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まーじゃん! ~麻雀部 はじめました~  作者: 雀太郎
第1章 麻雀と役
6/55

役牌《ヤクハイ》

「今回は役牌(ヤクハイ)だね! 鳴けるから大好き! 前回に引き続き、ボクが教えちゃうよ!」


 張り切る、ふうろ。

 杏色(あんずいろ)のショートサイドテール。ハツラツ顔と八重歯(やえば)。パーカーの上から、ブレザーを着ている。


「役牌はねー、字牌3枚で作る役のことだよ! ポンって鳴いてソッコーもできちゃう、とっても便利な役なんだぁ!」


「字牌を3枚……どういうときに鳴けばいいの?」


「なんでもいいから鳴きまくる! 麻雀はスピードが命だからね!」


「デ、デジャブ……!?」


 隣のナオが、ため息をつき、


「大事なことを伝え忘れてるんさ。いいかい、ひらく? 役にできる牌には、条件があるんさ」


「条件です……?」


「まずは『白發中』の3種は誰もが役牌にできる。次に場風牌(バカゼハイ)。この表記を、見たことがあるはずさ」


――――――――――

→【東一局】 ドラ

東家 25000

南家 25000

西家 25000

北家 25000

――――――――――


「最初は必ず東一局からですよね」


「これを東場(とんば)と呼び、東場での『東』は場風牌(バカゼハイ)で役牌となるんさ」


「東場以外にもあるんですか?」


「東四局を過ぎると、今度は南場(なんば)さ」


「南場になると、場風牌が『南』に変わるってことですね」


「次にこっちも見てさ」


――――――――――

東一局 ドラ

→【東家】25000

→【南家】25000

→【西家】25000

→【北家】25000

――――――――――


「この『○家』と牌の『東南西北』は関連性があって、○家の位置によって役牌が変化するんさ。この役牌(ヤクハイ)のことを自風牌(ジカゼハイ)というんさ」


「つまりもし私が西家にいたら自風牌(ジカゼハイ)『西』と場風牌『東』と残り『白發中』だけが、私の役牌扱いになるってことですか」


 ……それじゃ、あのとき……。

 初戦の東二局でドラ『北』を鳴こうか迷っていた。

 あのときは西家だ。『北』を役牌にできず、無役で放浪する危険性があった。

 役牌。字牌を運用する上で、とても大事な要素である。


「部長なら、どういうときに役牌を鳴きますか?」


「あたしはドラ3だったら鳴くさ。例えば……」


――――――――――

東一局 ドラ4p

東家 4巡目


[23m 123444p 東北北中中]

――――――――――


「こんな手は中鳴きさ」


「部長はドラ3が基準なんですね」


「その他はリーチにいきたいんさ」


――――――――――

東一局 ドラ4p

東家 4巡目


[23m 12345p 23s 北北中中][ツモ牌 6p]

――――――――――


「こんな手は『中』切りで、リーチを打ちにいくんさ」


「それ以外の理由で鳴かない手は、どんなのですか?」


――――――――――

東一局 ドラ4p

東家 4巡目


[2468m 89p 12s 北白發中中][ツモ牌 6p]

――――――――――


「例題だから極端だけど……これは打点もなくて牌もバラバラだから、鳴いてはいけない手さ」


「なるほど。とてもよくわかりました」


 そこでふうろが、ひらくの背中に抱きつき、


「ねー、まだ勉強するのー? 打とうよー! 理論ばっかりじゃ、麻雀は上手くならないぞー!?」


「待ちきれん子がいるみたいだし、ここらで一局いっとくんさ!」


「やったぁー!」


 ふうろが、大きく両手を掲げる。

 (じゃん)リングを起動した。


「セットアップ! 雀牌(じゃんぱい)!!」




 麻雀(うちゅう)が広がる――




東一局 ドラ2s

東家 ナオ 25000

南家 ひらく 25000

西家 ふうろ 25000

北家 ひめる 25000


ひらく 配牌

[279m 568p 456s 東白白中]


 ……白は役牌(ヤクハイ)! 鳴ける……!

