東風戦 第3幕
ひらくは、部室のドアを開く。
「こんにちは! ナオ部長、ふうろちゃん、ひめるちゃん!」
「相変わらず、元気のいいことさ」
「どんどん新しいことを知れて楽しいですから! もっと勝つための戦略を、覚えていきたいです!」
「残念ながら、麻雀に必要な技能はあらかた教えたんさ。だから総まとめとして、もう一度東風戦で打ってみようさ」
「前回はふうろちゃんに負けてますから……次は頑張ります!」
「その意気さ! 他の二人も準備はいいかさ?」
ふうろとひめるが、立ち上がる。
ナオが雀リングを起動した。
「セットアップ! 雀牌!!」
麻雀が広がる――
【東風戦】
東一局 ドラ8p
東家 ふうろ 25000
南家 ひらく 25000
西家 ナオ 25000
北家 ひめる 25000
ひらく 配牌
[246m 2889p 456s 東南中]
ドラ2。四向聴。
開局。最速のアガリを目指す。
牌理を切り開く。
――――――――――
[246m 2889p 456s 東南中][ツモ牌 6s]
打、東。
[246m 2889p 4566s 南中][ツモ牌 4p]
打、中。
[246m 24889p 4566s 南][ツモ牌 3s]
打、南。
――――――――――
[246m 24889p 34566s]
二向聴。
35m、378p、6s。6種19枚が有効牌である。
確定メンツ、345s。雀頭、66s。メンツ候補、246m、24p、889p。
4メンツ1雀頭の5ブロック構成。面前手か喰いタンが主体となる。
ふうろのツモ。
打、3p。
「チー!」
ひらくが仕掛ける。
一副露。
[246m 889p 34566s][←324p]
打、9p。
35m、8p、6s。4種11枚の受け入れを持つ一向聴となった。
喰いタンにいくため、9pを切り払う。
鳴ける牌は、すべて鳴く。特にドラ8pは満貫手として見逃せない。
ツモ。
[246m 88p 34566s][←324p][ツモ牌 5m]
打、2m。
8p、6sのシャボ待ち。
断么九、ドラ2。30符3翻は3900点である。
先手をとった。
愚形待ちだが、
……まだ伸びがある……!
ふうろのツモ。
打、7s。
「チー!」
ひらくが再び仕掛ける。
二副露。
[456m 88p 346s][←324p][←756s]
打、6s。
2-5sの両面待ちへと喰い伸ばす。
好形を得て、憂いを断ち切った。あとはアガリきるだけだ。
「ツモ!」
ひらく、倒牌。
[456m 88p 34s][←324p][←756s][ツモ牌 2s]
「断么九、ドラ2。30符3翻は1000、2000点です!」
――――――――――
点棒移動
東家 ふうろ 25000 → -2000 → 23000
南家 ひらく 25000 → +4000 → 29000
西家 ナオ 25000 → -1000 → 24000
北家 ひめる 25000 → -1000 → 24000
――――――――――
東二局 ドラ3s
北家 ふうろ 23000
東家 ひらく 29000
南家 ナオ 24000
西家 ひめる 24000
ひらく 手牌
[445m 12277p 89s 南發發]
ドラ0。七対子の二向聴。
5m、1p、89s、南。5種15枚が有効牌である。
發鳴きは、たったの1翻。メンツ手は切り捨てたほうがいい。
ツモ。
[445m 12277p 89s 南發發][ツモ牌 9s]
打、8s。
5m、1p、南。3種9枚の受け入れを持つ一向聴となった。
七対子の好牌は、中張牌よりも幺九牌である。
……だけど、みんなの河に萬子が多い……。
特にナオとふうろが、早めに6mを切っている。5mは牌山にあるはず。
ツモ。
[445m 12277p 99s 南發發][ツモ牌 9s]
ツモ切り、9s。
対々和には向かわない。
トイトイには發鳴きが必須。發以外では4m、2p、7pと鳴きにくい牌が残る。ここは七対子を維持し、最終打点を狙う。
ツモ。
[445m 12277p 99s 南發發][ツモ牌 5m ]
「リーチ!」
打、1p。
南単騎待ち。
リーチ、七対子。親の25符3翻は4800点である。
先制の聴牌。字牌単騎は、絶好の待ちだ。
他家が向かってくる気配はない。
ひらくの一人旅となった。
「ツモ!」
ひらく、倒牌。
