表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/35

14.再会


 二人は必死で走り、何とか洞窟の中にたどり着いた。

 電気をつけた采加が、日咲を睨む。


「日咲、どうしたの? どうしてすぐ逃げなかったの?」

「……一瞬、顔が見えたの」


 日咲は突っ立ったまま、出入り口の穴を見つめていた。

 じっと、まるで幽霊でも見たかのような顔で。


「あの白フードの機人、海吏だった」

「……え?」

「海吏と同じ顔してたの」

「同じ顔って、そんなわけ……」

「身長や体格も海吏と同じもので……采加、あれ、海吏だよ」

「な、なにいってるの、日咲。海吏さんじゃないよ。だって海吏さんは」

「わたし、海吏の死体見てない」


 歩み進もうとする日咲の腕を、采加は押さえつけるように掴む。


「死んだでしょ、海吏さんは! 日咲も見たでしょ、首が飛んで生きてられる人間なんていない!」

「あれ、本当に海吏だったのかな? 遠くて、見間違えたんじゃないかな?」


 虚ろに喋る日咲の頬を、采加が引っ叩いた。

 日咲はよろけ、頬を押さえて采加を睨みつける。


「なにする……」

「日咲がそれ言っちゃダメだよ!」

「それって……」

「見たんでしょ、海吏さんの最後を。『ありがとう』って言って笑ってくれたんでしょ? あの海吏さんは偽物なの? 日咲の見た海吏さんは見間違えだったの?」

「……ごめん」


 日咲は俯き、拳を握って唇を噛んだ。


「バカなこと言った。……死んだ人間が、機人になるってことは?」

「そんなことあり得るの?」

「いや、ない。お父さんとお母さんが死んだ時、三日後には腐敗して、すぐに骨だけになった」

「…………」


 そんなに長いこと死体と暮らしていたのかと思ったが、そのことには触れず采加は日咲の手を握りしめた。


「明日、海吏のとこ行ってもいい?」

「……うん」

「もう機人が処理してるかもしれないけど、ちゃんと葬ってあげたい」

「うん、付いていく。一緒に行くよ、日咲」


 手を握りしめたまま微笑むと、日咲も同じように笑みを返した。


「じゃあ今日はもう寝よう」


 しかし日咲の肩越しに見えた顔に、采加は顔を強張らせて日咲の身体に覆いかぶさる。何事かと采加の視線の先を追うと、出入り口の穴に人の顔があった。

 長い髪の女性型の機人。

 なぜ機人と判断が付いたかというと、左目が人間のそれではなく、ビー玉のように透けているものだったから。

 互いの身体を抱きしめ、後退する日咲と采加。機人はずりずりと這い、穴から出てこようとする。

 逃げ場はない。

 洞窟の奥の壁に背をつき、機人の動きを見守るしかなかった。

 ギィギィと音を立てる機人の胴体が抜け、あとは下半身だけという段階になったところで、唸り声が鳴った。

 恐る恐る目を開けた日咲が見たものは、地面に突っ伏している女の機人と、白いフード。


「…………かいり」


 日咲が呟いた言葉に、采加も目を開く。


「海吏、さん?」


 二人の目の前には、白フードを被った海吏の姿があった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