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プロローグ

プロローグと一話目は同時更新


 『生きている』とは、どういう状態を指すのだろうか。


 心臓が動き、体内を血がめっていれば『生きている』のだろうか。

 感情を持ち、感動し、それによって行動していれば『生きている』のだろうか。




――ならば、僕は『生きている』とは言えないのではないか。




 僕には心臓がない。血など必要のない身体は、しかし何の支障もなく活動している。

 僕には感情がない。感動することもない心だが、しかし目的を持って行動している。


 僕はスライムというモンスターだ。至高の(あるじ)であるグレイス様に忠誠を誓い、与えられた命令に命を尽くして従う。そこに心臓も、心も必要としない。ただの道具として、『生きている』かなど関係なしに、言われた通りに行動すればいい。それがグレイス様のためになるのであれば、何よりの喜びだ。

 僕に喜ぶ心があるのであれば。


 なるほど、こうして見ると僕は『生きている』とは言い難いのだろう。何もかもが空っぽで、グレイス様からしても無数にいるスライムの一匹にしか過ぎない。僕が役割を果たせずに死んでしまったとしても、次のモンスターが補充されるだけだ。期待すらされていない。

 それでも、否、だからこそ、僕は全身全霊を尽くして役割を果たさなければならない。それが僕に出来る全てであり、それすらも成せないのであれば意味などないのだから。


 だから、戦う。『勇者』と呼ばれる人間を、弱い僕が倒す。自らの使える(あるじ)のために、このどうしようもなく矮小で脆弱なスライムが、しょうもないほど僅かばかりの貢献をしよう。

 それが、僕の命に与えられた運命なのだから――


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