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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
第十一章 新たな火種?

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第9話 音羽の買収計画?

「どうしてそんな秘密の通路があるなんて知ってるんだ? そもそもそんな場所**、**どこにもなかったぞ?」

「うーん、説明するのが難しいし……まあ、見たほうが早いわよ」


 困惑しながら詰め寄ってくる瑛士に対し、苦笑いを浮かべる音羽。


()()()()()を言ったらもっとややこしくなるもんね……)


 三階層で起きた事件のことを思い出しながら、うまく話を逸らそうと試みる。


「それよりも、早くルリちゃんと合流したほうが良くない? 待ち構えてる人間に捕まったらめんどくさいことになるし」

「そうだな。ルリがいるのは、一階層と二階層の間にある通路で良かったんだよな?」

「そうそう。でも通路上にいるとバレる可能性があるから、認識阻害の魔法を使って隠れてるわよ」

「そんなことしていたのかよ……ってか、アイツの魔力は大丈夫か?」

「大丈夫でしょ? 攻撃魔法をぶっ放すほど減らないし、迷宮のフロア全部を隠してるわけじゃないから」

「そういうもんか……って、いつそんなことができるようになったんだよ!」


 淡々と話す音羽の説明に納得しかけた瑛士だが、そんな高度な芸当ができるほどルリが器用でないことを思い出した。


「それは企業秘密ということで」

「お前がそのセリフを言うと、猛烈に悪い予感しかしねーよ」

「え? そんな……ひどい……ちょっとアイスとお菓子を報酬に、瑛士くんの部屋や私物に盗聴器や隠しカメラ、GPSタグをルリちゃんたちに付けてもらおうかなって少ししか思ってないよ?」

「やっぱり考えてるじゃねーか!」


 瑛士の絶叫が五階層のフロアに響き渡る。しかし、音羽は彼の様子を気に留めることなく、何事もなかったかのように直通の出口へと歩きはじめる。


「おい! 人のこと無視するな! そもそも限度ってもんがあるだろうが!」

「そう? 別に()()()()()()をしている自覚がなければ気にならないものじゃない? それだけ怒るということは、やっぱり……」

「アホか! なんでどこぞのやばい国に住んでる人みたいに監視されなきゃいけないんだよ!」

「大丈夫、瑛士くんを監視できるのは私だけだから」

「そういう問題じゃねーよ!」


 再び瑛士の絶叫が虚しく響く中、音羽は両手を頬に当て、体をくねらせながら呟く。


「そんなに喜んでもらえるなんて……私、もっと頑張るね!」

「頑張るベクトルが間違ってませんか? ねえ、人の話聞いてます?」

「もう、しつこい男は嫌われちゃうぞ! まあ、私にとっては嬉しい限りだけど」


 全く話の通じない音羽に対し、大きく肩を落としてうなだれる瑛士。そんな彼の様子を見て、音羽は両腕を組んで声を掛ける。


「まったく……冗談はこのくらいにして、早くルリちゃんのところに行くわよ。ぼさっとしてないの」

「お前のせいだろうが! あ、ちょっと待て! まだ話は終わって……」


 怒りをあらわにしながら叫ぶ瑛士を無視し、さっさと歩みを進める音羽を追いかけるように小走りで近づいてきた。入口をくぐった二人の視界に入ってきたのは、先の見えないスロープのような長い道だった。両側は岩を削り出したような壁になっており、灯籠のようなものが淡い光を放っている。


「やっぱり迷宮内は薄暗いな……」

「そうね。でも、まだ真っ暗じゃないだけマシだと思うわ」


 お世辞にも明るいとは言えない通路を並んで歩く二人。何も起こらないとわかっていても、警戒しながら進んでいく。歩き出して数分が経過した頃、奥のほうが明るくなって出口が近づいてきたことがわかった。


「もう出口なのか? 全然降りてきた感覚がないぞ」

「出口っぽいわ。戻って来る時はすごく早いって噂は聞いていたけど、どんな構造してるんだろ?」

「常識が通用するような作りじゃないからな。外観だけ見たら、あんなバカでかいフロアが何層も重なってるなんて思えないし」

「ほんとよね。とんでもないものを出現させてくれたわよ」


 二人が話しながら出口をくぐると、ちょうど二階層入口の隣に到着した。慌てて瑛士が後ろを振り返ると出口の穴はなくなり、岩の壁があるだけだった。


 瑛士が壁に触れてみたが、感じるのは冷たい岩の感触だけで出口の痕跡など一切なかった。通路は妙な静けさに包まれ、その雰囲気が異様さに拍車をかける。


「構造が全くわからん……完全な一方通行かよ……」


 不思議そうな顔をしながら壁を調べていると、突然背後に立つ人の気配を感じて慌てて後ろを振り返る。すると腕を組みながら不敵な笑みを浮かべた人物が話しかけてきた。


「何度探しても無駄じゃぞ。ルナと翠と一緒に隅々まで調べたが、全くわからなかったんじゃ」

「ルリ、お前いつの間に?」

「ご主人が出口から出てきたときには、すぐ後ろにおったぞ。妾に気づかず、壁にへばりついている様子もずっと見ておったわ」

「げっ……いるなら早く声をかけてくれればよかっただろ……」


 瑛士が気まずそうな顔で話しかけると、顎に手を当てたルリが口元を釣り上げる。


「それでも良かったのじゃが、なんか面白そうなことをしておったからな?」

「この野郎……確信犯だな」

「おかげさまで退屈しなかったんじゃがな」


 小馬鹿にしたような笑みを浮かべて話すルリに対し、瑛士が睨みつける。再び二人の間で火花が散るように視線が交わり始めた時、音羽が割って入った。


「はいはい、そのくらいにしておきなさいよ。それよりも今は、出口で待機してる人たちを撒くことが先決でしょ?」

「そうだったな。ところでどうするんだ? 人がいなくなるまでここで待機するのか?」


 瑛士が首を傾げながら音羽に問いかけると、驚きの返事が返ってきた。


「いなくなるまで待っていたら、いつ帰れるかわからないわよ。だから隠し通路を使って別ルートから逃げるのよ」

「は? 別ルートだと?」


 この後、迷宮に隠された秘密を三人は知ることになる……

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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