”人気者”
趣味で書いている者です。初投稿です。感想や批判は、どしどしお寄せください。
キャラクターの名前は、動物の名詞をそのまま引用していますが、教育上、良くない表現も含まれますのでご容赦ください。
あるところに一匹のライオンがおりました。ライオンは、見た目が大きく、肉食動物であったため、他の動物たちに恐れらていました。
ある日、ライオンは、一人で散歩していると他の動物が集まっているところを発見しました。何をやっているか、気になったので、物陰に隠れて様子を見ていると、キツネがいろんな芸当をして、他の動物を楽しませていました。そこには、ライオンを見るとそそくさと逃げてしまうウサギやシマウマ、バッファローたちもいます。キツネは、終始、人気者でした。それを見ていたライオンは自分も人気者になりたいと思いました。そして、同時に自分は一匹であることを知りました。心の中が今まで感じたことない、何か物足りない気持ちでしたが、それがなぜなのか、ライオンにはわかりませんでした。
人気者になろうと思ったライオンは、どうしたら人気者になれるだろうと考えましたが、今まで一人で過ごしていたため、どうやっていいかわかりません。そこで、人気者であったキツネを訪ねることにしました。キツネは最初、ライオンを見たときとても驚き、話をしながらあとずさりをしていましたが、人気者になりたいと伝えると力を貸してくれると言ってくれました。また、僕と一緒にいれば、人気者になれると言ってくれました。そこで、まずキツネはライオンに芸を教えました。ライオンはうまく出来なかったけれども、楽しかったので、教わった芸を練習しました。次の日も、ライオンは教えを受けに行きました。キツネは、まず散歩を一緒にしようと誘ってくれました。ライオンは嬉しくなって、一緒に散歩しました。キツネはここでも人気者だったのか、他の動物たちは道をキツネたちに譲り、また、キツネを敬っていました。ライオンはその姿をみて、自分も人気者になるぞと改めて思いました。
ライオンは、毎日、毎日、キツネと練習しました。その時間が楽しかったのです。一方、キツネは毎日のようにライオンを散歩に連れていきました。ライオンはこの時間も楽しかったので、何も言いませんでしたが、心の中で、早く芸をもっと身に付けたいと思っていました。一か月が過ぎ、ライオンも芸ができるようになってきました。そこで、ライオンはキツネに恩返しがしたいと思いました。すると、キツネはライオンを呼びました。
「ライオン君、実は相談があるんだ。」
「どうしたの。キツネ君、僕にできることがあれば、なんでもするよ。」
「最近、私が芸をみんな前でやろうとすると商売敵であるタヌキどんが、いやがらせしてくるんだ。」
「それは、ひどいね。」
「だから、ライオン君、一度文句を言ってきてくれないか。」
「僕が…」
「うん、ライオン君が言えば、タヌキ君もわかってくれる。それだけの魅力がライオン君にはあるんだ。」
「わかったよ。」
魅力があるかどうかはともかく、恩返しがしたかったので、話をしにいきました。
タヌキ君の家にいくと、タヌキ君は芸の練習の真っ最中でした。タヌキ君は一生懸命に練習していたので、ライオン君はそれが終わるのを待って、話をしようと考えました。ライオン君はその姿に感動しました。やがて、タヌキ君がライオン君の存在に気が付きました。
「なんだい。ライオン君、見られていると練習がしにくいよ。いつも、一緒にいるキツネ君はどうしたい。」
「今日は、僕一人だよ。すごい技だね。見とれてしまったよ。」
「おだてたって無駄だよ。技を盗みにきたのかい。それとも、練習の邪魔をしにきたのかい。キツネと共に卑怯な。用がないなら帰りな。」
「違うよ、タヌキ君、話があるんだよ。」
「話はこっちにはないよ。そうやって、私を脅すつもりだろ。早く、帰りな。それとも、私を食べに来たのかい。」
なんで、拒絶されたのかよくわからないライオンでしたが、話にならないので、一度、帰ることにしました。翌日、もう一度ライオン君がタヌキ君を訪ねると、タヌキ君はいませんでした。
しょうがないので、また来ようと思って、キツネ君のもとに芸の練習をしに行きました。次の日、また次の日、そしてその次の日もストーカーのようにライオンは、タヌキ君の家に行きましたがタヌキ君はいませんでした。
ある日、キツネ君とともに芸の練習をしていると、キツネ君が
「ライオン君、ありがとう。最近、タヌキ君が邪魔しに来ないんだ。話をつけてくれたんだね。私はうれしいよ。」
「うん、…」
ライオンは何もしていないと伝えようとしましたが、キツネ君が嬉しそうな顔をしていたので、何も言えませんでした。また、同時にタヌキ君が心配になりました。芸の練習がおわると、急いでタヌキ君の家にいきました。いつもは扉の外から声をかけるだけでしたが、反応がなく静かだったので、タヌキ君の家の敷地に侵入し、外から家の中を覗いてみました。すると、家の中に血のようなものがあちらこちらに飛び散っているではありませんか。びっくりしたライオンですが、急いでタヌキ君の無事を確かめようとタヌキ君の家の扉を壊して、中に侵入すると、タヌキ君の変わり果てた姿がそこにはありました。
「どうして…」
言葉に詰まって、動けなくなっていると外が騒がしくなってきました。ライオンが外を見ると、他の動物たちが集まってくるではありませんか。ライオンはなんだか怖くなって、急いで、そこから逃げ出しました。