アキの神様生活-01 アキ、神様になる!?
エレさんの借金を返済してもらうべく、エレさんの家に突撃したボクだったけど、そこで多少の返済はあったものの、成り行きでボクまで神様になってしまったんだよ···。
こうやって言ってるボクですら、まだこれが現実だって受け入れてないんだけど?わけがわからないまま家に帰ってきたんだよ。
「···お帰り、アキ。···どしたの?···ボーっとしてるけど、何かあったの?」
「···エレさんのところに借金取り立てに行ったら、成り行きでボク、神様になっちゃった」
「···?···言ってる事がわからないけど?」
「ボクが別の世界の神様になって、世界を完成させてほしいんだって。無理やりスマホにアプリ入れられちゃったよ···」
そう言ってボクはハルにスマホの神様アプリを見せた。
「···よくわからないけど、アキはアキのままだよね?···いなくなったり、···しないよね?」
「それは大丈夫みたい。スマホの中で操作してやるみたいだから···」
「···そう。···安心した」
ハルが安心した笑顔になったよ···。もちろん!ボクはハルと離れる気なんてないんだから!例え神様相手でも抵抗してやるんだから!そう結婚式で誓ったからね!
さて···、このアプリだけど、取説やチュートリアルが全くない不親切仕様だったよ。まぁ、有料アプリでも説明ない事多いし、バグも多いからね。
ちなみにアンインストールを試みたけど、『管理者権限で禁止されています』って表示が出るんだよ···。管理者ってボクじゃねーのかよ!?
まぁ、とりあえずやるだけやってみるか。ダメだったらリセットするだけだし···。って、アンインストールできないならリセマラ不可じゃねーか!?
うわぁ~···。これはクソゲーだわ···。だからエレさんは死んだ目をしてたんだなぁ~。
まぁ、いいか!どうせダメならダメでもいいや!その世界の命がかかってるって?そう、関係ないね!
オープニングはなんか迫力あったよ。チープなCGじゃないんだよ。まるで本物のような光景だった。···って、本物なのか?
そして、いくつか『空家』が選択できるようになっているね。···どれがいいんだ?
よくわからないから、適当に選んで『はい』を選択した。そんなに大きくない世界だ。地球の半分くらい?
次の画面にはその世界のステータスが表示された。ふむふむ、1番下の完成度が100%になればいいのか?
右上には某竜を倒すRPGのように『GP』なるポイントが表示されていた。これってエレさんが言ってた『ゴッドポイント』って奇跡を起こすのに必要なポイントか?ポイント制って言ってたような気がするけど···。80000GPって多いのか少ないのかわからん···。
世界のステータスを見終わると、『世界に名前をつけて下さい』って表示が出た。···ボクの名前をつける?厨二病っぽい名前になりそうだなぁ~。
そう言えばエレさんはエーレタニアの他にレオリア、グーレリアって自分の名前から取ってたなぁ~。ボクだったら···、『キトニア』かなぁ~?元の世界の名前のアキトから取ったけど。···某古都の駅の電報略号のようだなぁ~。···えっ?マニアック過ぎる?
ま、いっか!このエーレタニアで元ネタわかる人いないし。
「···アキ?···そろそろ寝る?」
寝室側のドアからボクの等身大ぬいぐるみを抱きしめているハルが声をかけてきちゃった!
「···えっ!?もうそんな時間!?ごめんね。ちょっとだけ熱中しちゃったよ」
「···久しぶりじゃない?···そんなに熱中するなんて」
「あはは···。まぁ、スマホでゲームやるなんて久しぶりだったからなぁ~。さあ、一緒に寝ようね〜」
「···うん。···おやすみ」
「おやすみ、ハル。今日もお疲れ様!」
いかんいかん!思ってた以上に熱中しちゃったよ。ハルに悪い事しちゃったなぁ~。ボクの等身大ぬいぐるみを抱いてたって事は、寂しい思いをさせちゃったなぁ~。こんなゲーム、ハルより大事じゃないからね!
翌日。
今日も休みだったし、ちょっとだけ時間があったので、朝食後に少しだけやる事にした。
うん、なかなかハードな難易度だ。GPの使い方や、使う量のさじ加減が難しい。しかし、それも多少は慣れたよ。そこそこいい感じで完成度が少しずつ上がってるね。
そんな時だった。
「アキー!助けてくれー!!」
···リオがうちに来てヘルプ信号を出してきた!今ちょっといいところなのに!