[4455m 2277p 99s 南發發][ツモ牌 南]
「リーチ、ツモ、七対子。親の25符4翻は3200オールです!」
――――――――――
点棒移動
北家 ふうろ 23000 → -3200 →19800
東家 ひらく 29000 → +9600 → 38600
南家 ナオ 24000 → -3200 → 20800
西家 ひめる 24000 → -3200 → 20800
――――――――――
東二局 一本場 ドラ1m
北家 ふうろ 19800
東家 ひらく 38600
南家 ナオ 20800
西家 ひめる 20800
ひらく 手牌
[5678m 1124p 567s 東東]
ドラ1。一向聴。
13p、東。3種7枚が有効牌である。
確定メンツ、567s。雀頭、11p。メンツ候補、5678m、24p、東東。
4メンツ1雀頭の5ブロック構成。ダブ東の仕掛けが主体となる。
東が頼りだが、序盤でナオに1枚捨てられていた。牌山の浅い場所に、眠っていることに期待する。
「リーチ!」
ナオからの先制リーチ。
打、7p。
後手に回る。
ツモ。
[5678m 1124p 567s 東東][ツモ牌 5p]
無筋5p。危険牌を引き入れた。
ナオとは17800点差。ここで放銃すれば、大きく縮まるかもしれない。
……危険牌を避ける……。
退路を切り開く。
ナオ 捨牌
[東 南 1s 2s 5m 7p]
[【5】67【8】m 1124p 567s 【東東】][ツモ牌 5p]
現物3枚。筋牌1枚。
今はこれ以外は切れない。
ひらくの選択。
打、東。
東3枚見えで、他家にも安牌だ。ベタオリを考えるのならば、5mからが正着だが、
……今は私の親番。ギリギリまで回ってみる……。
ツモ。
[【5】67【8】m 11245p 567s 【東】][ツモ牌 6p]
東、連打。
3456789m、12347p。12種39枚待ちの一向聴へと変化した。
ナオのツモ。
打、2p。
「ポン!」
ふうろが[2↑22p]と仕掛けてくる。
一副露。
打、3p。
ツモ。
[【5】67【8】m 【112】456p 567s][ツモ牌 5m]
打、2p。
5m、1pのシャボ待ち。
リーチは打たない。後手な上に、ナオの待ちには枚数で負けている可能性が高い。
今局の目的は、聴牌の維持。アガリにいくことではない。ツモったらツイてる、くらいの気持ちである。
ツモ。
[【55】67【8】m 【11】456p 567s][ツモ牌 8p]
危険牌。
打、1p。
ふうろの2pポンと、ひらくが捨てた1枚数で4枚見えだ。
1pは壁。1-4pの両面が否定され、かなり通りやすくなった。
ふうろのツモ。
打、7p。
「チー!」
ひらくが仕掛ける。
遅まきの一副露。
[【55】67【8】m 【1】4568p 567s][←768p]
打、1p。
3-6p待ち。
聴牌復活。3pはふうろが、リーチ後に通している。ポロリと出てくるかもしれない。
ツモ。
[【55】67【8】m 45p 567s][←768p][ツモ牌 9s]
再び無筋。
……この辺りが限界かも……。
打、5m。
5679sからの横引きに備え、5mを連打できる体勢だけにはしておく。
数巡が過ぎる。
聴牌の維持には、至れなかった。
流局。
ナオ以外の全員は、不聴を宣言する。
ナオ、倒牌。
[111m 789p 56778s 中中]
ドラ3。6-9s待ち。
ナオの一人聴牌。他家から1000点ずつを受け取った。
親のひらくが不聴のため、東三局の二本場として次局へ移る。
――――――――――
点棒移動
北家 ふうろ 19800 → -1000 → 18800
東家 ひらく 38600 → -1000 → 37600
南家 ナオ 20800 → +3000-1000→ 22800
西家 ひめる 20800 → -1000 → 19800
――――――――――
東三局 二本場 供託リー棒×1 ドラ5p
西家 ふうろ 18800
北家 ひらく 37600
東家 ナオ 22800
南家 ひめる 19800
ひらく 手牌
[6789m 3457p 11266s][ツモ牌 7s]
打、2s。
ドラ2。二向聴。
456789m、256789p、1456789s。19種65枚が有効牌である。
確定メンツ、345p。雀頭、11s。メンツ候補、6789m、667s。
