流行とは理解できないものです。
本日三話目投稿です。
おにまは片手を差し出し何か呟いておられます。……いや、歌ってますね。
英語でもフランス語でもない聞いたことの無い言葉は地球で聞いた架空言語の民謡調の曲みたいです。不本意ながら綺麗な歌声だなぁと思っていたら伸ばされた指先からほわほわと光る小さな玉が現れ近寄ってきました。
『あ、同族ですね。こんにちは!』と一瞬でも思った自分が恐ろしいです。
光はそのまま私にぶつかると強烈な閃光を放ちました。瞬時に閉じた瞳を再び開けたとき目線が先程より高くなっています。
手も足もある姿は間違いなく人型です。
顔も触りましたがちゃんと輪郭がありました。しかし、まだ全身を見るまで安心できません。輪郭の形したのっぺらぼうならぬ光っている顔とかだったらどうするんですかと考えてしまう私は短時間の間に光恐怖症に犯されたのかもしれません。
「あの鏡、鏡を見せて頂いてもいいですか?」
おにまにお願いを口にし見れば号泣していました。
えぇ、若干どころかドン引きするほど両目から滝が流れています。
「フィー!フィー!!フィー!!!」
え、何ですか?その両手を合わせて祈るように泣く姿はドン引きなのに神々しいってどういうことですか。もうため息しかでないが、これだけは言わなければ!
「人の愛称連呼しないで下さい」
え?何故、水量が増す!しかもなんか先程まで咽び泣いていた周囲からも嫌な気配がするんですが…………。 ここで現実逃避しても仕方なく、恐る恐る見てみると――――唖然としてしまいました。おにま顔負けで美青年集団も泣いています。両膝つき両手を合わせて祈るポーズでの大号泣って流行っているのでしょうか。その中心にいる自分の立ち位置が理解できず、黒さんに救いの目を向けましたが――――。
「クロータス、お前もか!!!」
そう叫んでしまった私は悪くないと思います。
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