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1話

 子どもの頃の不思議って、意外と共通しているんですね。

 よく聞くのがあれです。夢みたいに楽しい場所で過ごした時間。


 けれどもいくら探しても同じ場所には辿りつけない、それこそ夢だったのかと思う時間と場所の話。


 夢ではなかった証拠に、同じ場所で一緒に遊んだ子も同じことを言っていたのですから。


「あの場所、あったよね」


「とっても楽しかったね」


「この辺だと思ったんだけど」


「いくら探しても見つからない」



 最近、いきなり思い出しました。


 私はもう大人で、車を運転しています。信号待ちのときです。 時々通る丁字路にある古いアパート。


 ここだ。なぜかそう思いました。

 夢みたいな場所は、ずっと私の記憶にあったのでしょう。


 古いアパートに、空き地。きっとあの空き地のスペースで遊んだのです。

 けれどもあのとき一緒に遊んだ子とはもう疎遠です。

 連絡先は知らないし家も引っ越したみたいです。



 

 ある日、同級生と会う機会がありました。

 最近のこと、どんな仕事をしているか。男女の話、話題は尽きません。

 同級生ですので、昔の話にもなりました。


 その夢みたいな場所の話もしました。

 そうしたら彼女も同じような体験をしていたそうです。


 彼女も友達と一緒に、そんな夢みたいな場所に行ったそうなので結構な人数が同じ体験をしているのかもしれません。

 男の子もいたことがあるので性別は関係なく、共通しているのは子どもです。


 私たちは仮説をたてました。

 私と彼女の「夢みたいな場所」の共通点は空き地と古いアパートです。やっぱり。


 そこで昔の私たちはおままごとをしたりおいしいお菓子を食べたりしていました。

 どこからそのお菓子が出てきたのかと思いましたが、二十年以上前のことです。

 記憶があやふやな上、美化されたりして塗りかえられていることだってあるでしょう。


 記憶の限界か。私と彼女は少し無言になりました。


「当時、やばい噂もあったんだよね」


 彼女がいきなり声色を変えて言いました。


「やばい噂?」


 聞くと彼女は子どもの当時、「夢みたいな場所」がどうも気になって調べたそうです。

 彼女はカースト制の上位にいました。情報はたくさん入ってくる立場にいたのです。 そんな彼女が話題にするのですから、周りも放っておかないでしょう。

 彼女が注目したのはアパートと空き地の位置です。


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