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うちの魔器(むすめ)が嫁いでくれない  作者: こしひかり
第1章 うちの魔器(むすめ)が嫁いでくれない
1/3

魔器(まき)


魔力を持つそれは通常の武器とは大きく異なる。

強力な力。それに耐えうる強度。そして・・・¨意思¨を持つ。

しかし所詮は武器。¨使われる側¨である為、戦う理由を選ぶことが出来ない。


守ること。

壊すこと。

殺すこと。


それ故に使い手を選ぶ。

所有者がその身を預けるに値するかどうか。

認めない者は手に取ることすら許さない。

唯一許されるとすればそれは---


◆◆◆◆◆◆◆


カーテンから朝日が差し込む。

(まぶた)が弱化の熱を持ち起床を呼びかける。


「ふぁぁぁ・・・もう朝か」


特に何時起きと決めているわけではない。

これは個人商店だから出来る特権の一つだ。

軋むベッドから体を起こし軽く背を伸ばし、いつもの作業着に袖を通す。

階段を下りていくと、そこは見慣れた俺の店。厳密には親父から受け継いだ店だが。

親父も爺ちゃんから、爺ちゃんもひい爺ちゃんから。そうやって、気が付いてみれば何十年・・・何百年も続く老舗になっていた。あまり有名ではないけど。

それが証拠に、店の前に客が並んでいる気配はない。

といっても最低限の生活は出来ているし、たまに臨時収入も入ってくるからある程度金に余裕はある。


「おーい、レヴィ。いるかー?」


欠伸をしながら店の奥にある作業場兼リビングへと向かう。

微かに珈琲の香りが漂う店内。

だが目的地に足を進める毎に強くなるのはそれではなく、鉄と火の匂い。


そして・・・そこで俺、マルコ=ヴィクトールを待っていたのは---


「おはようございます。お兄様」


火よりも赤く、燃えるような長髪をなびかせた一人の少女。

場違いとも思える黒いゴシック衣装を身に纏い、両手には朝食の乗ったプレート。

知らない人が見たらメイドに見えなくもない。


「相変わらず早起きだな、お前」


「では、お兄様もたまには早く起きてみてはいかがですか?」


「それは断る。で、朝食は?」


「聞かなくてもご存じでしょ?すみませんね、レパートリーが少なくて。」


頬を膨らまし軽い不機嫌をアピールするレヴィ。


「別にそういうつもりで言ったんじゃ・・・。悪かったよ」


「ふふん、よろしい」


プレートをテーブルに置き、俺とレヴィは向かい合うようにイスに付く。

トーストとベーコン。サラダにコーンスープ。いつもと変わらない朝食だ。


「では」


「あぁ」


両手を合わせ祈りを捧げる。

俺は無信仰者だから祈る神は特にいないが、これも習慣というやつだ。

片目をそっと開けレヴィの様子を窺う。同じように彼女も祈りを捧げているが、違う点があるとすればその表情は真剣そのもの。

まぁ、こいつも俺と同じく神様なんて信じちゃいないんだけど。


レヴィ。


まるで人形のような外見を持つ美しい少女。歳は外見だけでいえば14~15歳といったところ。

しかし彼女は人間ではない。勿論、俺の妹でもない。


なぜなら彼女は---


「いただきます」


そう言うと、どこからともなくナイフとフォークが彼女の手の中に現れる。

レヴィ曰く。自分の一部を利用しているとかなんとか。


魔剣レーヴァテイン。


それが彼女の正式な名前。

魔器師(おれ)が作った魔器。

そして、未だ嫁ぎ先の付かない売れ残り商品である。

読んでいただきありがとうございます。

次回更新はなるべく速くあげるつもりです。えぇ、はい。

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