半荘戦 第1幕
教室。
学業が終わり、放課後が始まる。
ひらくは鞄に教科書を詰め、
「今日も部活がんばろ!」
「部活って麻雀部の?」
クラスメイトが反応した。
「うん! 最近楽しみなんだぁ」
「じゃあ高等部にも出入りしてるんだ? なんか、いーなー?」
「ううん……? 中等部にあるから、そっちに用はないよ?」
「あ、そっか……ひらくちゃんが入ったのって『第2麻雀部』なんだっけ?」
校舎の廊下。
ひらくは、ふうろと部室へ向かっていた。
「びっくりしたぁ……うちって第2麻雀部なんて呼ばれてたんだ」
「あー、確かそうだったかも! 中、高は一緒だから麻雀部もそっちなんだね!」
違和感には、気づいていた。
ここ雀栄町は、麻雀発展都市として名高い。学園内に麻雀部が存在しないことを、不自然に感じていた。
「どうしてナオ部長は、新しい麻雀部を作ったのかな?」
「わかんないよー。でも部長のおかげで麻雀できて、ボクは楽しいよ!」
「ふうろちゃんは第1に入らなかったの?」
「入部テストに落ちちゃったんだよね。うちって名門らしいからー」
「じゃあ初心者はお断りなんだ……。どんなテストだったの?」
「役の問題かな? ちゃんと知ってるか、何個か出題されたよ」
「それだけなら初心者でなければ、受かれるんじゃ……?」
「ボクさー、鳴ける役以外は覚えてないからね」
「えっ?」
「でもでもボクは今が楽しいよ? こっちの麻雀部で良かったなぁって思うし……ひらくは違うの?」
「私も同じだよ。ただ少し気になって……でも、そうだよね。二つの麻雀部が存在する理由なんて、どうでもいいのかも」
「うんうん! 楽しく麻雀できれば、それで万事オッケーだね!」
「ありがとう、ふうろちゃん!」
「どいたまーっ! これからもたくさん麻雀打っていこうね!」
部室のドアを開く。
ナオとひめるの、二人が待っていた。
「さてと、ひらく。ここまで麻雀について、色々と教えてきたけどもさ。今日はこれまでの成果を、見せてもらうんさ」
「東風ですか? 次こそは……!」
「いや勝負は半荘。南場が終わるまでに、一番持ち点が多いプレイヤーの勝ちとなるんさ。あとトびなしルールを、採用しているさ」
「持ち点がマイナスになっても続くんですね! とにかく最後まで、力の限り頑張ります!」
「その意気さ! それじゃ半荘勝負、開幕さぁ!」
ナオが雀リングを起動する。
「セットアップ! 雀牌!!」
ふうろが正面に立つ。
期待の笑みを浮かべ、
「いってた側から楽しくなってきたね! ボクたちとの真剣勝負……めちゃくちゃに楽しんでいこー!」
彼女特有の決めポーズをとった。
「中等部1年、更級ふうろ! いっくよー!」
麻雀が広がる――
【半荘戦】
東一局 ドラ2m
東家 ひらく 25000
南家 ナオ 25000
西家 ふうろ 25000
北家 ひめる 25000
ひらく 配牌
[122m 24679p 679s 東北白]
打、北。
ドラ2。四向聴。
起家だ。形は悪いが、序盤から諦めるわけにもいかない。
最速の和了を目指す。
牌理を切り開く。
――――――――――
[122m 24679p 679s 東白][ツモ牌 8p]
打、白。
[122m 246789p 679s 東][ツモ牌 3s]
打、東。
[122m 246789p 3679s][ツモ牌 4s]
打、1m。
[22m 246789p 34679s][ツモ牌 3p]
打、9s。
――――――――――
[22m 2346789p 3467s][ツモ牌 ]
一向聴。
258s。3種12枚が有効牌である。
確定メンツ、234p、6789p。雀頭、22m。メンツ候補、34s、67s。
4メンツ1雀頭の5ブロック構成。面前手が主体となる。
ひめるのツモ。
打、中。
「ポン!」
ふうろが[中中中→]と仕掛けてくる。
一副露。
打、發。
ツモ。
[22m 2346789p 3467s][ツモ牌 5p]
打、4s。
1-4-7p、58s。5種18枚待ちの一向聴へと変化した。
3467sの5s二度受けを切り捨てる。34sを落とす理由は、捨て牌から索子の上側があると予想した。
ツモ。
[22m 23456789p 367s][ツモ牌 8s]
「リーチ!」
打、3s。
1-4-7pの三面張。
リーチ、平和、ドラ2。親の30符4翻は11600点。高め1pは一気通貫がつき、6翻は跳満18000点の大物手である。
先制の聴牌。先手、超好形、高打点の三拍子が揃った最強リーチだ。
ナオのツモ。
打、9s。
「チー!」
ふうろが再び[←978s]と仕掛けてくる。
二副露。
打、2p。
無筋を強打。張ったか。
ひらくのツモ。
打、6p。
ふうろのツモ。
麻雀卓に牌を晒し、
「ツモ!」
倒牌。
[67888m 23p][中中中→][←978s][ツモ牌 1p]
「中のみ。30符1翻は300、500点だね!」
――――――――――
点棒移動