 問題は鳴くのか、どうか。例題ほど形は酷くないが、打点がない。

 ……とりあえず、いつもと同じように……。


[279m 568p 456s 東白白中][ツモ牌 7p]


 打、東。


「ポン!」


 ナオが仕掛けてくる。

 一副露(ワンフーロ)

 打、1m。

 ……部長の仕掛け! ドラ3……!?


「いい忘れてたさ。東場の東家は、ダブ東といって2翻役になるんさ!」


 ……つまり最低でも、ドラ2……!

 ツモ。


[279m 5678p 456s 白白中][ツモ牌 9m]


 打、中。


「ポン!」


 ふうろも仕掛けてくる。

 一副露。

 打、白。


「ポン!」


 ひらくが仕掛け返す。

 同じく一副露。


[2799m 5678p 456s][白白白→]


 打、2m。

 ナオの打点は、4翻8000点付近が確定している。

 一局戦では、30000点を越えると即終局。アガリにいかなくては、今局で終わってしまう。

 ナオのツモ。

 打、9p。


「チー!」


 ひらくが、再び[←978p]と仕掛ける。

 二副露(ツーフーロ)


[799m 56p 456s][白白白→][←978p]


 打、7m。

 4-7p待ち聴牌(テンパイ)

 先手をとった。

 高速の打牌で、ナオに対抗する。

 ナオ、ツモ。

 打、7p。


「ロン!」


 ひらく、倒牌(とうぱい)


[99m 56p 456s][白白白→][←978p][ロン牌 7p]


 白のみ。30符1(ハン)は1000点である。


「こいつは驚いた……見事に蹴られてしまったさ」




――――――――――

点棒移動


東家 ナオ 25000 → -1000 →24000

南家 ひらく 25000 →+1000 → 26000

西家 ふうろ 25000

北家 ひめる 25000

――――――――――




東二局 ドラ6p

北家 ナオ 24000

東家 ひらく 26000

南家 ふうろ 25000

西家 ひめる 25000


ひらく 手牌

[234556m 23p 東北北發發][ツモ牌 7m]


 打、東。

 現在は4巡目。また早い展開となっていた。

 ふうろのツモ。

 打、發。

 ……この手は、鳴かない……!

 發を落とし、リーチを狙いにいく。

 ツモ。


[2345567m 23p 北北發發][ツモ牌 發]


「リーチ!」


 打、2m。

 1-4p待ち聴牌(テンパイ)

 ……發が3枚、揃っちゃった……!

 予想外だが、聴牌が早まった。迷わずリーチである。

 1周してツモ番が回る。

 ツモ、南。

 不要牌。ツモ切り。


「ポン!」


 ふうろが仕掛けてくる。

 一副露(ワンフーロ)

 打、1m。


「リーチ!」


 打、4s。

 ナオからの追っ掛けリーチ。


「追いついたさ! 今度はあたしが決めさせてもらうんさ!」


 捲り合いに突入する。

 ひらくのツモ。

 打、2s。

 ナオのツモ。

 打、3p。


「負けない! 応えて私のツモ!」


 ひらく、ツモ。

 見牌(けんぱい)


 一筒(イーピン)


「ツモ!」


 倒牌。


[345567m 23p 北北發發發][ツモ牌 1p]


 リーチ、ツモ、發。親の30符3(ハン)は2000オールである。




北家 ナオ 24000 →-2000-1000(リーチ棒)→ 21000

東家 ひらく 26000 → +6000+1000(リーチ棒)→ 33000

南家 ふうろ 25000 → -2000 →23000

西家 ひめる 25000 → -2000 →23000




1位 ひらく 33000

2位 ふうろ 23000(席上)

3位 ひめる 23000

4位 ナオ 21000



 ―― (しゅう) (きょく) !!




「くぅー! 今回はひらくに全部持っていかれたさぁ!」


 ナオが悔しがる。


役牌(ヤクハイ)もタンヤオと同じで、手牌に3枚あれば手役にカウントされるんですね」


暗刻(アンコウ)っていうレアな形さ。そういうのも、たまにあるんさ!」


「ちょっと予想外でしたけど、部長の教え通りに打ったら勝てました!」

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