半荘戦 最終幕
「どうやら『第2』のこと、色々と知ったかさ」
「はい。その上で改めて、ナオ部長に聞きたくて……どうして新しい麻雀部を作ったんですか?」
「それは知っての通りさ。名門の『第1麻雀部』では『できない麻雀』があるからなんさ。楽しい麻雀、自由な麻雀……二人みたいに、自分の麻雀ができなくて、あぶれてしまうのはもったいないと思ったんさ」
「でも部長なら『第1』でやっていけるはずなのに、それを蹴ってまで……」
「やりたい麻雀があるのは、なにも二人だけじゃないさ。あたしも『温かい麻雀』を打ちたいんさ」
「温かい麻雀……」
「『第1』は徹底した実力主義。ランキングや大会などに力を入れてるんさ。でも向上心の高さから、他を省みない風潮にもなっているんさ」
一息を入れてから、
「それが悪いとは言わないさ。ここ雀栄町は麻雀発展都市……部活といえども、優秀な人材なら将来にも繋がるんさ」
「皆さん、どこを目指しているんです?」
「主に麻雀プロさ。あとこの街には、世界最高の雀荘『朱雀荘』もあるんさ」
「麻雀にプロがあるんですね。雀荘も最高ともなれば、敷居が高い……だから部活で功績を残そうとしているわけですか」
「あるいは、これもさ」
ナオが雀リングを見せる。
「このリングを改修した白野博士のように、麻雀研究家を目指したりするんさ」
「『第1』にも色々な思惑があるんですね」
「だから『第1』のことを一概には否定できないし、するつもりもないさ。ただあたしが目指す麻雀は、そうじゃなかっただけなんさ」
「温かい麻雀ですね! 私は『第2』が好きですし、部長の話も聞けて良かったです!」
「そうさ。温かい麻雀……そして、できることなら……いや、やっぱりなんでもないさ」
部室のドアが開く。
ふうろとひめるがやってきた。
「さあて湿っぽい話は、ここまで……半荘で打つとするさぁ!」
ナオが雀リングを起動する。
「セットアップ! 雀牌!!」
周囲が麻雀卓に変化した。
「ひらく! あたしの麻雀がちゃんと伝わってるか……この一局で試してみるさ!」
ナオが身構え、
「中等部2年、麻雀部部長! 立河直!」
麻雀が広がる――
【半荘戦】
東一局 ドラ8s
東家 ナオ 25000
南家 ひめる 25000
西家 ひらく 25000
北家 ふうろ 25000
ひらく 配牌
[138m 3567p 368s 東南中]
ドラ2。四向聴。
面前で最速のアガリを目指す。
牌理を切り開く。
――――――――――
[138m 3567p 368s 東南中][ツモ牌 7m]
打、南。
[1378m 3567p 368s 東中][ツモ牌 2s]
打、東。
[1378m 3567p 2368s 中][ツモ牌 8s]
打、中。
[1378m 3567p 23688s][ツモ牌 2p]
打、6s。
――――――――――
[1378m 23567p 2388s]
ドラ3。二向聴。
269m、14p、14s。7種28枚が有効牌である。
確定メンツ、567p。雀頭、88s。メンツ候補、13m、78m、23p、23s。
5メンツ1雀頭のフルブロック構成。面前手が主体となる。
ツモ。
[1378m 23567p 2388s][ツモ牌 6m]
打、3m。
14p、14s。4種16枚の受け入れを持つ一向聴となった。
2mの先埋まりなら123三色も見たが、こうなっては愚形は不要だ。
13mの嵌張落とし。1mより危険な、3mから先打つ。
ツモ。
[1678m 23567p 2388s][ツモ牌 1p]
「リーチ!」
打、1m。
1-4s待ち聴牌。
リーチ、平和、ドラ3。30符5翻は満貫8000点である。ツモなら跳満12000点の大物手である。
先手をとった。
絶好のチャンス手。アガっておきたい。
「リーチ!」
ナオからの追っ掛けリーチ。
打、3m。
同巡内に追いつかれた。
捲り合いに突入する。
ひらくのツモ。
打、5s。
ナオのツモ。
麻雀卓に牌を晒し、
「ツモ!」
倒牌。
[44455m 456p 23478s][ツモ牌 9s]
「リーチ、ツモ、一発、ドラ2。親の30符5翻は満貫4000オールさぁ!」
――――――――――
点棒移動
東家 ナオ 25000 → +12000+1000 → 38000
南家 ひめる 25000 → -4000 → 21000
西家 ひらく 25000 → -4000-1000 → 20000
北家 ふうろ 25000 → -4000 → 21000
――――――――――
東一局 一本場 ドラ2p
東家 ナオ 38000
南家 ひめる 21000
西家 ひらく 20000
北家 ふうろ 21000
ひらく 手牌
[3568889m 34p 4567s]
ドラ1。二向聴。
34679m、25p、47s。9種31枚が有効牌である。
確定メンツ、888m。メンツ候補、56m、34p、4567s。
4メンツの4ブロック構成。面前手が主体となる。
ツモ。
[3568889m 34p 4567s][ツモ牌 7m]
打、3m。
479m、25p、47s。7種24枚の受け入れを持つ一向聴となった。
3m切りが最効率。9m切りでは1種3枚のロスである。
3mが無くても断么九への道は残るため、無理に引っ張る理由もない。
「リーチ!」
ナオからの先制リーチ。
打、4m。
後手に回る。
ツモ。
[5678889m 34p 4567s][ツモ牌 9m]
「リーチ!」
打、7s。
2-5p待ち聴牌。
リーチ、ドラ1。40符2翻は2600点である。
ドラ筋だが両面。ナオの連荘を止めにいく。
捲り合いに突入する。
ナオのツモ。
打、4p。
ひらくのツモ。
開牌。
五筒!
