プロローグ
世の中にはすごい奴がいる。
俺はその投手を見て、本物の天才に出会えたと思った。八幡 暁美。富良野学院高等学校から一年生で入学してきたそのときから甲子園連覇へと導いた。その選手のおかげで相当楽になったらしい。そこまではまだ噂でしか知らなかった。そして今年の春、それまでは地方大会の取材などが主だったが、今回は大抜擢されて甲子園の選手を取材することになった。舞台それも甲子園決勝で…。
シュゴオオオオオオオオオ
ズバーーン!!!
ストライクバッターアウト!
ものすごい唸りを上げるストレート。そしてあの活気溢れた姿。たった一球見ただけで彼女の虜になってしまった。今までの高校野球では信じられなかったことだった。
それをみて思い出したことは八幡が一年生の甲子園活躍前に椎葉真菜という女性投手が大学野球で全国を制したことだ。そのときは大きなニュースになって本当にびっくりした。しかし今度は女性投手が甲子園を制してしまうというニュースも入り、野球界は騒然とした。それが…八幡暁美だった。
しかし…俺は一人の選手としてみるだけではおさまらなかった。彼女の「人間像」も見たくなってきた。一体どういう人なのだろうか。俺にとってみればまだ未知数。調べたことは少ししかないのだから当たり前だ。
そしたらどうすればよいか…。
直接会って話すしかない。