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【11/20番外編再開!】アキの異世界旅行記 すぴん・おふ!  作者: ぷちきゅう
それぞれのその後

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フユ編-06 モンド、魔獣退治を経験する

 本日2話目の投稿です。朝に1話投稿していますので、先にそちらをご覧くださいね~!

 うちの道場生を連れて魔獣退治に出かけるのは月に2回。


 魔獣退治はうちの道場の収入源の一つだ。月謝が一番多いんだけどね。魔獣退治は王国の兵士が行う業務の一つだから、うちで受託しているんだ。だから退治の実績に応じて報奨金が出る。


 さらに兵士として雇う前の実地教育も兼ねているんだ。年に数回はおれが指導役として新兵の訓練に参加することもあるけどね。


 今回はモンドを連れて行く事にした。自分の実力を知るいい機会だ。


 魔獣退治の前日はフーちゃんと一緒に訓練をしていたんだ。



「やぁーー!!」


「うわっ!?きょうのモンドくんはいつもとちがうよ!?」


「まだまだだぜーー!!」



 フーちゃんと組手をさせてみると、ちょっと(りき)みすぎだなぁ~。明日に向けて気合いが入ってるんだろうけど、いつもよりも荒すぎるな。このままだとフーちゃんにケガさせかねないな。



「そこまで!」


「えっ!?パパ!?どういうこと!?」


「フユにーちゃん?」


「フーちゃん、ごめんね。ちょっとモンドの攻撃がマズかったから止めさせてもらったよ」


「おれのどこがマズいんだ!?」


「···モンド。何を慌ててるんだ?」


「あわて!?おれはそんな···」


「いつもの型が大きく崩れている。むちゃくちゃだ。型の崩れは精神が不安定な証拠だ。明日は魔獣退治だが、今の状況なら連れていけない。命の危険があるからね」


「そんな!?」


「いいか、モンド?魔獣退治は遊びじゃない。いくら回復魔法があるとはいってもね。不安定な精神だと自分はおろか、周囲の人たちまで危険にさらされてしまうんだ」


「パパ···」


「わかったか?普段通りのモンドでいれば大丈夫だ。焦ることはないぞ」


「···わかった」


「よし。じゃあ、フーちゃんは休憩だ。モンド、次はおれと試合だ」


「おう!」



 モンドのいいところは素直なところだ。きっちり説明したらちゃんと納得する。そして、確実に成長している。


 おれが抜かれるのも時間の問題かな?


 そして、魔獣退治の日になった。



「今日は王都の東側の森で行う!必ず事前に決めた5人組で、落ち着いて対処すること!万が一の場合は各組に配布している信号弾を打ち上げる事!いいか!?」


「「「「おーー!」」」」


「それでは···、ゆくぞーー!」



 おれの号令で、討伐部隊は出発した。今回の参加人数はおれとモンドを含めて52人。11組に分かれて狩りを行う事になっているんだ。


 ちなみにおれはモンドと組を組んでるんだ。と言っても、本格的な狩りを行う組じゃない。後方支援だね。



「パパ?おれはかりにさんかじゃないのか?」


「後方支援も立派な参加だ。支援があるから、他の組は思いっきり戦えるからね」


「じゃあ、おれはまじゅうたいじをしないんだな···」


「そんな事はないぞ。···気配察知をしているか?」


「えっ!?···ま、まさか!?」


「ここはもう戦場だ。入る前から察知していないと命がないぞ。どこにいる?」


「···2じのほうこう?」


「よし!その調子だ。何体いる?」


「···2?···いや、3かな?」


「3体であってる。こちらから向かうぞ。気配を消して進むんだ」


「わ、わかった···!」



 ママの暗殺術は最後の方に回したけど、気配察知とステルス、代わり身だけは教えておいた。出来はいまいちだけど、おれが3歳の頃にデスアリゲータと戦った時に比べたらできてる方なんだけどね。


 そして、魔獣がいた。背中にマントをまとっている猿型魔獣、『マント・ヒヒ』だね。こいつは素早くて、木に登って背中にまとったマントを広げて音もなく滑空しながら攻撃してくる魔獣だ。

マントはかなり丈夫なので、高値で引き取ってくれるよ。



「(モンド、いけるか?)」


「(うん、やってみるよ)」



 ここからはモンドに任せる。モンドはまず、マント・ヒヒの背後へゆっくりと進んでいく。次の瞬間!モンドは槍を思いっきり放った!