東家 ひらく 25000 → -500-1000→ 23500
南家 ナオ 25000 → -300 → 24700
西家 ふうろ 25000 → +1100+1000→ 27100
北家 ひめる 25000 → -300 → 24700
――――――――――
東二局 ドラ6s
北家 ひらく 23500
東家 ナオ 24700
南家 ふうろ 27100
西家 ひめる 24700
ひらく 手牌
[2467m 44688p 5566s]
ドラ3。七対子の二向聴。
2467m、6p。5種15枚が有効牌である。
通常手としては三向聴。358m、4578p、4567s。11種35枚が有効牌である。
メンツ候補、24m、67m、44688p、5566s。
4メンツの4ブロック構成。面前手か喰いタンが主体となる。
ドラ3なため、足の遅い七対子には決め打たな い。仕掛け重視の、速攻にも構える。
ツモ。
[2467m 44688p 5566s][ツモ牌 5p]
打、4m。
二向聴。25678m、568p、4567s。12種36枚待ち。
24m切りが最効率。48pでは七対子としての効率が落ちる。特に8pは、ポン材にもなるため重宝する。
24mの嵌張を払う。2mより危険な、4mから先打つ。
「ポン!」
ふうろが[4↑44m]と仕掛けてくる。
一副露。
打、6s。
「ポン!」
ひらくが仕掛け返す。
同じく一副露。
[267m 445688p 55s][6↑66s]
打、2m。
58m、8p、5s。4種12枚の受け入れを持つ一向聴となった。
ナオのツモ。
打、3m。
「チー!」
ふうろが再び[←324m]と仕掛けてくる。
二副露。
打、6m。
自身で鳴いた4mの、薄い部分を使い切ってきた。テクニカルな鳴き方だ。
……先を行かれた。追いつかないと……!
ツモ。
[67m 445688p 55s][6↑66s][ツモ牌 8p]
打、4p。
5-8待ち聴牌。
断么九、ドラ4。30符5翻は満貫8000点である。
追いついた。
高打点の追撃を開始する。
ふうろのツモ。
打、9p。
ひらくのツモ。
打、南。
「ロン!」
ふうろ、倒牌。
[678s 南南發發][4↑44m][←324m][ロン牌 南]
「南、ドラ1。30符2翻は2000点だね!」
南と發のダブルバック。
喰いタン仕掛けではなかった。
――――――――――
点棒移動
北家 ひらく 23500 → -2000 → 21500
東家 ナオ 24700
南家 ふうろ 27100 → +2000 → 29100
西家 ひめる 24700
――――――――――
東三局 ドラ白
西家 ひらく 21500
北家 ナオ 24700
東家 ふうろ 29100
南家 ひめる 24700
ひらく 手牌
[1235789m 13p 12s 白白]
ドラ2、一向聴。
2p、3s。2種8枚が有効牌である。
確定メンツ、123m、789m。雀頭、白白。メンツ候補、13p、12s。
4メンツ1雀頭の5ブロック構成。面前手か混全帯么九が主体となる。
123三色もつく。鳴いても4翻ある、豪勢な牌姿だ。
ひめるのツモ。
打、2p。
「チ――」
「ポン!」
ふうろが[222→p]と仕掛けてくる。
一副露。
打、9s。
重要牌の2pを奪われた。
ツモ。
[1235789m 13p 12s 白白][ツモ牌 3p]
打、1p。
3p、3s、白。3種8枚待ちの一向聴へと変化した。
三色ルートは捨て、白鳴きでの復帰を目指す。
「ツモ!」
ふうろ、倒牌。
[45666p 56788s][222→p][ツモ牌 8s]
「断么九、ドラ2。親の30符3翻は2000オールだね!」
3-6p、8sの変則三面張。
――――――――――
点棒移動
西家 ひらく 21500 → -2000 → 19500
北家 ナオ 24700 → -2000 → 22700
東家 ふうろ 29100 → +6000 → 35100
南家 ひめる 24700 →-2000 → 22700
――――――――――
東三局 一本場 ドラ北
西家 ひらく 19500
北家 ナオ 22700
東家 ふうろ 35100
南家 ひめる 22700
ひらく 手牌
[24567m 2379p 3445s][ツモ牌 4s]
打、9p。
ドラ1。一向聴。
3m、1p、4p。3種12枚が有効牌である。
確定メンツ、567m、345s。雀頭、44s。メンツ候補、24m、23p。
4メンツ1雀頭の5ブロック構成。面前手が主体となる。
中膨れからの、珍しい雀頭が生まれた。あとはメンツの成形だけ。
2mと9pの効率は変わらない。しかし断么九や234三色も見ての9p切りとなった。
7pを残すのは、6p引きだけ好形になるからだ。
4pは鳴く。
片アガリを潰し、3m待ちの喰いタンをとる。
……愚形待ちになるけど、ふうろちゃんの勢いを止めないと……!
