二つに分かれた日本
チャイムが鳴り、授業が始まった。
「じゃあ社会の授業を始めるよ。」
先生がいうと、日直の「起立」という言葉とともに、教室にいる生徒が立ち上がった。
「よろしくお願いします。」
号令が終わると生徒は着席した。
「さあ第二次世界大戦のところを終わらせたから、次に日本戦争のところに行こうか。」
先生がそう言うと先生は黒板に板書した。書き終えると、教科書を片手に話し始めた。
「君たちのおじいちゃんやおばあちゃんに戦争のことをたくさん聞いただろうね。これからの日本をよりよくするためにしっかり学んでいきましょう。」
先生の講義が始まった。
まず日本はポツダム宣言を受け入れた。そこで、アメリカ、イギリス、中華民国、ソビエト連邦が日本を分割統治した。アメリカとイギリス、中華民国はソ連からの侵攻をを防ぐため、西日本と関東に「日本国」を建国した。それに対抗したソ連は東北地方と北海道に「日本社会主義人民共和国」を建国した。ここまではみんな理解したかな。では次に進もう。
しばらくは国同士行き来できたし、争いも大きいものはなかったんだ。
ところが、1947年に突如北日本が南日本に攻めてきたんだ。日本戦争が勃発したんだ。アメリカ軍は釜山まで到達した中国共産党の勢力から日本を守ることにひっきりなしだったので、突然の侵攻から南日本を守ることができなかった。
北日本、いやソ連軍はあっという間に天竜川まで到達した。アメリカ軍は元の国境線まで押し返そうと作戦したが、もう遅かった。元の国境まで押し返せなかったんだ。その後まもなく休戦となった。今の国境線は東経138度で分断されている。
生徒の一人が手を挙げた。
「先生、東京は2つに分かれているんですか。」
その質問に先生は答えた。
「東京の23区の部分は中国、アメリカ、イギリス、ソ連で統治したんだ。しばらくしてソ連は中国が統治している地域に突如侵入、現在も中国が統治していることになっているが、実質ロシアが統治している。そしてソ連は西東京(アメリカ、イギリスの地域)の周りに壁を造った。この壁をベルリンにできた壁と同じように、「東京の壁」と呼ばれるようになった。」
社会の時間が終わると、休み時間が始まった。しかし皆険しい顔をしてスピーカーに目を向けている。それもをのはず、今日は西東京特別区全域で避難訓練が実施される日なのだ。