フユ編-07 とくべつこうしがきたぞー!
「みんな!今日は特別講師として知り合いのドラゴン族の人に来てもらった!主に魔法を使われるが、体術も非常に得意とされている!今回は体術について教えていただくので、心してかかるように!!」
「「「「おうっ!!」」」」
「では、リオパパ···、じゃなくてリオ講師!よろしくご指導お願いいたします!」
「おうっ!今フユ···、じゃなくてフユ師範より紹介された白銀竜のリオだぞー!今日はみんなに体術について教えるからなー!」
今日はリオパパに体術について道場生に教えてもらう事になってるんだ。
うちは槍が専門なんだけどね。おれはやっぱり剣術の方が得意だし、魔法と体術はリオパパに教えてもらってそれなりにできるんだ。
やっぱり槍だけだと他の武器を持った相手とやり合うと分が悪い事もあるんだ。そこで、おれが師範になってからは他の武器についても、少しは学んでもらう事にしたんだ。ママはすべての武器を経験させてくれたしね。
剣術についてはおれが指導できるけど、その他となると、やっぱり特別講師を呼んだ方が確実だし質がいいからね。
今回、リオパパには体術の長所、短所、そして手持ちの武器がなくなった時にどう対応するか?を1日かけて教えてくれるようにお願いしたんだ。
ナナママからは『休みの日に外へ連れ出してくれて嬉しいわ~!リオの失敗作食べずに済むしね!毎週でもいいのよ!?』って言われちゃったけど、今回はお試しだから1日だけなんだ。ごめんね!
「体術は全身が武器になるからなー。何も腕でパンチ、足でキックだけじゃないからなー。全体重を乗せて肩から突っ込むタックル、飛び膝蹴り、肘打ちなんかもあるぞー!さらには投げ技や抑え込み、関節技もあるんだぞー。こっちは相手の動きを止めることを主たる目的としているぞー。オレも妻や孫によくキメられてるからなー」
リオパパ···。その説明はいらないんじゃ···?リオパパが情けないって意味でとられちゃうよ?
「じゃー、まずは基礎的なパンチとキックからいくぞー。どっちもただ殴る蹴るじゃ威力がないからなー。当てる瞬間に自分自身の全体重を乗せて撃つんだー。これが最大威力だけど、その分スキができるから、配分を考えてやるんだぞー。全体重を乗せて放てば、うちの娘のようにオレを吹っ飛ばす事もやったからなー!」
リオパパ···。それってリナがリオパパの裸を見ちゃった時の話でしょ···。具体的な説明はありがたいけど、リオパパがダメな人って思われちゃうよ···。
でも、やっぱりリオパパは教え方が非常に上手だよ。今みんなに実践させているけど、要点をわかりやすく伝えてるから、みんな理解して練習してるね。リオパパは巡回して、ところどころでアドバイスをしてくれているんだ。
今回はもちろん、モンドも参加している。簡単な体術はおれが教えてるけどね。
「やあっ!はあっ!たあっ!」
「おー!モンドもなかなかサマになってるぞー!」
「リオじーちゃん!これでいいの!?」
「いいぞー!フユもきっちりと基礎を教えてるようだなー。その調子でやるんだぞー!」
「はいっ!」
「リオパパ?うちの道場生はどう?」
「おー!やっぱ槍の武術を扱ってるだけあって基礎体力は十分だなー。まー、槍を扱う筋肉はしっかりしてんだけど、それ以外は不十分なのは仕方ないなー。でも、スジはみんないいぞー」
「そう、良かったよ。実際問題として、槍を失った後にどう動くか?ってのが課題だったからね。体術ならリオパパだって思ったからお願いしたんだけど、とても良かったよ!」
「ヘヘッ!フユも立派になったなー!オレで良ければ協力するからなー!」
「またお願いするよ。ナナママからもそう言われてるしね」
「···あー、オレってもしかしてナナに最近嫌われてるのかなー?」
「う〜ん···。単にリオパパの料理がマズいだけなんじゃない?」
「それだけーー!?」
「最近、成功率が下がってるって嘆いていたよ?」
「うっ···、最近新作を開発するのが楽しくてなー」
「まともに食べれる料理を完璧にしたらいいんじゃないかな?」
「あー···、そうするかー」
なんだかリオパパの相談を受けた形になっちゃったね。練習をした後、昼休憩を挟んで午後からは投げ技や寝技、関節技などの説明の入った。
これはリオパパ流体術の他にパパの元の世界の『じゅうどう』という武術も混ざってるんだ。ナツは意外と得意なんだよね〜。相手の懐に入るのが得意だから、最終決戦の際にリアを『うちまた』って技ではっ倒したしね!
リオパパは『せおいなげ』『おおそとがり』『うちまた』『たいおとし』『ともえなげ』の5つを披露してくれた。さらに受け身の取り方も指導していたよ。
そして実際にみんなやってもらった。と言ってもうちの道場は床が板張りで、そのままだと身体強化してたら床を抜いてしまうから、少し柔らかいマットを用意して、その上で練習してもらった。
もちろん、モンドもやってもらうけど、体格が小さすぎるから、おれが相手をすることにした。リオパパがゆっくりとどう動くか?を実演してから、マネしてもらうんだ。
「パパ!いくぞー!」
「ああ!どの技でもいいぞ!」
「おうっ!ぐっ!いっけぇーーーー!!」
モンドはまずは『せおいなげ』に挑戦した。でも、小さいからなかなかおれを背負えない。そこで身体強化をして強引におれを投げた!
「よし!モンド、次だ!」
「はあっ!はあっ!おうっ!」
こうして、モンドは体術を学び、翌日からの練習メニューに追加となったんだ。
今回のリオパパの体術講座は好評だったので、月1回実施する事になったんだ。ナナママが一番喜んだのは言うまでもないよね?
体術の特別講師はリオくんでした!まぁ、想像つきますよね(笑)!
リオくんの体術はコバタさんの体術なのですが、こうしてリオくんによってたくさんの人に伝承されていってます。あの世でコバタさんも嬉しいんじゃないでしょうか?一度リオくんをおちょくってましたけどね。
これにてフユくん編は完結です。明日からはケンくん編を4話お届けします。ちょっと短いですがご容赦ください。
さて次回予告ですが、ケンくんは自身の得意な高速飛行魔法をほかの青竜にも教えて高速物流網を作ってみようと考えて青竜の集落に行きます。しかし、かつて無理やり族長にさせられそうになった嫌な思い出があるケンくんは、自分の考え方が受け入れられないかもしれないと考え、ある作戦を思いつきます!その作戦とはいったいなんなのでしょうか?
それではお楽しみに~!




