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青い薔薇
奥山の紅葉散る頃
シャクシャクと歩き奏でる
男と女、既に三回の夜を共にする
お互いを貪る夜も三回
極限を言い訳に、不貞はたらく弱き二人
誰も責めない、責められない
人肌恋しい、精神的、物理的
もはや罪悪感でもない感情が芽生える
シンシンと雪積もる頃
芽生えた心はやがて成熟し、とある山小屋で命が宿る
奥山の紅葉を、鹿が踏み分ける頃
命が二つ咲き乱れる
一つは雄蕊、一つは雌蕊
雪解け水が、衣を濡らす頃
咲いた命は大きく育つ、
男女の中で、不貞の感覚は欠落していた
それから四季は巡る、巡る、巡る
ニュースではこう報道される
『とある山奥、青い薔薇が発見された』