「ツモ!」
手牌を開く。
[56788899m 34p 567s][ツモ牌 5p]
「リーチ、ツモ、一発、ドラ1。30符4翻2000、3900の一本場は2100、4000点です!」
――――――――――
点棒移動
東家 ナオ 38000 → -4000-1000 → 33000
南家 ひめる 21000 → -2100 → 18900
西家 ひらく 20000 → +8200+1000 → 29200
北家 ふうろ 21000 → -2100 → 18900
――――――――――
東二局 ドラ1m
北家 ナオ 33000
東家 ひめる 18900
南家 ひらく 29200
西家 ふうろ 18900
ひらく 手牌
[1167m 579p 234577s]
ドラ2。二向聴。
158m、68p、67s。7種24枚が有効牌である。
確定メンツ、234s。雀頭、11m。メンツ候補、67m、579p、577s。
4メンツ1雀頭の5ブロック構成。面前手が主体となる。
ツモ。
[1167m 579p 234577s][ツモ牌 6p]
打、9p。
158m、67s。5種16枚の受け入れを持つ一向聴となった。
筒子愚形の不安を解消し、良形へと寄せる。567三色への、期待も高まった。
「リーチ!」
ナオからの先制リーチ。
打、3s。
後手に回る。
ツモ。
[1167m 567p 234577s][ツモ牌 1m]
「リーチ!」
打、2s。
5-8m待ち聴牌。
リーチ、ドラ3。40符4翻は満貫8000点である。
同巡内で追いついた。
捲り合いに突入する。
ナオのツモ。
打、6s。
ひらくのツモ。
打、6m。
ナオ、ツモ。
打、1s。
ひらく、ツモ。
打、4m。
「ロン!」
ナオ、倒牌。
[23456m 567p 33567s][ロン牌 4m]
「リーチ、断么九、平和、ドラ1、裏ドラ1。30符5翻は満貫8000点さぁ!」
1-4-7mの三面張。
手痛い放銃に終わった。
――――――――――
点棒移動
北家 ナオ 33000 → +8000+1000 → 42000
東家 ひめる 18900
南家 ひらく 29200 → -8000-1000 → 20200
西家 ふうろ 18900
――――――――――
東三局 ドラ4p
西家 ナオ 42000
北家 ひめる 18900
東家 ひらく 20200
南家 ふうろ 18900
ひらく 手牌
[22345m 4567p 4568s]
ドラ1。一向聴。
2m、23456789p、36789s。14種47枚が有効牌である。
確定メンツ、345m、456s。雀頭、22m。メンツ候補、4567p。
3メンツ1雀頭の4ブロック構成。面前手が主体となる。
ツモ。
[22345m 4567p 4568s][ツモ牌 6m]
打、8s。
12345678m、23456789p。16種53枚の受け入れを持つ一向聴となった。
8s切りが最効率。次点3mでは2種6枚のロスである。
456三色に決め打つには、早すぎる段階だ。最後まで変化を見ていく。
ツモ。
[223456m 4567p 456s][ツモ牌 8p]
「リーチ!」
打、3m。
3-6-9pの三面張。
リーチ、平和、ドラ1。安め3pは断么九がつき親の4翻11600点。9pは456三色がつき5翻は満貫12000点。
高め6pは両方がつき、6翻は跳満18000点の大物手である。
先制の聴牌。
超好形、高打点の好機が訪れた。
「リーチ!」
ナオからの追っ掛けリーチ。
打、7s。
同巡内に追いつかれた。
捲り合いに突入する。
ひらくのツモ。
打、6s。
ナオのツモ。
打、7p。
ひらく、ツモ。
打、5p。
ナオ、ツモ。
打、3p。
「ロン!」
ひらく、倒牌。
[22456m 45678p 456s][ロン牌 3p]
「リーチ、断么九、平和、ドラ1、裏ドラ1。親の30符5翻は満貫12000点です!」
――――――――――
点棒移動
西家 ナオ 42000 → -12000-1000 → 29000
北家 ひめる 18900
東家 ひらく 20200 → +12000+1000 → 33200
南家 ふうろ 18900
――――――――――
ひらく 33200
ナオ 29000
ひめる 18900
ふうろ 18900
――東三局 一本場




