麻雀部 設立!
【一局戦】
東一局 ドラ9s
東家 ひめる 25000
南家 ふうろ 25000
西家 ナオ 25000
北家 ひらく 25000
ひらく 配牌
[12m 3359p 14688s 東發]
……なにこれ……?
牌は主に4種類。
数字と漢字の『萬』が描かれた、赤い牌。丸い点がいくつかある、青い牌。竹のような棒がある、緑の牌。あとは漢字だけの牌。
起家は、ひめる。
第一打が放たれる。
打、南。
「ポン!」
ふうろが仕掛けてくる。
一副露。
打、1s。
……漢字の重なり……?
ツモ。
[12m 3359p 14688s 東發][ツモ牌 發]
打、東。
ひめるの一打目は、南だった。
……漢字の牌は、あまり必要ないのかも……?
ただしダブった『發』は残しておく。
ひめるのツモ番。
打、9m。
「チー!」
ふうろが、再び[←978m]と仕掛けてくる。
二副露。
打、東。
「おいおい、ふうろ。相変わらず飛ばすねぇ? ひらくの歓迎会ってこと、忘れてない?」
「ボクなりの歓迎だよ! 四人で打てるの、すっごく楽しい!」
ツモ。
[12m 3359p 14688s 發發][ツモ牌 3m]
打、1s。
……[←978m]は数字で繋がってる。続く数字に意味があるのかも……!
1sに描かれた『鳥』の意味はわからない。
ただ牌は最初に、自動で整理されていた。この順序が正式な並びだとすれば、1sは緑グループの端となる。
3359pには、点の数で数字の並びがわかる。46sは竹の数。88sは『M』を分解すると、八本に見えなくもない。
緑グループの右側にいるなら、8と考えるのが妥当だ。
ふうろも捨てていた、1sしかない。
ふうろのツモ番。
打、發。
……3枚目の重なり……発音は確か……!
「ポ、ポン!」
ひらくが仕掛ける。
一副露。
[123m 3359p 4688s][發↑發發]
……コールのあとは、1枚捨てる……?
3359pと4688sで繋がりが弱いのは、一ヶ所しかない。
打、9p。
「ポン!」
ふうろが、三度仕掛けてくる。
怒濤の三副露。
打、3p。
……重なってる数字も、コールできる……!
「ポン!」
ひらくが仕掛け返す。
二副露。
[123m 5p 4688s][發↑發發][3↑33p]
……孤立した色がある……!
打、5p。
ナオが口笛を鳴らす。
「初心者がポン! それも二回も! 予想外に楽しくなってきたぁ!」
ナオのツモ番。
「リーチ!」
ナオからの先制リーチ。
打、6p。
「あたしも祭りに混ぜてもらうよ!」
「いや部長だって本気じゃん! ひらく! リーチは、あと一牌でアガリってことだよ! 気をつけて!」
「そもそもアガリってなんですか……!?」
ツモ。
[123m 4688s][發↑發發][3↑33p][ツモ牌 7p]
ふうろの様子を見ると、何かの危機が迫っていることはわかる。
麻雀卓の変化は、横向きに打たれた6pのみ。これでは何もわからない。
繋がりのない、7pを切る他ない。
打、7p。
瞬間、強い息遣いがした。
ひめるだ。
……この牌は、そんなに危ないの……!?
しかし何も起こらなかった。
場が進行する。
ふうろのツモ。
打、西。
ナオのツモ。
打、6s。
ひらくのツモ。
[123m 4688s][發↑發發][3↑33p][ツモ牌 3s]
打、6s。
2-5sへの待ち変え。
……緑の6は、部長さんがいらない牌……!
6sが通った。
ナオ、ツモ。
「ツモ!」
倒牌。
[234m 22267p 567s 北北][ツモ牌 8p]
「リーチ、ツモ、ドラ1。30符3翻は1000、2000点さぁ!」
……符? 翻? あの赤いのが、ドラ……?
