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上村先生は勘がいい

 私は、佐々木先生の誘いを断り続けた。

 男性の時と違い、生理的に受けつけないからだ。

 とうとう佐々木先生は諦めたようだ。私を誘ってくることはなくなった。


 私は広い食堂で昼食をとっていた。珍しく、この病院は医師がたくさんいる。患者の病床数が900に対し、医師は研修医含めて200人くらいだろうか。こんな医師がたくさんいる病院はほとんどない。しかも、東大卒の医師が多い。


 「吉田君、ここいい?」


 私の正面の席に、上村先生が座った。


 上村先生は、呼吸器内科の女医さんだ。肩の高さまである黒髪を一つにまとめ、両耳に銀色のピアスをしていた。小柄で白衣の下にはスカートとストッキングを履いていた。アラフィフといった感じだろうか。学生時代は、東大の主席だったという噂もちらほら。


 「ところであなた、佐々木先生を振ったの?」


 私はスープを吹き出しそうになった。


 「うーん、どうですかね。私は佐々木先生とは、仕事する仲間として憧れているだけです。」


 「『私って』、いつもと一人称が違うわよ。」


 「間違えただけです。」


 私は、転生したら男性になったとか言えないし、言ったところで気が狂ったと思われて信じてもらえないだろう。


「あなたは最近、何かこう、雰囲気が変わったというか...。例えるなら、男性は女性の胸元とかお尻、太ももを見たりするけれども、そういうのがなくなったというか...。性同一性障害はオーバーな言い方だけども、心が女性になった感じ。」


 図星だった。私は言葉を返せなかった。


「あははっ、冗談よ。意外と転生してたりして~、なんてね。今、そういう小説が流行っているのよ。」


 上村先生は勘がいい。全て見透かされているような感じがした。

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