牌効率
「今回は牌効率を教えるさ。とはいっても、ひらくにはもう基本的な効率が備わっているはずなんさ」
「そうなんですか? いつの間に……」
「役を教えたとき、実戦の中で知らずの内に会得しているさ。そうでなきゃ、ひらくはあそこまで活躍できていないはずなんさ」
「基本だけど大切な牌効率……改めて復習したいです!」
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孤立牌のランク
1位 3.7
[3]の受けは[12345]の5種19枚。
[2.4]で端待ちの両面ターツになりやすい。1を引いても[13]と端のカンチャンになる。
2位 4.5.6
[5]の受けは[34567]の5種19枚。
待ちは中央に寄るが、タンヤオに近づく。赤ドラの受けにも適している。
3位 2.8
[2]の受けは[1234]の4種15枚。
[3]受けがラッキー。[1]の受けが弱い。上位があれば捨てられる。
4位 1.9
[1]の受けは[123]の3種12枚。
[23]のどちちらで受けても愚形。優先的に捨てられる。
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「最初に教えた基本形最弱の孤立牌さ。この中にでもランキングが存在するんさ」
「たった9枚なのに、情報量がすごいです……」
「ただ牌姿にしてしまえば、至極当たり前のことが書いてあるだけなんさ」
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[16m 34458p 3447s 西西][ツモ牌 2p]
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「さあ、なにを切るさ?」
「1mです!」
「正解さ。1m、6m、8p、7sの比較で孤立牌ランク最下位の1切り。同じように続けると……」
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[6m 234458p 3447s 西西][ツモ牌 2s]
打、8p。
[6m 23445p 23447s 西西][ツモ牌 8s]
打、6m。
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「なんてことない、ひらくがいつも打っている手順なんさ」
「受け入れ枚数とかを書かれると、知らないことみたいで新鮮ですね」
「さらに孤立牌の中でも筋に位置するものは、もっと弱くなるんさ」
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[145m 458p 13458s 西西][ツモ牌 3p]
打、1m。
[45m 3458p 13458s 西西][ツモ牌 5p]
打、8p。
[45m 3455p 13458s 西西][ツモ牌 4s]
打、1s。
[45m 3455p 34458s 西西][ツモ牌 6m]
打、8s。
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「特に14、69、25、58の並びとなる牌は、将来的に[1.9.2.8]が不必要になる可能性が高いのさ」
「今までの打牌の中で、こうなっていたことが多い気がします」
「同じようにカンチャン進化の筋もいらなくなるんさ」
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[12m 4579p 45788s 西西][ツモ牌 4m]
1mがなくても、3m受けが残る。
打、1m。
[24m 4579p 45788s 西西][ツモ牌 5m]
同じく2mがなくても、36m受けが残る。
打、2m。
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「どうだい、ひらく? これらは今までの中でも、無意識に行われていることのはずさ」
「明文化されたことで、より深く再認識できた気がします」
「それじゃあ、ここらで気分転換しようさ。座学や練習モードも必要だけど、対人戦もやっていこうさ」
ナオが雀リングを構える。
ふうろとひめるが立ち上がるのを確認してから、
「今日からは特殊ルールを敷くさ。完全ポイント制で原点20Pを和了によって削っていく方式さ」
「25000点を加点のない、20Pとするんですね」
「ポイントはツモで全員に-1点。リーチなら-2点。ロンは放銃者が-1点。リーチへの放銃は-3点とするさ」
「リーチには2、3倍のアドバンテージが……! それに役は関係がなくなるんですね?」
「そうさ! リーのみでもツモは-2点。役満でも-2点。とにかくリーチしてアガると強いルールなんさ」
「なるほど。よくわかりました」
「誰かが0Pを切った時点で、一番Pが残っていた者の勝ちとするさ。これは長期戦となる上に連日Pを引き継ぐから、毎局を大切に打つことが肝要さ」
ナオがリングを起動する。
「セットアップ! 雀牌!!」
麻雀が広がる――
【ポイントマッチ】
東一局 ドラ5m
東家 ナオ 20P
南家 ふうろ 20P
西家 ひらく 20P
北家 ひめる 20P
ひらく 配牌
[1358m 46p 24459s 北白]
ドラ2。ダブドラを引いたが、
……打点は関係ないんだよね……。
起家はナオ。
第一打、南。
「ポン!」
ふうろが仕掛けてくる。
一副露。
打、發。
「へへっ、飛ばしてくよ!」
「ちょ、ふうろ!? ルール聞いてかさ? このポイントマッチでは、2倍以上の打点になるリーチがすごく有利なんさぁ!」
「そーなの? でも関係ないね……2、3倍の回数アガればいいだけだよ!」
……さすが、ふうろちゃん。ブレないなぁ……。
しかしどう考えても、リーチを狙うべきだ。
ポイントマッチに、役や打点はない。最速の聴牌を目指す。
牌理を切り開く。
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[1358m 46p 24459s 北白][ツモ牌 3p]
打、北。
[1358m 346p 24459s 白][ツモ牌 6s]
打、白。
[1358m 346p 244569s][ツモ牌 5s]
打、9s。
[1358m 346p 244556s][ツモ牌 1s]
打、8m。
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[135m 346p 1244556s][ツモ牌 7p]
打、1s。
456sで1メンツ。34p、67p、56sは両面ターツ。
135mと12sの比較。強い両嵌形を残す。
ツモ。
[135m 3467p 244556s][ツモ牌 4m]
打、1m。
二向聴。2sの重なりは、タンヤオの雀頭になる。基本は面前でも、いざというときには鳴けるように寄せておく。
ツモ。
[345m 3467p 244556s][ツモ牌 5p]
打、2s。
2345678p、34567s。12種38枚の受け入れを持つ一向聴となった。
……絶好の三面形……!