「どうしたの?今度は何やらかしたの?」
「ちょっとーー!?なんでオレが悪い事になってるんだー!?」
「リオが原因じゃない事が少なすぎるから?」
「うぐっ!?そ、それはぁー···」
「ははは。それで、何があったの?」
「実はなー、今日の昼に甘いものが食べたくなって料理したら、いっぱい虫がやってきたんだー!なんとか火魔法で追い払ったけど、またやってくるんだぞー!」
「なに?その誘引剤···。とんでもない効力じゃないか。なに入れたの?」
「先日街の外で生えてた植物系の魔獣の蜜だぞー!レジストでは有名な珍味で、オレも大好物だったんだぞー!」
「じゃあ、リオが調理しちゃったから変な化学反応が起きてそうなったんだなぁ~。···森に捨てておいで」
「捨てに行くまでに虫に刺されまくるぞー!いくら竜気でガードできるって言っても気持ち悪いぞー!」
「じゃあ、バリア張って持っていくしかないね。···こんなしょうもないことで変身しなきゃいけないの?」
「悪いなー、アキ。戻ったらオレ特製のデザートをおみまいするぞー!」
「断固拒否!!」
「拒絶ぅーー!?」
···いつも通り、ボクがリオの尻拭いをして家に戻ってきた。その時にリオに昨日エレさんの家で起こったことを話しておいた。
「はぁー。まーたあいつ、神やりだしたのかー」
「それで、実はボクも神様になっちゃった···」
「···は?アキが神様ー!?」
「うん···。スマホで世界を創ってる最中なんだよ。ほら」
「···アキは神の力の核がなくなったのに、とんでもないトラブルに巻き込まれたんだなー」
「まったくだよ~!でも···、やってみると意外と面白いんだよなぁ~」
「そ、そうなのかー!?もしかして、アキ!本気でその創ってる世界に行ってしまわないかー!?」
「あはは!そんなわけないじゃない。···でも、旅行で行くのはありかもね~」
「その時はオレも行くぞー!アキだけだと危ないからなー!」
「もちろん!変身できないのは切り札ないのと同じだからね!」
まぁ、いつ完成するかわからんし、本当に行けるかどうかもわからんけどね。でも···、自分で創った世界を旅するのも面白いかもね!
スマホゲームで異世界を創造するというのは作者が読んだ中では、たまごかけキャンディー様の『異世界創造のすゝめ ~スマホアプリで惑星を創ってしまった俺は神となり世界を巡る~』があります。
オープニングとかは若干影響されて似ていますが、あちらは一から創造するのに対して本作では『放棄された世界のリフォーム』です。まぁ、リフォームと言っても某なんということでしょう!の番組ように柱だけ再利用でほぼ新築みたいなかんじですけどね。
放棄される理由は超不親切設計な仕様だからです。ほぼ説明なしなので、エレくんのところのナビくんのような存在がいないと話にならん!という事だからなんですね。全部の神にナビがついてないんですよ。そういう意味ではエレくんは恵まれている方ですね!
そんな中、アキくんはいろんな試行錯誤をしながら、ある程度コツは掴んだようなので放棄ではなく、逆に楽しみ始めてしまいました。ここがエレくんと大きくプレイスタイルが異なっています。
ちなみにキトニアと名付けて『某古都の電報略号』とアキくんは言ってますが、これはJRで主に使用されている『電報略号(通称:電略)』というものです。
大正時代あたりまでは駅間とかのやりとりを電報でやっていまして、電報は数字やカタカナしか送れないので長文は難読な状況になってしまい、誤解が生じて事故の可能性が高かったので、徹底的に省略してました。駅名は2文字で表され、『キト』は京都駅の事ですね。有名なのは『ウヤ(運転休止、運休)』とか『レチ(列車長、車掌のこと)』とかですかね。
作者は『ブン(分解)』、『ソ(掃除)』、『キユ(給油・注油)』、『フレ(不良・故障)』『レラ(連絡)』などを今でも電話対応でメモする時に使っていますね。早口でしゃべられると追いつかないので結構便利ですよ。ほかの人が作者のメモ見たら、何書いてるかわからないでしょうね~。
ちなみに航空業界ではノータム(NOTAM、Notice To Air Mission)というものも似たような使われ方をされていますね。
さて次回予告ですが、ある程度コツは掴んだものの、疑問点が非常に多いこのスマホゲーム。アキくんはナビくんにたくさんの質問をしようと考えて、またエレくんの家に行きます。またまたピンチを迎えてるエレくんがいましたが、ナビくんはアキくんの質問にちゃんと回答してくれますよ~。
次回は作者が夜勤のため、朝に投稿します。お楽しみに~!