考えてもわからない。ひらくは、牌姿だけでも記憶した。
――――――――――
点棒移動
東家 ひめる 25000 → -2000 → 23000
南家 ふうろ 25000 → -1000 → 24000
西家 ナオ 25000 → +4000 → 29000
北家 ひらく 25000 → -1000 → 24000
――――――――――
東二局 ドラ北
北家 ひめる 23000
東家 ふうろ 24000
南家 ナオ 29000
西家 ひらく 24000
ひらく 手牌
[23889m 3445p 479s 北]
……赤いのが一枚と、ドラが北だから二枚……?
345pの繋がりは、おそらく強い優秀な箇所。5pは点数にも関係のある、鍵牌かもしれない。
ツモ。
[23889m 3445p 479s 北][ツモ牌 8s]
打、4s。
繋がりのない、4sを切る。
続けてツモ。
[23889m 3445p 789s 北][ツモ牌 北]
打、9m。
3445pが34p、45pに見えなくもない。連続が強いなら、残す価値がありそうだ。
北が重なったため、出たらポンできる。
だが、
……今回のふうろさん……コールしない……。
前回と違い、大人しい。漢字がないのか、あるいは、
……漢字にも何かの制限が……?
「リーチ!」
ナオからの先制リーチ。
打、東。
また横向き。残り一枚の宣言だ。
「ポン!」
ふうろが仕掛けてくる。
一副露。
打、9s。
ツモ順が変わり、即座にナオが牌を引く。
打、1p。
ツモ。
[2388m 3445p 789s 北北][ツモ牌 8m]
ひらくの記憶が、切り開く。
――――――――――
[234m 22267p 567s 北北][ツモ牌 8p]
似ている。
ナオがリーチした状態と、そっくりだ。
――――――――――
……それなら、打てるはず……!
「リーチ!」
打、4p。
1-4m待ち聴牌。
追いついた。
ナオが牌を引きながら、大笑する。
「リーチまで! あたしにリーチ合戦を挑む気かい? 最高に燃えるー!」
打、8s。
ひらくのツモ。
「リーチ後は当たり牌以外、捨てるしかないさぁ! どうだい、当たりかい? どうなんだいっ!?」
打、5p。
ナオ、ツモ。
「まだ当たらない……! 当たらないかぁ!」
打、5m。
捨て牌を見送り、ひらくを見据える。
「引けるかい? 運命を切り開くツモ……君に引けるかさぁ!」
「わからない……でも部長さんが熱くなってるから! 私も勝ちたいって思えてくる! だから引きます!」
ひらく、ツモ。
見牌。
一萬!
当たり牌。そのときのコールも、耳に残っていた。
「ツモ!」
倒牌。
[23888m 345p 789s 北北][ツモ牌 1m]
リーチ、ツモ、ドラ3。30符5翻は満貫2000、4000点である。
――――――――――
点棒移動
北家 ひめる 23000 → -2000 →21000
東家 ふうろ 24000 → -4000 → 20000
南家 ナオ 29000 → -2000-1000→ 26000
西家 ひらく 24000 → +8000+1000→ 33000
――――――――――
1位 ひらく 33000
2位 ナオ 26000
3位 ひめる 21000
4位 ふうろ 20000
―― 終 局 !!
ひらくは試合結果を見つめ、
……1位、勝った……?
「ひらく! 本当に初心者かい? 見事な打ち筋だったさぁ!」
ナオが感嘆する。
ふうろも拍手で迎え、
「すごい、すごいねー! ひらく絶対才能あるよ、麻雀部入って楽しく遊ぼー!」
ひめるが軽く頷き、
「百年に一度の才能かも……?」
どれも褒め称える声。
ひらくは麻雀卓を、もう一度見る。
にへら、と顔を崩し、
「そ、そうかなぁ! 麻雀楽しいかも……麻雀部入ってみてもいいかも、なんてー……えへへっ!」
『うわ、チョロ……』
乗せられやすい性格でもあった。