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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第十七章 動き始める思惑

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第10話 呪われた子供たち(ツイステッド・チルドレン)

 瑛士たちが画面に視線を向けると、怒り狂ったヤバターが少年たちに向かってナイフを突き出していた。


「子供だからって油断したわ。もう視聴率とかどうでもいい……というか、コイツらを消し去ったら俺って英雄じゃね?」


 不敵に笑い始めるヤバターに対し、倒れていた少年が起き上がると視線を向けながら呟く。


「削除対象による敵意を確認。排除プログラムによる警告無視と認識しました」

「は? 意味わからねーことを言ってるんだ? あれか、頭を打ったからおかしくなったのか? 人の左手を消し飛ばした代償は高くつくぞ!」

「データベースに登録されていない言語を検出、最適解を検索中です……」


 淡々と話す少年の様子を見て、バカにされたと感じたヤバターの怒りはどんどんヒートアップしていく。


「は? 俺のことをバカにしてるのか!」

「……」

「ふざけやがって! 言葉で理解できないのであれば、体に教え込んでやらねーといけないよな」


 鬼の形相になったヤバターがナイフを構え、少年たちに向かって走り出した。すると、その様子を見ていた瑛士が小さく息を吐き、呆れたように呟く。


「……終わったな」

「終わったとはどういうことじゃ?」


 瑛士の呟きを聞いたルリが聞き返すと、腕を組みながら答える。


「そのままの意味だぞ。まあ、ナイフを抜いた時点でこの結末は決まっていたようなもんだな……()()()()()()()()から、ここからは瞬き厳禁だぞ」

「わ、わかったのじゃ」


 瑛士から普段と違う重みを感じ、ルリが画面に目を向けた時だった。ナイフを持ったヤバターが一瞬で少年たちとの距離を詰め、切りかかろうとする瞬間に異変が起きる。


「ひゃはは! 俺様に歯向かったことをあの世で後悔するんだな!」

「対象から殺意を感知。危険人物として認知、これより削除を開始します」

「は? 削除されるのはお前ら……」


 少年が向かってくるヤバターに右手をかざした時だった。


読書(リーディング)魔法(マジック)エディションエックスの起動確認、実行を開始。刻止ノ理(クロノ・ドグマ)発動」


 機械音声の如く一定の声色で言葉を発すると、ナイフを持って切りかかろうとしたヤバターの動きが止まる。まるで彼の時間だけ切り取られたかのように、地面を蹴り上げたまま空中で固まっていた。


「対象の時間停止を確認。危険信号はありません。これより、削除を開始します。全員定位置にお願いします」


 一人の少年が言い終えると、残る二人も近づき、一列に並び始める。そして全員で両手を前に突き出すと、最初に手を突き出した少年が詠唱を開始する。


「全員の配置完了を確認しました。これより対象の削除を開始します。冥滅光(アポカリプス・レイ)発動まで残り三十秒……」

「承知しました。対象の拘束が解除されるまで二十五秒……」

「誤差は計算済みです」

「承知です。解除までのカウントダウンを開始します。残り十五秒」


 画面内で淡々とかわされる会話を聞いていたルリの額から、一筋の汗が流れ落ちる。


「な、なんなんじゃ、コイツらは……会話にまるで生気が感じられん……まるでロボットじゃ」


 画面を食い入るように見つめたルリが声を上げると、瑛士が静かに口を開く。


「気が付いたか……ルリの言うようにコイツらはロボットみたいなもんだ、半分は」

「半分じゃと? どういうことなんじゃ?」


 言葉を聞いたルリが食い気味に問いかけると、瑛士は言葉少なめに答える。


「その言葉のままだ……完全なロボットでは魔法は使えないからな」

「……しかし、ヤツラのは魔法を()()()()()()()()じゃぞ」

「は? それはどういうことだ?」


 ルリが口走った言葉に、瑛士が聞き返した時だった。突如、画面の中から絶叫が響く。


「な、なんで俺様の体が動かねーんだよ!」

「対象の拘束解除にタイムラグが発生。予定より早く冥滅光(アポカリプス・レイ)を発動します」


 少年が淡々と告げると、三人の突き出した両手の前に光の弾が出現する。


「ちょ、ちょっとまて……そんなものを打ち込まれたら俺が消えちまうんじゃ……」

「対象より恐怖心を検知。予想外の事態が発生しているため、早急に排除します」

「消えたくねえ! まだ稼いでねえんだよ!」


 ヤバターが発する必死の訴えも虚しく、少年たちの前に集まった光の弾はどんどん大きくなっていく。数秒後には彼を超える大きさまで成長する。


「準備完了。対象に向け、発射」

「頼む、頼むからやめ……」


 最期の訴えを言い終える間もなく、光の弾はヤバターを飲み込むと、その場で一度収縮して霧散した。


「対象の完全消滅を確認。周囲に生物反応なし……任務完了」


 少年が言葉を発した時には、ヤバターの姿は最初から存在していなかったように消え去っていた。そして、少し離れた位置に設置されていた三脚を見つけ、彼らが手をかざした時だった。


「本部より緊急指令を受信しました。早急に帰還、その後、捕縛対象人物の削除命令を確認。実行に入ります」


 まるで軍隊のように一糸乱れぬ動きで敬礼をすると、少年たちの姿が景色に溶けこむように消えた。そして、カメラから映し出されるのは何事も無かったかのように、いつもと変わらぬ風景だった。


「……な、何が起こったのじゃ……」


 画面を見つめていたルリが大きく口を開けたまま固まっていると、背後から音羽が声をかける。


「やっぱり完成しているみたいね……飯島女史の最終兵器」

「ああ、いやな予感はしていたが……」

「は? 最終兵器とはいったい何のことなのじゃ?」


 苦虫を嚙み潰したような表情で語る二人を見て、理解の追い付かないルリが問いかけると、瑛士が口を開く。


「ルリは知らなかったか……飯島女史は、世界中にいる身寄りのない子供たちを攫って、秘密裏に実験を繰り返していたんだ……」

「子供を攫って実験じゃと……?」

「ああ、俺を拘束して無理やり読書魔法を使わせたのもこのためだ……いよいよ『呪われた(ツイステッド)子供たち(・チルドレン)』と呼ばれた計画が動き出したようだな……」


 呟いた瑛士の表情から憎悪が溢れ出し、固く握りしめた拳が小刻みに震えだす。


 瑛士が関わっていた実験と『呪われた(ツイステッド)子供たち(・チルドレン)』計画とは何が関係しているのか?

 答え合わせの時は刻一刻と近づいてきていた……


 ――迷宮の再オープンまで残り五日――

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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