「「グギャァアア!!!」」



 槍が貫通して2体を倒したよ!?お見事!と言いたいけど、1体は仲間の悲鳴で襲撃に気づいた!


 怒りの形相でモンドを睨むマント・ヒヒ。一方のモンドは手持ちの武器が2体に刺さったままなので、丸腰になっている。


 さあ、モンド!どうする!?


 すると、モンドはその場で構えた。あの型は···、パパの剣術の『秘技、無刀拳』だ!


 その名の通り、剣がなくなった場合に相手する緊急用の技だ!確かに教えたけど、稽古はしてないぞ!?土壇場で使えるのか!?


 モンドは冷静だ。まったく動じておらず、型に崩れはない。マント・ヒヒも睨んだまましばらく動かなかったが、ついに動いた!


 素早く木に登り、枝と枝の間を飛び回った!周囲に葉っぱがたくさん舞い散っている。気配をごまかして襲う気だ!


 そして、マント・ヒヒはモンドの背中へ滑空して降りてきた!滑空だから音がないんだ。


 そして、マント・ヒヒの鋭いツメがモンドの首に迫った瞬間!モンドはトランスを発動させて、振り返らずに右へ大きく避けてすぐにマント・ヒヒに襲いかかった!



「じいちゃんりゅうひぎ!むとうけーーん!!」



 マント・ヒヒが着地してモンドの方を顔が向いた瞬間!モンドの右ストレートぱーんち!が顔面に炸裂した!


 身体強化3倍、しかもトランス状態で本気で殴った事で、マント・ヒヒは吹っ飛ばされて木の幹に激突して気を失ったようだ。


 モンドは冷静に状況を判断し、先に刺さっていた槍を抜き取ってから、気絶しているもう1体にトドメを刺した!!そして、トランス状態を解いた。



「はあっ!はあっ!···ふぅ~。なんとかなったぞ〜。パパ!?これでよかった!?」


「ああ。···だが、まだまだ甘いぞ!!」


「えっ!?」



 おれはモンドの背後へ弦月斬を放った!もう2体いたんだよ。



「びっくりしたぁ〜」


「一番気をつけないといけないのは、敵を倒した瞬間だ。どうしても気が緩むからな」


「パパ···。ありがとう」


「まぁ、最初にしては上出来だぞ!魔獣3体相手に勝ったのはすごいぞ。無刀拳まで使ったのは意外だったけどね」


「ヘヘッ!こういうときにつかうってパパがおしえてくれたからな!」


「よし。次も同じようにやってみようか。次は剣術でやってみなさい」


「おうっ!!」



 その後もモンドは難なく魔獣を退治していた。中級クラスなら問題なさそうかな?上級はもう少ししないと実力不足だけどね。

 モンドくんの初陣はフユくんもびっくり!な戦果を挙げました!フユくんも指導方法が的確なのでモンドくんの成長を上手に促していますね。このあたりはアキくんの遺伝なんでしょうかね?

 今回の魔獣であるマント・ヒヒですが、このマントは山の英語なんですけどね。カタカナで書くとこのお話のように思ってしまいますよね~(笑)!なかなか魔獣の名前を考えるのも大変ですよ···。


 さて次回予告ですが、フユくんの道場は槍が専門ですが、フユくんとしては槍が使えなくなった時における対応力の強化を考えて剣術も多少はやっています。

 今回はフユくんが特別講師として体術の師範をお招きして道場生に指導をしてもらいます。その師範は誰なんでしょうね?


 明日でフユくん編は完結になります。投稿は18日まで21時過ぎを予定しております。

 それではお楽しみに~!

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