五幕「血だらけ草むら、ボクは誰?」
人間に傷つけられた、名も無い少年のおはなし。
―?
ここはどこなんだろう。
そこらに草がおいしげっている。
…名前も分からない。
いや、ボク、名前は、無いのかな。
…覚えてるのは「人は憎い」。それだけ。
ー?
人が憎い?憎い?憎い?
じゃあボクは人間じゃないのかな?
…ボクは、動物?
なんだろう。
それに、ここらへんは血だらけ。
…ボクの血、なのか?
人に、傷つけられた?
…分からない。
分からない。
とりあえず、そこらを歩いてみる。
ー誰も、いない。
ー誰も。
…なんか、ボク、虚しい。
血だらけだし、これは全て人がやったことだ。
ー何故か分からないけど、虚しい自分が嫌い。
こんなことした人が、憎い。
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い、憎い。
ー「人は破壊魔ばかり。この世界は嫌なことばかり。ねぇ、人が憎いならこっちへきなよ。
貴方を虚しくした人間に
天罰が下せちゃったりするよ。」
何処からか、声が。
「それは本当?」
「勿論。私は嫌われ者の化け者。人間に傷つけられた者。私は人に傷つけられた者に話しかけて契約してもらってるの。契約すると、人の心を壊したり、天罰を下せたりするよ。」
「じゃあ、契約していい?」
「勿論だよ。大歓迎。…あ、貴方、名前が無いんだっけ。契約してくれたからプレゼントしちゃうね。じゃあ… 『叶魔』でいいかな」
嬉しさが込み上げてきて、なんだか狂った感じ。
「ありがとう。感謝するよ。」
「さて次は二つ名だね…それじゃ、『血悪魔』で! それじゃ、私の手を握って。すぐ連れて行くからね。」
ボクはその子の手を握った。
暗いのが明るくなってきて、狂ってくる。
自然に笑みが溢れる。
人間、許さない。
狂い壊す。