紫陽花
一つ、また一つと今年も咲き始めました。
紫陽花の青や白 草の匂い
湿った空気の譜面へ 列べる記憶[フレーズ]
重なり寄り添う緩い気流に……
逢いたさが思い出を拾い集めて行く
黄緑と緑のコントラストにも
君を重ねてしまう僕は
涼しい部屋から窓越しに眺めている様で
半端な愛情と感じれば失意に項垂れる
夏に咲く花 それは短く
無責任に求める戯言
行き止まりの恋路を離れ
別の意味へ向かい始める
紫陽花の青や白 草の匂い
移ろう街並みに嫌われた日常を
絡みつく六月の緩い気流に……
君には笑顔を 僕に優しさを
路上には擦り切れた 恋の羽
飛べなくて滞る 永遠の影
しとしとと雨粒の問い掛けは囁きの夢
やがて流れになり 花びらも運び行く……
紫陽花の青や白 草の匂い
降ると知りながら花開く勇気を
雲間から漏れ出す太陽の抱擁[うた]を
待ちながら生命の色を放つ
梅雨に彩りを添える花よ
優しさ求めて 疑いに負けては
いつかのようにと 想いを馳せる
繋いだ手と手に 応じた心に
緩んだ想いに 住み着いた君
綺麗に咲いた花に在りし日を想う……