混一色《ホンイツ》
「今回は混一色を教えるさ。萬子、筒子、索子のどれか一色+字牌だけの構成なんさ」
[12345678m 東東東北北][ツモ牌 9m]
「わぁー、萬子だけの綺麗な4メンツ1雀頭……!」
ひらくは目を輝かせる。
「面前なら3翻役さ。でも混一色の真価は――」
「やっぱ鳴きだよねー! 鳴いても2翻あるから、ボク大好きー!」
ふうろが嬉々として語る。
……喰いタンが1翻役なのに対して、ホンイツは2翻……。
「打点のメリットがある分、一色に偏って待ちを読まれやすいのがデメリットですか」
「そうさ。ホンイツのみじゃ打点効率は悪いんさ」
「最低でも3翻……ドラや役牌の運用ですか」
「他にも牌が一色に染まるか……その見極めも難しいんさ。例えば……」
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東一局 南家 ドラ6p
[234m 45678p 566s 南南]
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「こんな状態から、染まるわけがないさ。普通の手にしたほうが早いんさ。それに比べて……」
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東一局 南家 ドラ6p
[1345788p 89s 南南中中]
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「この手は役牌を鳴いて89sを落としても、大したロスにならない場合が多いんさ。だから染めるべきなんさ」
「形や打点が悪かったら、どうなりますか? 例えば……」
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東一局 南家 ドラ【6s】←
[6m 246899p 24s 東西西中]
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ナオが苦笑する。
「染めにはいかんけどさ……萬子と索子の危ないとこ払って、オリる準備でもしてるさ」
「なるほど。とてもよくわかりました」
ふうろが席を立ち、
「よーし、勉強終わりっ! みんな、いっくよー!」
彼女特有の決めポーズをとった。
「セットアップ! 雀牌!!」
麻雀が広がる――
東一局 ドラ5p
東家 ナオ 25000
南家 ひらく 25000
西家 ふうろ 25000
北家 ひめる 25000
ひらく 配牌
[3779m 256p 569s 南白發]
ドラ2。
……色に偏りがない。さっき習ったホンイツにはいけない……!
ダブドラの5pを軸に、通常手として育てていく。
まずは牌理を整える。
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[3779m 256p 569s 南白發][ツモ牌 8m]
打、發。
[37789m 256p 569s 南白][ツモ牌 4s]
打、白。
[37789m 256p 4569s 南][ツモ牌 5s]
打、南。
[37789m 256p 45569s][ツモ牌 3m]
打、9s。
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ひめるのツモ。
ツモ切り、北。
「ポン!」
ふうろが仕掛けてくる。
一副露。
打、中。
現在のふうろは西家。
……役牌じゃない鳴き……?
ナオのツモ。
打、8s。
「ポン!」
ふうろが、再び仕掛けてくる。
二副露。
打、9s。
彼女の河に、初めての索子が並ぶ。
ツモ。
[337789m 256p 4556s][ツモ牌 1s]
不要牌。ツモ切り。
「チー!」
ふうろが三度、[←123s]と仕掛けてくる。
三副露。
打、東。
速攻の三連鳴き。聴牌したか。
ツモ。
[337789m 256p 4556s][ツモ牌 6s]
打、7m。
……これであと2枚……!
「ツモ!」
ふうろ、倒牌。
[1146s][北北北→][8↑88s][←123s][ツモ牌 5s]
「混一色、ドラ1。30符3翻は1000、2000点だね!」
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点棒移動
東家 ナオ 25000 → -2000 → 23000
南家 ひらく 25000 → -1000 → 24000
西家 ふうろ 25000 → +4000 → 29000
北家 ひめる 25000 → -1000 → 24000
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東二局 ドラ3s
北家 ナオ 23000
東家 ひらく 24000
南家 ふうろ 29000
西家 ひめる 24000
ひらく 手牌
[11334566m 35s 北中中][ツモ牌 7m]
打、北。
……萬子に寄ってきた……!