万全の態勢で、次巡を迎える。
「リーチ」
ひめるからの先制リーチ。
打、8s。
……ひめるちゃんが、リーチ……!?
当然か。翻という概念のないポイントマッチで、リーチによって先手を取ることは最強の一手だ。
ひめるといえども、ダマにする理由はない。
……同巡で追いつく……!
ツモ。
[345m 34567p 44556s][ツモ牌 7m]
不要牌。ツモ切る。
対面のナオが息を飲み、
「普段はリーチをしないから目立たないけど、ひめるの牌効率は部長のあたしをも凌ぐんさ……!」
「ツモ」
ひめる、倒牌。
[567m 78889p 45678s][ツモ牌 9s]
「リーチ、ツモは-2Pオール」
東二局 ドラ2s
北家 ナオ 18P
東家 ふうろ 18P
南家 ひらく 18P
西家 ひめる 20P
ひらく 手牌
[1368m 344p 235577s][ツモ牌 4m]
打、1m。
134mの形は、1mがなくても成り立つ。
中張牌へと寄せながら、次のツモに方針を問う。
[3468m 344p 235577s][ツモ牌 8s]
打、8m。
34m、344p、23s、778sはどれも強ターツ。5sを雀頭扱いにすれば、68mのカンチャンが外れるのは必然である。
[346m 344p 2355778s][ツモ牌 6s]
打、6m。
[34m 344p 23556778s][ツモ牌 2m]
打、7s。
245p、145s。6種19枚の受け入れを持つ一向聴となった。
7sを切ることで[344p 2355s]が余剰牌のない形――完全一向聴となる。
無駄なく構え、リーチを狙う。
ツモ。
[234m 344p 2355678s][ツモ牌 4s]
「リーチ!」
打、4p。
2-5p待ち聴牌。
リーチ、断么九、平和、ドラ2の5翻。高め2pは234三色がつき7翻は跳満である。
先手を取った。
ナオのツモ。
手出し、4p。
「今度はひらくかさ! まったく……元気に良い一年さ!」
ひらくのツモ。
見牌。
二筒!
「ツモ!」
倒牌。
[234m 34p 23455678s][ツモ牌 2p]
「リーチ、ツモは-2Pオールです!」
東三局 ドラ1p
西家 ナオ 16P
北家 ふうろ 16P
東家 ひらく 18P
南家 ひめる 18P
ひらく 手牌
[233378m 566p 6888s]
二向聴。
手牌に暗刻が二ヶ所。手広く構えられそうだ。
ツモ。
[233378m 566p 6888s][ツモ牌 4p]
打、6p。
12469m、67s。7種26枚の受け入れを持つ一向聴となった。
萬子を主軸に、どこからでも好形リーチの打てる形だ。
「リーチ!」
ナオからの先制リーチ。
打、7m。
後手を踏んだ。
……でも、あと一牌……!
ツモ。
[233378m 456p 6888s][ツモ牌 5s]
打、2m。
6789m、4567s。8種28枚待ちの一向聴へと変化した。
5sは切りにくいため、両面ターツを増やして回る。
ナオのツモ。
「きたきた、ツモさぁ!」
麻雀卓に、牌を叩きつけた。
一萬!
ナオ、倒牌。
[1199m 123789p 123s][ツモ牌 1m]
「リーチ、ツモは-2Pオールさぁ!」
ナオ 16P
ふうろ 14P
ひらく 16P
ひめる 16P
――東四局
―― 中断 ――
「リーチを強くして、牌効率を鍛える変則マッチさ。教え終わる頃には、決着がついているかもしれないさ」
「今までにない形式の中で、習ったことを生かせるところが面白いです!」




