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個性の塊大爆発

作者: 桐葉凛花

「いや〜秋ですね〜秋でもなんでもーはい!はーなを咲かせましょ〜はいはい!はーなを咲かせましょ〜はい、ご一緒に!はーなを咲かせましょ〜...」


 なんなんだ...。


 まさか、花咲爺さん?


 来る場所を間違えたのかと思った井口孝太は、回れ右をしてドアを開けようとした。


 突然肩をがしっと掴まれた。


 むせ返るように甘い匂いがして、思わず振り返る。


 艶やかな黒髪に、ゆで卵の白身のように綺麗な肌。


まつ毛バッサアー、お目々キラキラ、唇プルプルの女子が立っていた。


 セーラー服とのミスマッチ加減がなんだか面白い。


「乙姫です♡よろしくお願いしまぁす♡」


ギラギラ光る名刺を差し出されて、思わず受け取ってしまった。


 すると手を引かれて教室の角へ連れていかれ、5つの椅子がL字型に並べられた中の真ん中に座らされた。


両隣には、黒髪のボブと茶色の巻き髪の女子が座っていた。


全員が、まつ毛バッサアー、お目々キラキラ、唇プルプルの女子。


「かぐや姫でぇす♡」


「元灰かぶり姫でぇす♡」


「水割りで良いですかぁ?」


かぐや姫が聞いてきた。


「いやいや、え、未成年ですよね‥?」


「固いこと言わないで〜」


 そう言うと、どこからともなく取り出したグラスに、カランカランと氷を入れ始めました。


「あぁ織姫―っ!」


「彦星―っ!」


悲痛な叫び声が聞こえたかと思うと、一番廊下側の席に座っている男子と、一番窓側の席に座っている女子が、互いに腕を伸ばしていた。


「あの2人、年に1回しか席替えで席を隣にしてもらえなのよ…可哀そうよねぇ」


元灰かぶり姫が言った。


もう何がどうなってるんだ…。


 「あの〜すいません‥もし良ければ、僕と一緒に共に鬼を倒しに行ってくれませんか?」


 今度は何かと思ったら、もやしに眼鏡を掛けたかのようにヒョロヒョロなロン毛の男子が立っていた。


「僕、その、キジにもサルにもイヌにも逃げられちゃって…ははっ。だからその、えっと、仲間になってくれませんか?」


この子は精神を病んでしまっているのだろうか。


「ちょっと、私たちの大事なお客さんを取らないでよ!」


「そうよそうよ!」


「はーなを咲かせましょ~はいはい!」


「水割りどーぞ♡」


「でも僕、もう頼れる人がいないんです、ぼっちなんで、ははっ」


「彦星―っ!愛してるわー!」


今日からこの2年4組で、井口孝汰は3週間教育実習をする。


教室の蛍光灯じゃ、キャバクラも雰囲気出ないですよね。


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