一幕「狂少女、新たなセカイ」
狂少女と言われいじめを受ける少女、弧乃葉のおはなし。
狂少女。
いつからか私はそう呼ばれていた。
なぜだろうか、狂っているつもりはないのに。
生まれつき? 顔面判断された? それともなんだろう。
毎日毎日、いじめられて狂わせられて。
コソコソ。
コソコソ。
コソコソ。
コソコソ。
下校中。
突き刺さる目線。そして悪口。
ああ、痛い。
そんなに狂ってるって言いたいなら証拠を頂戴。
それに、狂ってるって言ってる君らに私は狂わせられている気がする。
じゃあ君ら、自業自得ってやつじゃん。
勝手に妄想して狂ってると悪口言って、それで私を狂わせる。
自作自演の馬鹿な人間だね。気持ち悪くて吐き気もしないよ。
はぁ、無様。
痛い
痛い。
ちょっとちょっと、痛いよ。
痛いよ。
痛い痛い痛い痛い。
痛いってば、ねぇ。
心の血が飛びでてる。
痛いって言ってるじゃん。
そんなこと一人で思いながら心に傷をつけて歩いていた。
もうすぐ家につく、頑張れ弧乃葉。
痛くてたまらない心を擦り、やっと家についた。
...今日も散々狂わせられた。
「ただいま」
...と、言っても誰も答えてくれない。
そりゃ、親は私の精神を壊すゴミだからだ。
いじめられてるって言っても何もしてくれないし、
担任に言ったって「被害者意識が高いな」と言われるだけ。
二階に行って寝よう。寝よう。
「はぁ」
疲れた。
痛い。
まだ
痛む。
痛む悼む傷む。
傷む悼む痛む。
寝る。
「ねぇ」
声が響く。
あ、これは夢だな。
「夢じゃないよ。夢の中だけど、もうすぐ現実になる」
エート、ドユコト?
そう思うと、その少女が言う。
「貴方、つらいでしょ?誰もかもが敵でさ。私もそうなんだ。
嫌われ者の化け者。私の二つ名。
貴方の二つ名は...死神狂少女、かな。」
まーた狂少女かぁ。
まぁいいや。
「ねぇ、どう? つらいならこっちへ来なよ。
ここにいれば、貴方を壊した親や担任、年上女子とか全員天罰を下せちゃったりする。
本当だよ。ねぇ」
なんだかわかんないや。
「私はね、こうやって心を壊された者に声をかけてるの。
私の天罰を下せる能力を分け合って、ここで生活してるの。
ねぇ、契約しなよ。」
はぁ、なんなんだか。
まぁ、どうせ夢なんだし。楽しんであげようかなぁ
それに、本当だったら面白いからね。
「...分かった」
「じゃあ、私の手を握って」
少女の云う通り、私は少女の手を握った。
そしたらどうだろう。
連れて行かれる。
空の彼方まで。
奥が見えてくる。
暗くなってきた。
黒い霧だ。
なんだか叫びたい。
これが狂ったっていうのだろうか。
想いっきり叫んだ。
思いっきり、思いっ切り、想いっきり。
思いっ切り。
「ね、元気出た?」
黒い霧が消えて、何か光が見えてきた。
涙で見えないけど、いい気持ち。
さよなら、今までの世界。
こんにちは、新たな世界。