第一話 第八部 八幡との再開
桜「ここよ。」
俺は上下左右大きく見渡した。でかい、とにかくでかい。写真で見るのとではかなり印象が違う。空港写真というか…地図で上からのスケールはわかったが、まさかこんなにすごいとは思わなかった。なんつうお金持ちの学校なんだ。それでも生徒数は少ないときた。超英才教育高校じゃないのかここは。
桜「あ、でかいといっても。北海道だからね。」
小見川「土地の値段とかそこらへんの関係か?」
桜「そうね。」
そういって山茶花は警備員のいる正門の右端へと移動していった。俺もその後ろを付いていくように歩いた。
桜「ただ今帰りました。後ろにいる人が暁美の言っていた人です。」
警備員「あの紙を見せて。」
小見川「あ、はい。」
俺はメモ帳に挟んでいた八幡にもらった紙を見せた。それを警備員が見るとドアを開けて誘導してくれた。
桜「先に球場で監督とかに挨拶してから寮に行くので、付き添い大丈夫ですよ。」
警備員「わかりました。」
そういって警備員は自分の職場に戻って再び警備を始めた。俺は山茶花の後ろを再び付いていった。
小見川「あの目の前に見えるのが専用グラウンドか?」
桜「はい。あ、暁美は今ピッチング中かな?」
ズバァアアアアン!!!
左の建物の中からすさまじい音が聞こえてきた。まさかここでピッチング練習をしているのだろうか。
桜「そうみたいね。私も一緒についてくわ。この中に暁美がいるよ。」
そういって山茶花はドアを開けて建物の中へと入っていった。そして俺も入って左を見ると八幡が足を上げて投球フォームの動作に入っていた。
シュバアアアア ズバァアアン!!
瀧澤「ナイスボール!!!」
あのダイナミックなフォームにストレートの風きり音。そしてなんといっても山茶花と同じ…いや、もしかするとそれ以上にも感じられるあの風格。やっぱり只者ではなかったようだ。
暁美「あ、小見川さん! ちっす!!!」
そういって帽子をとって大きく手を振っていた。ニコニコ笑っていて楽しんでいる様子だった。