二盃口《リャンペーコー》 海底撈月《ハイテイ》 河底撈魚《ホウテイ》
「今回は二盃口を教えるさ。以前に教えた、一盃口を覚えてるかさ?」
「[112233]のような形を含む手役ですね?」
「そうさ。文字通り、それが二ヶ所ある状態さ」
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[112233m 66778p 11s][アガリ牌 8p]
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「これも難しそうです。一盃口すら、そんなに頻出しませんし……」
「まあ出やすくて重要度の高い役は、序盤に教えているからさ。ここまで来ると、マメ知識みたいなもんさ」
「そうなんですね。とにかく形だけは覚えました」
「ついでに、もう一つだけ教えておくさ。海底撈月と河底撈魚。1翻役で牌山にある最後の牌を、ツモアガリすることが海底撈月。ロンでアガることを河底撈魚というんさ」
「つまり最後の牌でアガること……運要素が強いですね」
「流局直前での技術も多少はあるけど……段階的にもまだ早いし、省いておくさ」
「今はおまけ役だと思っておきますね」
「でたら嬉しい、レアおまけ……」
「ひゃあっ! ひ、ひめるさん……いきなり肩越しはびっくりするよ……」
ナオが大笑する。
「今日はひめるも、やる気みたいさ」
「ひめるはいつもやる気だけどね」
「んじゃ、対局宣言も任せたさぁ!」
ひめるが雀リングを起動する。
「セットアップ雀牌」
麻雀が広がる――
東一局 ドラ6s
東家 ナオ 25000
南家 ひめる 25000
西家 ひらく 25000
北家 ふうろ 25000
ひらく 配牌
[69m 55679p 112s 南西中]
ドラ1。
牌理を切り開く。
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[69m 55679p 112s 南西中][ツモ牌 3s]
打、9m。
[6m 55679p 1123s 南西中][ツモ牌 2s]
打、9p。
[6m 5567p 11223s 南西中][ツモ牌 7p]
打、6m。
[55677p 11223s 南西中][ツモ牌 3s]
打、中。
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ナオのツモ番。
打、6p。
ひめるのツモ番。
打、6p。
6pの連打。
ツモ。
[55677p 112233s 南西][ツモ牌 南]
「リーチ!」
打、6p。
西単騎待ち。
リーチ、七対子の3翻。
先制の聴牌。
6pに受ければ二盃口だが、前巡の二連打により待ちが1枚しかない。ここは場に1枚も切れていない、西単騎を選択する。
他家に目立った、動きはない。対抗がいなければ、一人旅だ。
ひらくのツモ。
打、發。
ツモは加速する。
2m、8p、東。三連打。
……なかなか引けない……。
単騎待ちでは、枚数が少ない。ツモるには、時間が掛かるだろう。
三段目の捨て牌に突入する。
依然として一人旅だが、やはり引けない。
……そろそろ牌山が終わる。居て、私の西……!
ひらく、ラスヅモ。
打、5s。
終わった。
ひめるが最後の1枚を取り、
「ツモ」
「最後の牌……これって……!?」
倒牌。
[334455m 77889s 西西][ツモ牌 9s]
「ツモ、平和、二盃口、海底撈月、ドラ1。20符7翻は跳満3000、6000点」
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点棒移動
東家 ナオ 25000 → -6000 → 19000
南家 ひめる 25000 → +12000+1000 → 38000
西家 ひらく 25000 → -3000-1000 → 21000
北家 ふうろ 25000 → -3000→ 22000
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1位 ひめる 38000
2位 ふうろ 22000
3位 ひらく 21000
4位 ナオ 19000
―― 終 局 !!
ナオが苦笑し、
「海底撈月つかずの安め6s出アガリでも4翻7700点から……なんつーアガリ方してるんさ……」
「おまけパワー」
ひらくは拍手を送り、
「最後まで頑張ることが、大切ってことだね!」