第十三話 ある勇者の、許されざる失態
今回はかなり短いです!
マジですみません!
ある勇者の、許されざる失態
俺は今、自室にいた。
ヴリトラが卍廼に切られてちょうど一日が経っただろうか。
部屋には太陽の光が降り注がれていた。
「ふぅ」
俺は天井を見上げる。
何もない。
再び、視線は床へ。
何もない。
この部屋には俺が求めるものはなにもない。
俺はいたって普通。冷静に今の状況を見ている。
二日間。俺は部屋にこもっていた。
責任を感じたわけでも、自意識過剰になっているわけでもない。
ただ、俺は許せなかった。
何もできなかった俺に。
俺は、俺が嫌いだ。
弱さを肯定してしまう俺が。
中途半端にかっこいいこの顔も。
いつも冷静な自分が、俺は何より嫌いだ。
きっと、ヴリトラは死んではいない。
ドラゴンがそんなに簡単に死んでは人はドラゴンを力の象徴になどしない。
だから、今俺がすべきはどうやって卍廼を倒すかを考えることだけ。
ただ、それだけなのに頭が回らない。
簡単だ。俺の頭脳が勝てないと判断した。
それだけ。たったそれだけなんだが。
「納得、できるかよ。そんなの」
初めてだ。
自分で出した答えに納得できないのは。
俺はいつだって答えを導き出して、それに向かって人を使った。
だが、今回はそうじゃない。
俺がどんなに頭を使ってもあいつには勝てない。
俺が持っている駒ではあいつに勝てはしない。
それでも、諦められない。
俺はきつく唇を噛んだ。
「のぅ、省吾」
ドアから、声が聞こえた。
それは怒りという感情を重く持った声色で。
重く、俺に伸し掛る。
俺は久々に、笑っていたのだ。