表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
まーじゃん! ~麻雀部 はじめました~  作者: 雀太郎
第1章 麻雀と役
16/55

三暗刻《サンアンコウ》 三色同刻《さんしょくどうこう》 混老頭《ホンロウトウ》

「今回は三暗刻(サンアンコウ)三色同刻さんしょくどうこう混老頭(ホンロウトウ)を教えるさ」


「急に三種類も……!?」


「慌てることないさ。この三つを一緒にしたのは、単にレア役だから、軽く覚える程度でいいって意味が大きいんさ」


「できるだけ頑張って覚えます!」


「まずは三暗刻……」


――――――――――


[333m 444p 22789s 西西][ツモ牌 2s]


[333m 444p 2299s][888s][ツモ牌 2s]


[333m 444p 22278s 西西][アガリ牌 9s]


――――――――――


「文字通り暗刻(アンコウ)が三つある役さ。鳴いても2翻あるんさ。ただし注意点は……」


――――――――――


[333m 444p 22789s 西西][ロン牌 西]


[333m 444p 2299s][888s][ロン牌 2s]


――――――――――


「相手から出た牌では暗刻(アンコウ)にならず、三暗刻は成立しないんさ」


「自分の手牌だけで、三種類の暗刻を集めろってことですね」


「お次は三色同刻。これは三色同順(さんしょくどうじゅん)と同じで萬子(マンズ)筒子(ピンズ)索子(ソウズ)、同じ数字を三色を作ることさ。ただし……」


――――――――――


[222m 222p 222789s 西西]


[222m 222p 22789s 西西][ロン牌 2s]


[222m 22789s 西西][222p][アガリ牌 2s]


――――――――――


「今度は三色の順子(シュンツ)ではなく、三色の刻子(コーツ)なんさ」


「順子と違って重なる確率は、かなり低くなりますね」


「出る確率0.04%……おまけに面前でも鳴いても2翻という効率の悪さ。はっきり言って役を知らなくても、まったく困らないさ」


「でも色んな役があると、少し楽しくなります」


「最後は混老頭(ホンロウトウ)さ。ひらく……ちょいと対々和(トイトイ)混全帯么九(チャンタ)の両方の役を一つの手牌で作ってみてくれさ」


――――――――――


[111m 999p 111s][西西西][東東東]


――――――――――


「こうですか?」


「そうさ! それが混老頭さぁ!」


幺九牌(ヤオチュウハイ)だけを使って対々和(トイトイ)をアガることですね」


「いや一つだけ特例があるんさ」


――――――――――


[1199m 99p 11s 東東西西中中]


――――――――――


「そっかぁ……確かに七対子(チートイツ)でも可能ですね」


「この2種類しかないんさ。混老頭自体は面前や仕掛けでも2翻だけど、必ず対々和(トイトイ)七対子(チートイツ)が付くから4翻となるわけさ」


「どれも確率は低いですけど、できたら嬉しいですね。あ、でもこの三役って……」


「気づいたかい? 実は三つとも複合するんさ」


「三暗刻、三色同刻、混老頭……8翻は倍満(バイマン)から……」


「まあ実際にこんな役をアガれる雀士なんて、そうはいないんさ。いるとしたら、それは……」


「それは、なんですか?」


「いや、なんでもないさ! 教えた役は出ないだろうけど……一局打っていくさぁ!」


 ナオが(じゃん)リングを起動する。


「セットアップ! 雀牌(じゃんぱい)!!」




 麻雀(うちゅう)が広がる――




東一局 ドラ4s

東家 ナオ 25000

南家 ひめる 25000

西家 ふうろ 25000

北家 ひらく 25000


ひらく 配牌

[112m 1379p 12s 東南北北]


 ドラ0。

 北鳴きと、123三色が本線か。

 牌理(ぱいり)を切り開く。


――――――――――

[112m 1379p 12s 東南北北][ツモ牌 1m]


 打、2m。


[111m 1379p 12s 東南北北][ツモ牌 南]


 打、東。


[111m 1379p 12s 南南北北][ツモ牌 1s]


 打、2s。

――――――――――


 ツモが効く。

 これなら混全帯么九(チャンタ)や、最大は対々和(トイトイ)までいくかもしれない。

 ふうろのツモ。

 打、南。


「ポン!」


 ひらくが仕掛ける。

 一副露(ワンフーロ)


[111m 1379p 11s 北北][←南南南]


 打、7p。

 37pを残せば、46p引きで両面になるが、

 ……違う。この手は、そうじゃない……!

 ツモ。


[111m 139p 11s 北北][←南南南][ツモ牌 1p]


 打、3p。

 他家(ターチャ)に動きはない。例えリーチされても、ここまで来たら最後まで突っ走る。

 ツモ。


[111m 119p 11s 北北][←南南南][ツモ牌 1p]


 打、9p。

 1s、北待ち。

 先制の聴牌(テンパイ)

 ひらくはナオを見据え、


「部長。さっき言いかけてたこと……聞かせてもらえませんか?」


 ナオがひらくの手牌に目を落とし、


「まさか……!? まさか、そんなことがあり得るのかさ……!」


 息を飲んでから続けて、


「ここ雀栄町(じゃんえいちょう)には、神話があるんさ。確率さえも超越したアガリを得意とした、(おおとり)の打ち手がいたってさ」


 ひらくは、牌山に手を伸ばす。


「もしも伝説が本当だったら……そんな幻のアガリをできる雀士がいるのかもってさ……!」


 ツモ。

 見牌(けんぱい)


 一索(イーソー)


「ツモ!」


 ひらく、倒牌(とうぱい)


[111m 111p 11s 北北][南南南][ツモ牌 1s]


 対々和(トイトイ)三暗刻(サンアンコウ)三色同刻(さんしょくどうこう)混老頭(ホンロウトウ)。60符8(ハン)倍満(バイマン)4000、8000点である。




――――――――――

点棒移動


東家 ナオ 25000 → -8000 → 17000

南家 ひめる 25000 → -4000 → 21000

西家 ふうろ 25000 → -4000 → 21000

北家 ひらく 25000 → +16000 → 41000

――――――――――




1位 ひらく 41000

2位 ひめる 21000(席上)

3位 ふうろ 21000

4位 ナオ 17000



 ―― (しゅう) (きょく) !!




「おおお、なんじゃこりゃあぁあああっ!?」


 ふうろが勢い余り、ひっくり返る。

 ひめるも驚きを、隠せない様子だ。

 盛り上がる麻雀卓(フィールド)。その中で一際大きな、笑い声が響いた。

 ナオだ。

 彼女は大笑し、


「まったく君は、とんでもない打ち手さぁ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