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38.へーん、ほーん、ふーん????

 その後もアカリちゃんと話していると、時折王子様とのお茶会の話が出て来た。

 どうも本当にヘンリーと仲良くしているようだ。


 さりげなく、過干渉にならないように注意しながら「何の話してるの?」と聞いてみたが、「ルーカスには内緒」とはぐらかされた。

 あとさりげなく「最近部屋に変わったこととかない? 誰かが侵入した形跡があるとか」と聞いたら怪訝そうな顔をされた。


 この世界はカメラはないようだが、風魔法を使うと遠くの人と電話のように通信することが出来るらしい。

 ヘンリーは風属性の魔法が使えるということだし、盗聴器的な物が仕掛けられているかもしれない。


 コンセントとか給湯器とか怪しいらしいよ。電源が取れるから。

 風魔法が電動かどうかは知らないけど。


 いや、別にいいのよ、俺は。アカリちゃんがヘンリーと仲良くても。

 良くないのはジャンなのよ。


 でも聞いてほしい。朗報がある。

 最近、アカリちゃんはジャンとも仲が良いのだ。


 2人でこそこそ話していて、俺が合流すると慌てて素知らぬふりをしたりする場面によく出くわす。

 そして「何話してたのー?」と聞くと「何でもない!」と笑って誤魔化そうとするのだ。


 もちろん俺は敢えて誤魔化されてあげるけど、それを見るたび、「へーん、ほーん、ふーん????」とにやにやが止まらない。

 これはもうあれだ。交際秒読みだ。


 ヘンリーはサブイベントでもアカリちゃんと恋バナしたがっていたし、もしかしたらアカリちゃんはヘンリーに恋愛相談をしているのかもしれない。

 それで最近ジャンに猛アタックしているのかもしれない。きっとそうに違いない。


 本当はジャンの方からアタックしてもらいたかったけど、このご時世、女の子からグイグイいったっていいよね。

 某夢の国の映画でも、最近は王子様を待ってるだけのヒロインなんて出てこない時代だからね。自分で城建てちゃったりするからね。


 それならヘンリーとアカリちゃんがやたら仲が良くしているのも頷ける。

 何故俺に相談してくれないんだという一抹の悲しみはあるけど。2人が結ばれてくれるなら俺の悲しみなんて安いものだ。


 ジャンもアカリちゃんのことが好きなのは分かり切っている。

 きっと近いうちに2人は付き合うことになるんだろう。

 いつ俺に報告してくれるのか、今から楽しみだ。……してくれるよね?


 その時のことを考えて、どんな反応をしようかなと考えを巡らせる。

 驚いた方がいいんだろうか。それとも、「やっとくっついたのかよ!」とか言った方がいいかな。


 ウキウキして、今にもスキップしたくなるくらい……の、はずなんだけど。

 何となく、すっきりしない気持ちがあった。


 嬉しいのは確かで、楽しみなのも確かなんだけど……何となく、もやもやするというか。

 どうしてだろう。全部俺の願った通りになってるんだけどな。


 たぶんあれだ。いつもつるんでた友達に「今年のクリスマスは誰んち集まる!?」って言ったら皆なんか反応が悪くて、よくよく確認したら俺以外の全員に彼女もしくは一緒にクリスマスを過ごしてくれる女の子のあてがあったときの気持ちが近い。


 自分だけ置いてけぼりにされたのが寂しいのだ。

 「別にいいけど」とか言いつつ内心めちゃくちゃ悔しいときのやつだ。


 ハリ○タでもあったじゃん。男2:女1はどうしたってそうなるのよ。

 余りの男1はどうしたって気まずい思いや寂しい思いをするのよ。

 命がけの最終決戦直前に他2人がいちゃつき出したときのハ○ーの気持ちを思えば、今の俺の寂しさなんてほんの些細なことだ。


 解決方法としては、俺も彼女を作ればいいのだ。

 そうすれば恋に浮かれて寂しさなんて気にならなくなる。


 だけど、ここって夢の中なんだよなぁ、と思うと、どうにもそんな気になれなかった。

 頑張って彼女を作っても、夢オチではあまりに虚しすぎる。現実が辛すぎて枕を濡らしてしまうかもしれない。


 目を覚ました時に、彼女がいないから、余計に。


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