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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第三章 新たな災難の襲来

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第6話 盗聴器と謎の襲撃者

「ど、どういうことだ? 魔法を使った盗聴だと?」

「うむ……しかも巧妙に隠蔽されておるんじゃ。ご主人には感知されないよう、何重にもプロテクト魔法がかけられておる」

「ありえないだろ……魔法を使えるやつがいるわけが……」


 否定しようとしたところで、瑛士の言葉が詰まる。そのまま右手を顎に当てて、黙り込んだ。


「ご主人? 何か思い当たることでもあったのか?」

「ちょっと待ってくれ。何か大事なことを忘れているような気が……」

「そうか。じゃあ思い出すまで、わらわはアイスでも食べながら待つとするかのう?」


 悩む瑛士を横目に、ルリはアイスを取りに行こうとした。


「おい、盗聴器が仕掛けられているんだろ? 勝手に戻って大丈夫かよ」

「ん? 別に爆弾が仕掛けられているわけじゃないのじゃぞ?」

「たしかにそうだが……俺が思っている人物が犯人なら、何をしでかすかわからないぞ」

「ほう? 割と早く答えに行き着いたようじゃな?」


 言葉を聞いたルリは感心したような表情になる。その様子を見た瑛士は、ため息をつきながら答えた。


「なんで毎回お前は上から目線なんだよ……」

「まあ、細かいことなんぞ気にしないことじゃ。可能性のある人物とは、いったい誰なんじゃ?」

「可能性として考えられる人物は二人いる。一人は『ディバイン・カンパニー』の研究所を牛耳っていた所長代理。やけに読書魔法と俺に執着していたし、本社で統括部長をしていた俺の親父とも、かなりの確執があったと聞いている」

「ふむ……可能性としてはあり得るな。お父上とも因縁があると考えれば、妥当な線じゃ」

「もう一人は、俺の幼馴染である音羽だ。俺が研究所から病院送りになった時、真っ先に駆けつけてくれたんだが……妙なことを言っていたんだ。『瑛士くんは何も心配しなくていいよ。あの女狐は必ずこの手で仕留めてくるから……』ってさ」

「なるほど……ご主人としては、どちらが怪しいと考えるのじゃ?」


 話を聞き終えたルリが瑛士に問いかける。すると、腕を組んだまま難しい顔で考え込む。


「どっちが、って言われると……二人ともなんだよな。アイツらは目的のためなら手段を選ばないから。そういえば……音羽が妙なこと言っていたような気がする」

「なんじゃと? 幼馴染殿は何と言っておったんじゃ?」

「はっきりとは聞こえなかったんだが、魔法がどうとか言っていたような気がするんだよ。でも、アイツは魔法を使えるわけが……」

「その可能性はあり得るぞ!」


 瑛士の言葉を遮るように、ルリが強く言い切った。


「まさか……音羽は一般人だぞ?」

「それでは聞くぞ? なぜ研究所の存在を知っておったのじゃ?」


 ルリの鋭い指摘に、言い返す言葉がなくなった。なぜなら、『ディバイン・カンパニー』は表向きは医療機器と化学薬品を製造・販売している会社であり、研究所の存在は限られたごく一部の関係者にしか知らされていない。部外者がたどり着こうにも、何重にも施されたセキュリティを突破する必要があり、ネズミ一匹侵入することさえ不可能と言われていた。


「それは……音羽の両親もディバイン・カンパニーの社員だったからさ。たしか、研究所に出入りできる人間だったと思う」

「そうか。しかし、いくらご両親が関係者であったとしても、幼馴染殿は違うじゃろ? 部外者が知る手段はないはずじゃ」


 ルリの指摘に、再び瑛士は言葉に詰まる。彼自身も囚われていたとはいえ、研究所の場所や構造などはハッキリ覚えていない。金髪の少女が運ばれてきた、あの部屋以外は……


「ご主人。今から話すことは、相当なショックを受けるかもしれん……が、聞く覚悟はあるか?」


 覚悟を決めた表情で、迷いのない視線を向けるルリ。有無を言わさぬ圧力に、瑛士は無言で頷くしかなかった。


「おそらく幼馴染殿は、ご主人と同じ“読書魔法”の使い手じゃ。それも、相当な手練れじゃぞ」

「うそだろ……音羽が? そんなバカな……」


 ルリが放った結論に、瑛士は驚き、言葉を失ってしまう。そんな彼の様子を気にかけることなく、ルリは淡々と話を続ける。


「おそらく研究所を襲ったのは、幼馴染殿で間違いないじゃろ。先ほどの断片に残っておった記録から、一人の少女が本を片手に暴れ回る様子が見えたのじゃ」

「……」

「武装した研究員もおったようじゃが、太刀打ちできるわけがない。あっという間に制圧していったみたいじゃぞ」

「俺以外に読書魔法が使える人間がいた……のか……しかも、音羽が……じゃ、じゃあ、研究所から俺を助け出したのは?」

「それはわからん。わらわの持つ記録には、笑顔で制圧する様子しか残っておらん。まあ……迷宮に散らばる欠片が集まれば、何かわかるかもしれんがな」


 言い終えると、小さく息を吐き、空を見上げるルリ。その様子を見た瑛士が残念そうな表情で声をかけようとした、まさにその時だった。


「ご主人、危ないのじゃ!」


 ルリは飛びかかるように瑛士へ抱きつき、その勢いのまま地面に倒れ込む二人。すると、先ほどまで二人が立っていた場所に閃光が走る。そして、轟音と共に焼け焦げたような匂いと土煙が周囲に立ち込めた。


「ルリ、大丈夫か?」

「わらわは無事じゃよ」

「良かった……いったい何が?」


 地面に倒れ込んだまま困惑する二人の元へ、襲撃者と思われる人物の声が響く。


「あーあ、避けられちゃった。ざんねーん。でもね、悪いのは()()()()だからね」


 何の前触れもなく襲撃を受けた瑛士とルリ。

 誰が、何の目的で二人を襲ったのか?

 そして、“瑛士が悪い”という、その言葉の意味とは——

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
現時点で更新されているところまでは拝読いたしました! 私はファンタジーはほぼ読まないので詳しくありませんが、異能力など非現実的な要素に配信といった現代的な要素が交じっているのはとても新鮮味を感じまし…
Xの企画で参りました。 第三章第6話まで拝読しました。 ご主人こと瑛士とルリのコントで進んでいくお話。 互いに学生的な軽いノリのまま、それなりの迷宮攻略をしているギャップが良いですね。 研究所の所長…
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