序章 崩れ去る日常
全ては、一冊の本から始まった――
天下統一を夢見た「六大魔王」と呼ばれた武将が拠点とした土地。今は静まり返る住宅街の只中に、突如として異世界の建造物――「迷宮」が姿を現した。
その報せは稲妻のようにネットを駆け抜け、全世界を騒然とさせる。
迷宮の資源を狙い一攫千金を夢見る者。ライブ配信で一夜にして名を売ろうとする者。野心を胸に抱いた猛者たちが、今日も迷宮の入口へ集まってくる。
ある日、現れたのは冴えない高校生と金髪の幼女という異色のコンビだった。
タブレットに登録された書籍を読み解き、魔法を操る。次々と迷宮を踏破していく配信は爆発的な人気を博し、視聴者たちはそれを古代に失われた伝説の術――「読書魔法」の復活だと騒ぎ立てた。
人気配信者として注目を集める二人。だが、その名声は眠っていた因縁を呼び覚ます。
「ふふふ……やっと見つけたわよ。さあ、私の研究のために利用させれもらうわよ……」
まだ二人は知らない。
自分たちが、後に「この国の歴史に刻まれる最大の悪夢」と呼ばれる事件の渦中へ足を踏み入れたことを……
「全世界におるわらわの下僕どもに、勇姿を見せつけるのじゃ!」
「……どうしてこうなった?」
「当然じゃろ? わらわと共に栄光の架け橋を駆け上がろうではないか、ご主人殿」
「やかましいわ! 配信者になるつもりなんかなかったんだよ、俺は……」
ライブカメラ付きドローンの前で火花を散らす二人。
コメント欄は瞬く間に熱狂と狂気で埋め尽くされていく。
『今日も神々しい……』
『やる気出せ! この間のスパチャ返せwww』
『今から迷宮へ行きます! 私も読書魔法で吹き飛ばしてください!』
『抜け駆け禁止! ルリ様の雄姿を正座で待機中』
それは計算だったのか、それとも偶然の産物か。
世界の視線が二人に集まり、舞台は確実に整いつつあった……
最後に――【神崎からのお願い】
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