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ラストリモート〜失われし読書魔法(リーディング・マジック)と金髪幼女で挑む迷宮配信〜  作者: 神崎 ライ
幕間⑩

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第3話 ルリVS瑛士?

「それじゃあルリ、始めようか?」

「望むところなのじゃ! わらわの底力をとことん見せつけてやるのじゃ!」


 まるで火花が散るかのように瑛士とルリの視線が交錯する。一触即発のような空気が流れる中、音羽が大きなため息をつきながら二人の間に割って入る。


「はいはい、何の意地を張っているのか知らないけど……ルナちゃんと翠ちゃんまで巻き込まないでよ。さあ、こっちで待っていましょうね?」

「キュー」

「ニャー」


 ルリに抱かれていたルナが音羽に向かって勢いよく飛び出すと、翠もつられて走りだす。


「おっと。ルナちゃん、急に飛び出したら危ないわよ」

「キュー、キュキュ」


 飛びついてきたルナを胸の辺りでキャッチすると、申し訳なさそうに鳴き声を上げる。


「うんうん、次からは気を付けてね。怪我したら大変だから」

「キュー」


 胸に抱いたルナの頭を優しく撫でていると、足元から鳴き声が聞こえてくる。


「ニャー」

「はいはい、翠ちゃんも抱っこしてほしいのね」


 音羽がゆっくりしゃがむと、ルナの横に並ぶように翠が飛び乗り、二匹は仲良く顔を擦りつけ合う。


「本当に仲がいいわね。まったく……あの二人も少しは見習ってほしいものね……」


 音羽が大きくため息を吐きながら視線を前に向けると、未だに睨み合うルリと瑛士の姿が目に入る。


(このまま続けていても絶対決着つかないわよね。それどころかルリちゃんが圧倒的不利……あ! いいこと思いついちゃった)


 怪しげな笑みを浮かべると、腕の中にいる二匹に向かって話しかける。


「ルナちゃん、翠ちゃん。ちょっと協力してくれるかしら?」

「キュー?」

「ニャー?」


 音羽がルナと翠を地面に下ろすと、膝をついたまま小声で語りかける。すると二匹は目を輝かせて彼女の周囲を勢いよく走り出す。


「ふふふ、それじゃあ任せたわよ!」

「キュ、キュー!」

「ニャ、ニャー!」


 笑顔で鳴き声を上げると、瑛士たちがいる方向とは反対方向に勢いよく走り出す。二匹を見送った音羽は小さく息を吐くと、頭に付けていたお面を掛け直して二人の元に近寄っていく。


「二人だけでなんか()()()()()()()してるわね?」

「あ? 何しに来たんだ?」

「音羽お姉ちゃん、これは負けられない戦いなんじゃ!」

「はいはい、わかってるわよ。だけど、二人だけでどうやって勝敗を決めるの?」

「うっ……それは……」

「それは……ご主人が負けを認めればいいだけなのじゃ!」

「なんで俺が負ける前提なんだよ! お前こそ変な意地を張り続けなければいいだろ?」

「なん、じゃと!」

「ああ? やるか?」


 今にも噛みつきそうな勢いで睨み合うルリと瑛士。どんどん加熱する二人の様子に額に手を当て、音羽が頭を抱えながら語りかける。


「あーもう……このままじゃ埒が明かないわ。私がジャッジしてもどうせ認めないだろうし、配信してリスナーに判断してもらったら?」

「それだ!」

「それじゃ!」


 音羽が出した苦肉の提案に、瑛士とルリが声を揃えて叫ぶ。その言葉を聞いた音羽が笑みを浮かべ、宣言するように大声を出した。


「言質を取ったわよ! ねえ、みんな聞いていたわよね?」


 彼女が声を上げると同時に、瑛士のスマホがけたたましい通知音を鳴らし始める。


「ん? なんかすごく嫌な予感が……な、なんじゃこりゃ!」


 画面を見た瑛士が驚いて固まってしまう。映し出されたのは、いつも以上に盛り上がるコメントの嵐だった。


 《チャットコメント》


『おお! 配信映像が復活したと思ったら面白いことになってるwww』

『ルリ様とご主人の対決か! 戦う前から勝負はついてるだろ』

『ご主人、たまにはいい所見せてくれw』

『今日も笑いの神が降臨する予感しかしねえ』

『ミルキーさんが視界にいるなんて神回確定だろ!』

『ルール説明はよ』


 次々と流れるコメントに瑛士が唖然としていると、音羽がその場を取り仕切る司会者のように話し始める。


「皆さま、お待たせしました! ルリちゃんVSご主人の直接対決を、迷宮五階フロアよりお送りします。ルールは簡単、相手を物理的に傷つけるのは禁止。魔法や殴り合いではなく、あくまでも()()()対決していただきます。ここで注意点、相手を誹謗中傷するような言葉は禁止です。これはリスナーの皆様も同じだから気を付けてね。そして勝敗はリスナー投票のほかに、特別審査員のジャッジも入ります!」

「特別審査員だと?」

「ほほう、おもしろそうじゃのう。ところで特別審査員とは誰なのじゃ?」


 瑛士とルリが首をかしげながら問いかけると、音羽が近くの岩を指さして紹介する。


「特別審査員は、うさぎのルナちゃんと猫の翠ちゃんです!」

「キュー、キュキュ!」

「ニャー、ニャニャ!」


 瑛士の背丈ほどある岩の上には、笑顔の二匹が並んで座っていた。


 《チャットコメント》


『ちょ、可愛すぎる審査員キター!』

『はい、優勝! ルリ様と審査員の勝利!』

『ご主人、戦う前からお疲れwww』

『うむ、勝敗は決したな』

『勝負ありwwwご主人、負けを認めろwww』


 二匹の姿が画面いっぱいに映し出され、二匹を絶賛すると同時に瑛士の敗北が決定したようなコメントで溢れかえる。画面を見ていた瑛士とルリの視線が交わると、再び火花を散らし始める。

 リスナーも巻き込んだ二人のケンカは、いったいどんな決着を見せるのだろうか――

最後に――【神崎からのお願い】


『面白い!』、『楽しかった』と思って頂けましたら、『評価(下にスクロールすると評価するボタン(☆☆☆☆☆)があります)』を是非宜しくお願い致します。

感想やレビューもお待ちしております。

今後も本作を書いていく強力なモチベーションとなります。感想を下さった方、評価を下さった方、本当にありがとうございます!

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