半荘戦 第2幕
「ひめるちゃんは、ここが『第2麻雀部』だって知ってたんだよね? 麻雀好きなのに『第1』に入らなかったの?」
「ひめるは元々『第1』だった。辞めたけど」
「えっ? それは、どうして……?」
「あっちの麻雀には、自由がない。勝つための打ち方、戦術、窮屈な取り決め……無個性主義で成り立っている」
「そ、そんなに厳しいんだね……」
「特にひめるは、異端者だったから」
確かに彼女の雀風は、かなり特殊な部類だ。現代麻雀の最強役リーチを、全く使わない打ち筋である。
それは他者から見れば、変なのかもしれないが、
……でも無個性を強要するのも……。
充分に異質だと思えた。
「楽しい麻雀が打てる『第2』のほうがいいって、ふうろちゃんも言ってたよ。ひめるちゃんも、そうなんだね?」
「自由に打つことが、楽しいに繋がるなら……多分そういうこと」
「ひめるちゃんの理知的で繊細な麻雀……私は好きだよ!」
「そう……」
ひめるが顔を背ける。
「あれ? ごめんね……怒らせちゃった?」
「照れてるの」
ひらくは、くすりと笑った。
部室のドアが開く。
ナオとふうろがやってきた。
「お? もう準備は万全って感じなんさ。じゃあ半荘戦やっていくかさ!」
「ひめるがセットアップする」
「今日はひめるも、やる気なんさぁ!」
「ひめるは、いつもやる気だけどね」
雀リングを起動する。
「セットアップ雀牌」
ひめるが正面に構え、
「貴女が好きな、ひめるの麻雀……とくと見せてあげる」
一息。
「中等部1年、闇黙秘」
麻雀が広がる――
【半荘戦】
東一局 ドラ6s
東家 ふうろ 25000
南家 ひらく 25000
西家 ナオ 25000
北家 ひめる 25000
ひらく 配牌
[248m 245p 1356s 東南白]
ドラ2。四向聴。
開局の平場。最速のアガリを目指す。
牌理を切り開く。
――――――――――
[248m 245p 1356s 東南白][ツモ牌 3s]
打、東。
[248m 245p 13356s 南白][ツモ牌 6p]
打、白。
[248m 2456p 13356s 南][ツモ牌 2p]
打、南。
――――――――――
[248m 22456p 13356s][ツモ牌 5m]
打、8m。
ドラ3。二向聴。
36m、2p、2347s。7種24枚が有効牌である。
確定メンツ、456p。雀頭、22p。メンツ候補、45m、133s、56s。
4メンツ1雀頭の5ブロック構成。面前手か喰いタンが主体となる。
ふうろのツモ。
打、2p。
「ポン!」
ひらくが仕掛ける。
一副露。
[245m 456p 13356s][←222p]
打、2m。
36m、47s。4種16枚の受け入れを持つ一向聴となった。
シフトチェンジ。ドラ3仕掛けで、更なる加速を見せる。
ツモ。
[45m 456p 13356s][←222p][ツモ牌 7s]
打、1s。
3-6m待ち聴牌。
断么九、ドラ3。30符4翻は7700点である。
先手をとった。
最速和了の、ゴールも間近だ。
「ツモ」
ひめるからの和了宣言。
倒牌。
[66778m 567p 22678s][ツモ牌 5m]
「ツモ、断么九、平和、ドラ2。20符5翻は満貫2000、4000点」
リーチなら跳満だった。
ダマでも678三色の手変わりならば、跳満まで届く。
そしてなによりも、
……早い! 私も最速で来たはずなのに……!
