第二話 第四部 八幡のことを考えて…
「それではお疲れ様でした!!」
「ああ、明日練習見に行くからな。」
そういって八幡は自分の家に帰っていった。俺は背伸びをして泊まる部屋に戻った。そういえば八幡はいままでどうやって育ってきたのだろうか。あの力はここですんでいるうちに培われたものなのだろうか。日々の日常がトレーニングになってあの球が生まれている。生半可な努力ではあの投球はできないだろうし、誰しもなれるわけがない。しかし八幡はすでにトレーニング以外にも、日常で体が鍛えられてきたのだろう。恵まれた身長も持っていて…本当に野球をするために生まれてきた女の子みたいだったなぁ。本当にそんな女の子が恋愛に興味を持つのだろうか? 俺とデートしたところで何も感じられなかった俺はけっこうショックな気がする。でも八幡にとっての疑問点が改善されるのであればそれはそれで嬉しい。
あの後は温泉に入った。自家温泉と聞いていたので楽しみにしていたが、想像以上の良い温泉だった。二人がゆったり入れるぐらいのスペースだったが、これが露天風呂と来た。夜空の綺麗な星たちを見て癒された。そして風呂から出たあとは自分の部屋に入って布団を敷き、電気を消して寝ようとした。
「……ねれん。」
なんでだろう。八幡のことを考えるとなぜか眠れない。彼女の投球に惹かれたのは俺だが、野球に対する好意だった。しかし…いまではどうだろうか。彼女自身に惹かれてしまっている俺がいる。まてまて。相手は高校生で俺は大学生。しかし…、彼女が本当に恋愛を知ってデートというものを知ったら…。果たして俺は付き合えるのだろうか。