森のきらきら自慢ばなし
冬の童話2026参加作品
テーマ『きらきら』
ここは名もなき深い森の奥。森の住人たちはそれぞれ『きらきらしたもの』を自慢し合っていまいた。
フクロウはぎょろんとした瞳、リスはつやつやのどんぐり、カラスは黒曜石の様なくちばし。みんなそれぞれにきらきらを持っていて、誇りを持っています。
一方で働きアリは不貞腐れていました。仕事も多いし、きらきらしたものなど持っていなかったからです。
「け、どうせ僕には泥んこの土がお似合いさ」
アリが空を見上げたところ、大粒の雨が降ってきました。アリの触覚がピクッと驚きます。
大粒の雨は、アリの土汚れを落とし、全身をきらきらにしました。その心地よさにアリは、
「ずっと雨だったら良いのにな。そしたら僕はいつもきらきらしていられるのに」
そう漏らします。
フクロウは水を弾くために、目を閉じて首を左右に振りました。リスは慌てて口にどんぐりを頬張ります。カラスは遠くの山へ飛んで行きました。
アリは、彼らを見て「君たちのきらきらは、大粒の雨で簡単に閉まってしまうんだね」
そう言うと、アリは自慢気に小さな体全身で雨を浴びました。
「僕は、きらきらの雨一粒を全身に浴びられることが自慢さ。大きな目も、どんぐりを持つ手も、黒曜石のようなくちばしもないけど、雨が降るたび小さな体でよかったって思ってるよ」
その場に残ったフクロウもリスも閉口してしまいました。アリの自慢は等身大で説得力があったからです。
「じゃあ、まだ仕事があるから!」
アリはそう言うと、巣穴に戻ってせっせと働きました。どうせ土埃は雨が拭ってくれるでしょう。そう思いながら。
おしまい
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