ツモ。
[24567m 237p 34445s][ツモ牌 8m]
打、7p。
369m、14p。5種19枚待ちの一向聴へと変化した。
萬子が三面形に進化する。面前での好形リーチも望める展開となった。
ツモ。
[245678m 23p 34445s][ツモ牌 東]
不要牌。ツモ切る。
「ポン!」
ふうろが[東↑東東]と仕掛けてくる。
一副露。
打、9m。
ダブ東を鳴かれた。しかし生牌では、長く持っているほうが危険だ。
ツモ。
[245678m 23p 34445s][ツモ牌 1p]
「リーチ!」
打、2m。
3-6-9mの三面張。
リーチ、平和、ドラ1。30符3翻は3900点である。
先制の聴牌。超好形リーチで親落としにいく。
ふうろのツモ。
打、8m。
ひらくのツモ。
打、6s。
強気の打牌。引く気はないようだ。
ふうろ、ツモ。
打、5p。
ひらく、ツモ。
開牌。
九萬!
「ツモ!」
倒牌。
[45678m 123p 34445s][ツモ牌 9m]
「リーチ、ツモ、平和、ドラ1。20符4翻1300、2600の一本場は1400、2700点です!」
――――――――――
点棒移動
西家 ひらく 19500 → +5500 → 25000
北家 ナオ 22700 → -1400 → 21300
東家 ふうろ 35100 → -2700 → 32400
南家 ひめる 22700 → -1400 → 21300
――――――――――
東四局 ドラ南
南家 ひらく 25000
西家 ナオ 21300
北家 ふうろ 32400
東家 ひめる 21300
ひらく 手牌
[23m 34788p 446s 南南北]
ドラ2、三向聴。
1234m、23456789p、456s、南、北。17種55枚が有効牌である。
メンツ候補、23m、34p、788p、446s、南南。
5メンツの5ブロック構成。自風牌南の仕掛けが主体となる。
ふうろのツモ。
打、南。
「ポン!」
ひらくが仕掛ける。
一副露。
[23m 34788p 446s 北][南↑南南]
打、北。
二向聴。14m、25689p、45s。9種32枚待ち。
ドラ3の仕掛け。必ずアガリにいく。
「ポン!」
ふうろが[北↑北北]と仕掛け返す。
同じく一副露。
打、6p。
ツモ。
[23m 34788p 446s][南↑南南][ツモ牌 5p]
打、6s。
14m、689p、4s。6種20枚の受け入れを持つ一向聴となった。
鳴ける牌は、すべて鳴く。
どこからでも両面の、最終形となる持ち方だ。
ナオのツモ。
打、3s。
「ポン!」
ふうろが再び[333→s]と仕掛けてくる。
二副露。
打、3p。
またも先行されたか。
ひめるのツモ。
打、4s。
「ポン!」
ひらくが再び仕掛ける。
同じく、二副露。
[23m 345788p][南↑南南][←444s]
打、7p。
1-4m待ち聴牌。
南、ドラ3。30符4翻は7700点である。
追いついた。速度勝負だが、打点もある。
……アガれば、トップ目にも立てる……!
ふうろのツモ。
打、5m。
ひらくのツモ。
[23m 345788p][南↑南南][←444s][ツモ牌 4s]
「カン!」
4sの加槓。
嶺上牌に手を伸ばす。
「ロン!」
「えっ……!?」
和了宣言に遮られた。
ふうろ、倒牌。
[11234p 56s][北↑北北][←333s][ロン牌 4s]
「槍槓、北、ドラ1。30符3翻は3900点だね!」
――――――――――
点棒移動
南家 ひらく 25000 → 21100
西家 ナオ 21300
北家 ふうろ 32400 → +3900 → 36300
東家 ひめる 21300
――――――――――
ふうろ 36300
ひらく 21100
ナオ 21300
ひめる 21300
――南入




