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上村先生は結婚して子供もいる?ただの遊び?

 いつもの通り、上村先生と私は社食で昼食を取っていた。

 先日は先生の挿管の素早さに感動したとか、それはあなたの介助が良かったのよ、などという話をしていた。

 

 そこへ佐々木先生がやってきた。


 「ここ、良いですか?それともお邪魔?」


 どうぞ、と上村先生が言った。


 「二人は付き合っているんでしょ?泣けるね~、私を置いてけぼりにして。ところで、上村先生って結婚して子供もいるんじゃなかったっけ。まさか不倫だったりして?」


 上村先生の顔色が変わった。

 

 「何故それを?」


 「トップシークレットを偶然知ってね。」

 

 上村先生は肯定も否定もしなかった。

 

 「ごちそうさま。急ぎの用事があるから、お二人で会話を続けて」


 上村先生はそう言うと、まだ半分残っている豚の生姜焼きとご飯を返却口に返し、足早に何処かへ行ってしまった。


 「ビンゴだね~。鎌掛けたら当たっちゃった。女医であれだけの色気と美貌、お金を持った人が結婚してないなんて有り得ないでしょう。あなたは遊ばれているんだよ、吉田君。上村先生は多分50代前後だと思うけれども、肌も綺麗だし、艶々しているよね。吉田君と付き合い始めたら、一層艶々してね。あなたのエキスが吸い取られたみたい...」


私は佐々木先生の言葉を遮った。


 「上村先生と私はただの友人です。何の関係もありません。」


 私は小さな嘘をついた。


「不倫した人は、やがて夫・子供の元へかえっていくの。そして、不倫は燃え上がっても次第に飽きるものなの。吉田君は覚悟しておいた方が良いわよ。」


 「ところで,今日は家に来ない?」


 私は、佐々木先生のマンションへ行った。豊洲にあるタワーマンションの高層階で、夜の眺めは素晴らしい。広いリビングには大きなテレビとソファーがあり、寝室も広いが、そこにはダブルベッドがあった。

 上村先生の世田谷の戸建てとは雰囲気が全く違う。


 私はもう、誰でも良かった。

 この心の隙間を埋めてくれるなら...。


 二人ともシャワーを浴びた。

 ソファーに座り、テレビを観ていた私の太ももを手で撫でた。

 その夜、私は佐々木先生と交わった。


 私はもう一度シャワーを浴びた。

 ふーっとため息をついた。

 佐々木先生は冷蔵庫にあるビールを二缶取り出すと、リビングのテーブルに置いた。

 二人でビールを飲み、深夜番組を観た。


 「私はまだ独身だし、しがらみとかはないと思うよ。前みたいに、付き合って何処かへ行こうよ。夏休みは海外へ行ったり。」


 私は黙った。

 そういう気分じゃない。

 上村先生が言っていた事は嘘だったのか?

 

 自分の携帯のセンサーがピカピカと光っていたので、見てみると、メールが入っていた。

 送信は上村先生だった。


 「真実を全て話すわ。」


 と書かれていた。

 

 「わかりました。」


 と打った。


 私との関係は遊びなのか、あの時の涙は一体何だったのだろうか、本人から詳しく話を聞きたい。 

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