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やる気のない召喚勇者  作者: 七詩のなめ
最終章 勇者、最後の仕事
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第二十二話 ある街の、異変

街の、異変


時刻は夜。

常闇にすべてが恐怖する時間。

少ない街灯が俺の行く先を照らしていた。

「俺の得た情報が正しいのなら、もう少しで出てくるはずなんだけどな」

この街では今、盗難が起きているらしい。

そして、もう一つ。空を飛ぶ蛇というなんとも都市伝説じみたことまで起きている。

だが、ここは異世界。

俺の世界で起きなかったことが必ずしも起きないとは限らない。

つまり、両方起きる可能性だってある。

そして、もしこれが本当に起きてしまうのなら、これらの事件は結びつく可能性が高い。

俺の仮定はこうだ。

空を飛ぶ蛇は何かのために街の食べ物を集めている。

まだ、何かの部分はわからない。

私的か、もしくは――。

まあ、そんなことはどうでもいい。

この盗難がどんな理由を持っていようと、俺には関係ない。

ただ、この街の害になるのなら、それなりの策を考えるだけだ。

と、街道を歩いていると、低い重低音がかすかに響く。

これは、飛行機?

いや、この世界にそんな高度なものはない。

なら、なんだ?

空を見上げると、うねうねと体を揺らしながら空を飛ぶ蛇がいた。

いや、あれは蛇というよりは大きく、飛ぶというより泳いでいると言ったほうがいいかもしれない。

そう、あれは、

「ドラゴン……!」

そう、ドラゴンだ。

あれは正しくドラゴン。

強靭な肉体、鋼の鎧を身に纏い、強力なブレスを吐く生物。

俺のパートナーでもあり、仲間のナミナと同じ、ドラゴンだ。

ドラゴンは俺に気づかないのか、空を悠々と漂っていた。

呆然と立ち尽くす俺は、ふと、周りの状況に気づく。

なんだ、何が起こっている。

なんで、食物があいつに引き寄せられているんだよ!!

まるでそれが当たり前のように、食べ物があのドラゴンに引き寄せられていく。

当然、それに気づいているのは起きている俺だけだ。

俺は無謀と分かっていながら叫ぶ。

「おい! この駄龍!!」

ドラゴンは一瞬進行をやめたが、すぐに進行を開始する。

もう一度、俺は叫ぶ。

「聞こえねぇのか、クソ野郎!!」

今度は無視しなかった。

ドラゴン俺に顔を向け、ジッと見つめる。

『神の進行を邪魔するのか?』

低く重く、だが、はっきりとドラゴンはそう言った。

神? どこからどう見たってドラゴンじゃないか。

そこで、俺はハッとする。

どこかの地域ではドラゴンを神に見立てるやつらがいると聞いたことがある。

だが、この世界でもそれは適応されるのか?

「一応、名前を聞きたい」

俺は焦りを悟られないように、いつものように冷静に聞く。

すると、ドラゴンは少しの間黙ってから、

『我の名はナーガ。蛇にして龍。精霊にして神。古来より人の生を見てきた者だ』

ナーガ、確か半身人間半身蛇の龍種。

だが、コイツのどこに人間の姿があるって言うんだよ。

いや、もしくはこれはこれで進化したというのか?

俺は昨日考えていたことを思い出す。

そして、あの最悪の仮定を思い出す。

そして、明らかに青ざめているであろう俺は、静かに口を開く。

「お前は人に恨みを、持っているのか?」

次の一言が俺の今後を左右することは言うまでもないだろう。

クライマックスまで残り三話!!

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