3メンツ1雀頭の4ブロック構成。面前手が主体となる。
2s切りが最効率。9mを切ると4種13枚ものロスがある。
ツモ。
[6789m 3457p 11667s][ツモ牌 5s]
打、9m。
256789p、145678s。12種40枚の受け入れを持つ一向聴となった。
最効率は6s切り。しかし9m切りなら、最終形に両面を求めやすい。好形リーチを打ちにいく。
ツモ。
[678m 3457p 115667s][ツモ牌 6p]
「リーチ!」
打、6s。
2-5-8pの三面張。
リーチ、平和、ドラ2。30符4翻は7700点である。
先制の聴牌。この手をアガれば、トップの確率が跳ね上がる。
「リーチ!」
ナオからの追っ掛けリーチ。
打、5s。
同巡内で追いつかれた。
親のナオとの一騎討ち。
視線が交わる。
「ツモ」
『なっ……!?』
同時に和了宣言を見る。
ひめる、倒牌。
[12345m 567p 789s 北北][ツモ牌 6m]
「ツモ、平和。20符2翻400、700の二本場は600、900点」
――――――――――
点棒移動
西家 ふうろ 18800 → -600 → 18200
北家 ひらく 37600 → -600-1000→ 36000
東家 ナオ 22800 → -900-1000→ 20900
南家 ひめる 19800 → 20/2 → +2100+2000+1000 → 24900
――――――――――
東四局 ドラ西
南家 ふうろ 18200
西家 ひらく 36000
北家 ナオ 20900
東家 ひめる 24900
ひらく 配牌
[78m 14p 123479s 西北中]
ドラ1。四向聴。
アガリトップ条件。
2着目のひめるとは、11100点差。親満で捲られるため、今局も戦意を見せる。
牌理を切り開く。
――――――――――
[78m 14p 123479s 西北中][ツモ牌 7m]
打、北。
[778m 14p 123479s 西北中][ツモ牌 6s]
打、中。
[778m 14p 1234679s 西][ツモ牌 西]
打、1p。
[778m 4p 1234679s 西西][ツモ牌 9s]
打、4p
――――――――――
[778m 12346799s 西西]
二向聴。
679m、589s、西。7種22枚が有効牌である。
雀頭、99s。メンツ候補、778m、1234s、67s、西西。
4メンツ1雀頭の5ブロック構成。自風牌西の仕掛けが主体となる。
引き次第で一気通貫もある。5sは仕掛け、イッツーと西の天秤にも取りたい。
打点は関係ない。
……1巡でも早く、聴牌する……!
ツモ。
[778m 12346799s 西西][ツモ牌 5s]
打、7m。
69m、89s、西。5種16枚の受け入れを持つ一向聴となった。
69m、8s、西。鳴ける牌は、すべて鳴く。
ひめるのツモ。
打、西。
「ポン!」
ひらくが仕掛ける。
一副露。
[78m 123456799s][西↑西西]
打、1s。
6-9m待ち。
西、ドラ3。30符4翻は7700点である。
勝利への聴牌。あとは捲り合いを、制するだけとなった。
ナオのツモ。
打、7p。
ひめるのツモ。
打、1m。
ひらくのツモ。
[78m 23456799s][西↑西西][ツモ牌 7p]
不要牌。ツモ切る。
打、7p。
七筒!
「ロン」
「えっ……!?」
7pは前巡に、ナオが通した牌だった。
ひめる、倒牌。
[234m 2333456p 345s][ロン牌 7p]
「断么九、平和、ドラ1。親の30符3翻は5800点」
「そんな……11600点の差が……!」
――――――――――
点棒移動
南家 ふうろ 18200
西家 ひらく 36000 → -5800 → 30200
北家 ナオ 20900
東家 ひめる 24900 → +5800 → 30700
――――――――――
1位 ひめる 30700
2位 ひらく 30200
3位 ナオ 20900
4位 ふうろ 18200
―― 終 局 !!
「ドラを切ったひめるちゃんも、危ないとは思っていましたけど……今回も届きませんでした」
「麻雀だから、そんなこともあるさ。戦術も悪くなかったし、気落ちせずに打てば結果はついてくるんさ」
「はい! もっと練習して、もーっと強くなります!」




