチヤホヤされる必要なくねーか?」

「それとこれとは別なのよ! まあ、女の気配すらない悟兄さんにはわからないと思うけど」


 品定めするように上から下へ視線を動かしながら、バカにするような声を上げる雫。


「はぁ……そうですか。俺のことはいいんだよ……もう諦めてるから」

「そうよね。学生時代に女の子に想いを伝える前に玉砕して、トラウマになってんだもんね」

「な、なんで知ってるんだよ!」

「女の情報網を舐めないことね! まあ、弱みの一つくらい握ってないと……困った時に助けてくれないでしょ?」


 目を見開いて驚く紀元に対し、怪しげな笑みを浮かべながら話しかける雫。


「……ぐぬぬ、何が目的なんだ?」

「それは秘密です。あ、そろそろ業務に戻らないと定時で帰れなくなっちゃう。そういうことだから……これからもよろしくね。悟兄さん」

「あ、ちょっと待て! まだ話は終わってない!」

「あ、そうそう……変な行動起こしたらーー兄さんの()()()を全部博士に話すからね」

「な、お前それは!」

「じゃあ、バイバーイ」


 必死に呼び止めようとする紀元を無視して、笑顔で会議室をあとにする雫。扉が閉まる音が響くと、室内に静寂が包み始める。


「はぁ……アイツは一体何がしたいんだよ」


 近くにあった椅子に倒れ込むように腰掛けると、大きなため息を吐く紀元。ゆっくり目を閉じると先程の会話を思い返す。


(しかし、研究チームのヤツラは一体何を考えてるんだ? たしかに不気味な少年が歩いていたら気味が悪いのはわかるが、そんなに忌み嫌うような要因がどこに……)


 顔を両手で覆い、椅子にもたれ掛かるように背筋を伸ばした時だった。


(いや、待てよ? 白髪の少年に機械のような受け答え、研究チームのあの異様な怯え方――共通点が多すぎる。以前、モニタールームで遭遇した薄気味悪い子供たちと――ソックリじゃないか……?)


 脳内に電流が駆け巡ると全身の力が抜け、ゆっくり目を開くと自然と笑いがこぼれ始める。


「ははは……そういうことか! もし俺の仮説が正しければ……」


 紀元の止まらない笑い声が会議室に響き渡る。

 彼の立てた仮説と飯島と行動をともにする少年たちに、どんな関係があるのだろうか?

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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