ナオのツモ。
打、南。
「ポン!」
ふうろが仕掛けてくる。
一副露。
打、中。
「ポン!」
ひらくも仕掛ける。
同じく一副露。
[113345667m 35s][中中中→]
……どれを切っても聴牌しない。だったら……!
打、3s。
ドラ切り。索子の形に見切りをつけ、萬子のホンイツへ向かう。
「チー!」
ふうろが、再び[←312s]と仕掛けてくる。
二副露。
打、1s。
ツモ。
[113345667m 5s][中中中→][ツモ牌 東]
打、5s。
染めると決めたら、5sは不要だ。
ふうろのツモ。
打、1m。
「ポン!」
ひらくが、再び仕掛ける。
二副露。
[3345667m 東][中中中→][111→m]
打、東。
5-8m待ち聴牌。
追いついた。
ふうろは1000点でも、アガれば勝ちだ。今局に勝負しなければ終わる。
ふうろ、ツモ。
見牌。
「くっ……! いや、まだまだ押せ押せだね!」
打、8m。
「ロン!」
ひらく、倒牌。
[3345667m][中中中→][111→m][ロン牌 8m]
混一色、中。親の30符3翻は5800点である。
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点棒移動
北家 ナオ 23000
東家 ひらく 24000 → +5800 → 29800
南家 ふうろ 29000 → -5800 → 23200
西家 ひめる 24000
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東二局 一本場 ドラ9p
北家 ナオ 23000
東家 ひらく 29800
南家 ふうろ 23200
西家 ひめる 24000
ひらく 手牌
[57m 12334778s 東西發][ツモ牌 東]
打、西。
「ポン!」
ふうろが仕掛けてくる。
一副露。
打、發。
……また役牌以外を……!
狙いは混一色か。だとしたら筒子が大本命だ。
ツモ。
[57m 12334778s 東東發][ツモ牌 2s]
打、發。
ふうろが打牌する。
東。
「ポン!」
ひらくが仕掛ける。
一副露。
[57m 122334778s][東東東→]
打、8s。
6m待ち聴牌。
ダブ東、ドラ1。親の3翻。
先手をとった。
持ち点は29800。1000点でもアガれば勝ち。ここで索子に寄せる意味はない。1巡でも早い、聴牌へと漕ぎ着ける。
筒子染めのふうろでは、6mは止まらない。放銃が期待できる。
ツモ。
[57m 12233477s][東東東→][ツモ牌 6p]
不要牌。ツモ切る。
「チー!」
ふうろが、再び[←678p]と仕掛けてくる。
二副露。
打、3p。
聴牌への鳴き。筒子が余れば確定だろう。
ツモ。
[57m 12233477s][東東東→][ツモ牌 8m]
打、5m。
6-9mへの待ち変え。
ふうろが牌を引く。
一瞬だけ手が止まるも、
「勝負だねっ!」
打、4m。
引く気はない。捲り合いに突入する。
ひらくのツモ。
打、白。
ふうろのツモ。
打、8m。
ひらく、ツモ。
打、1p。
ふうろ、ツモ。
麻雀卓に、牌を晒す。
二筒!
「ツモォ!」
倒牌。
[3466699p][←西西西][←678p][ツモ牌 2p]
「混一色、ドラ2。30符4翻2000、3900の一本場は2100、4000点だね!」
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点棒移動
北家 ナオ 23000→ -2100 → 20900
東家 ひらく 29800 → -4000 → 25800
南家 ふうろ 23200 → +8200 → 31400
西家 ひめる 24000 → -2100 → 21900
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1位 ふうろ 31400
2位 ひらく 25800
3位 ひめる 21900
4位 ナオ 20900
―― 終 局 !!
「やったぁー! ボクの勝ちぃー!」
ふうろが飛び跳ねて喜ぶ。
「ふうろは妙に勝負強いときがあるんさ。これも持ち味ってやつさぁ!」
「すごかったです。私も自分の持ち味、探してみます!」