第1話 ヘルの世界
複線練習用の小説です
3話構成の予定なので最後までお付き合いしていただけると幸いです
世界は世界樹ユグドラシルによって支えられている。
その世界の頂点にあるアスガルドにその女神は生まれた。
「自らの瘴気で半身が死んでおる」
「なんと禍々しい」
神々が口をそろえて言う。
今はドヴェルグ達に造らせた法具によって瘴気を抑えているが、それでも全ての瘴気を抑える事ができずわずかに漏れ出ていた。
「ですからこのヘルには神格を与えず、ニブルヘイムの奥地に捨てるべきだと思うのです」
そう発言したのは父親であるロキだ。
「そこで英霊以外の死者の魂を管理させましょう」ロキはそう続ける
神々の王オーディンは思案する。
「ヨトゥンガルドにいるヨルムンガルドを海へ、このヘルをニブルヘイムの奥地に捨てよ」
こうしてヘルは捨てられ、ニブルヘイムの奥深くがヘルヘイムと呼ばれるようになった。
ヘルが捨てられてからどれくらいの月日がたったのだろう?
エーリューズニルの館はいつもどうり静まり返っている。
寝室にある鏡を見てため息を漏らす。
色白の肌に闇を思わせるような長い黒い髪、両手両足には金のブレスレットそして首には赤い首輪が目を引く。
それらは瘴気を抑えるための法具であり、外す事ができない。
「亡者を束縛する冥府の女王がまるで囚人のようで滑稽ね」
外で亡者達のうめき声が響いている。