――――――――――
点棒移動
東家 ふうろ 25000 → -4000 → 21000
南家 ひらく 25000 → -2000 → 23000
西家 ナオ 25000 → -2000 → 23000
北家 ひめる 25000 → +8000 → 33000
――――――――――
東二局 ドラ3m
北家 ふうろ 21000
東家 ひらく 23000
南家 ナオ 23000
西家 ひめる 33000
ひらく 手牌
[33468m 456677p 56s]
ドラ2。二向聴。
2357m、578p、47s。9種30枚が有効牌である。
確定メンツ、456p。雀頭、33m。メンツ候補、468m、677p、56s。
4メンツ1雀頭の5ブロック構成。面前手か喰いタンが主体となる。
ふうろのツモ。
打、7m。
「チー!」
ひらくが仕掛ける。
一副露。
[334m 456677p 56s][←768m]
打、4m。
3m、578p、47s。6種19枚の受け入れを持つ一向聴となった。
4mと6pの比較。同効率なため、3mの雀頭固定で親の3翻5800点を確定させる。
鳴ける牌は、すべて鳴く。特に3mポンは、最高打点となる。
ツモ。
[33m 456677p 56s][←768m][ツモ牌 7p]
打、6p。
4-7s待ち聴牌。
断么九、ドラ2。親の30符3翻は5800点である。
先手をとった。
受け方もいい。これならドラ3mを引いたときに、7pを打てる。
打点上昇にも期待し、牌山を捲っていく。
「ツモ!」
ひらく、倒牌。
[33m 456777p 56s][←768m][ツモ牌 4s]
「断么九、ドラ2。親の30符3翻は2000オールです!」
――――――――――
点棒移動
北家 ふうろ 21000 → -2000 → 19000
東家 ひらく 23000 → +6000 → 29000
南家 ナオ 23000 → -2000 → 21000
西家 ひめる 33000 → -2000 → 31000
――――――――――
東二局 一本場 ドラ1s
北家 ふうろ 19000
東家 ひらく 29000
南家 ナオ 21000
西家 ひめる 31000
ひらく 手牌
[3456m 456p 113457s]
ドラ3。一向聴。
12345678m、1256789s。15種51枚が有効牌である。
確定メンツ、456p、345s。雀頭、11s。メンツ候補、34m、56m。
4メンツ1雀頭の5ブロック構成。面前手が主体となる。
ツモ。
[3456m 456p 113457s][ツモ牌 3p]
打、7s。
12345678m、12345678p、1s。17種58枚待ちの一向聴へと変化した。
345三色も見えてくる。
親番のドラ3は、愚形になっても即リーチにいく。1s引きは、場況のいい3-6m待ちとする。
ツモ。
[3456m 3456p 11345s][ツモ牌 7m]
「リーチ!」
打、6p。
2-5-8mの三面張。
リーチ、平和、ドラ3。親の5翻は満貫12000。高め58mのツモは345三色がつき8翻は倍満8000オールの大物手である。
先制の聴牌。大局を決しかねない、最強の一打だ。
「ロン」
直後に潰された。
ひめる、倒牌。
[67899m 55677p 123s][ロン牌 6p]
「一盃口、ドラ2。40符3翻5200の一本場は5500点」
宣言牌が通らないため、リーチは不成立。リーチ棒の移動は行われない。
――――――――――
点棒移動
北家 ふうろ 19000
東家 ひらく 29000 → -5500 → 23500
南家 ナオ 21000
西家 ひめる 31000 → +5500 → 36500
――――――――――
東三局 ドラ西
西家 ふうろ 19000
北家 ひらく 23500
東家 ナオ 21000
南家 ひめる 36500
ひらく 手牌
[333m 789p 345679s 西]
ドラ2。一向聴。
235689s、西。7種23枚が有効牌である。
確定メンツ、333m、789p、34567s。
4メンツの4ブロック構成。面前手が主体となる。
良形の並び。不安定な雀頭決めが、要となる。
……できればドラ西の雀頭……!
ツモ。
[333m 789p 345679s 西][ツモ牌 2m]
打、西。
124m、235689s。9種31枚待ちの一向聴へと変化した。
西切りが最効率。9sでは2種6枚のロスとなる。
8s引きの3-6-9s待ちもあるため、ドラに見切りをつけた。
ツモ。
[2333m 789p 345679s][ツモ牌 5s]
「リーチ!」
打、9s。
1-4m、2mの三面張。
リーチ、ドラ1。40符2翻は2600点。高め14mは平和がつき30符3翻は3900点である。
先制の聴牌。
打点は低いが、待ちは良い。前局の放銃分を、取り戻しにいく。
ひめるのツモ。
手出し、9s。
ノータイムで現物。ベタオリか。
彼女の守備力では、もう直撃は望めない。
ひらくのツモ。
打、5m。
しかし逆に和了を遮る障害も減っている。
……ツモって裏ドラ1なら満貫……!
ひらく、ツモ。
開牌。
一萬!
「ツモ!」
手牌を倒す。
[2333m 789p 345567s][ツモ牌 1m]
「リーチ、ツモ、平和、ドラ1。20符4翻は1300、2600点です!」
――――――――――
点棒移動
西家 ふうろ 19000 → -1300 → 17700
北家 ひらく 23500 → +5200 → 28700
東家 ナオ 21000 → -2600 → 18400
南家 ひめる 36500 → -1300 → 35200
――――――――――
ひめる 35200
ひらく 28700
ナオ 18400
ふうろ 17700
――東四局




