フユ編-05 モンド、フーと一緒に鍛える
今日も朝と夜に1話ずつ投稿しますよ~!
「たのも〜!フーがきたよ〜!」
道場の入口でフーちゃんが大声であいさつ?をしてきたね。道場生が『何事?』ってかんじで一斉に入口を見ちゃったね。
「やあ、いらっしゃい、フーちゃん」
「フユにーちゃん!よろしくおねがいしま〜す!」
「うん、よろしくね。じゃあ、道場生とは一緒にやれないから、場所を変えるね。ユキ!あとはお願いね〜!」
「ええ!任せといて!」
「さて···、ところでフーちゃん?背負ってる大きな荷物は何だい?」
「ママからさしいれでーす!」
フーちゃんが背負っていた大きな荷物はナツからの差し入れのおかしだったよ。···とんでもない量なんだけど?もしかして道場生全員分?
「そ、そう···。ありがとう。じゃあ、おれが預かっておくね」
フーちゃんの荷物を預かっておれの無限収納ポシェットにしまい込んでから、モンドがいる修練場へフーちゃんと一緒に向かった。
今日はモンドに魔法を教えているんだ。だから道場生とは別だ。今は魔力循環をさせている最中だ。基礎中の基礎ってリオパパも言ってたしね。
「モンド。いったん終了しようか」
「ん?おう!ふぅ~、けっこうまわせるようになったぜ。···おっ?フー!きたか!」
「おうっ!きてやったぞ~!」
「おれのマネすんなよ!?」
「あはは!ごめんね~!」
ははは。モンドは一人っ子だけど、フーちゃんがいるからお兄ちゃんぶってるんだよね。同じ神狼族だから似ているってのもあるしね。
「さて、フーちゃんも魔法の訓練をしようか。どういった事やってた?」
「なにもやってなーい!」
「えっ?身体強化できるんでしょ?」
「あれってママがやってたから『じょーたいのきょうゆう』でフーはできてたんだって!」
「そうか···。じゃあ、今日はフーちゃんに魔力循環を教えます」
「よろしくおねがいします!」
魔力循環の方法はリオパパ流だ。おれもナツも短時間でできるようになったからね。同じやり方でフーちゃんに魔力を感じ取ってもらった。
「お〜!?なんかかんじるよ~!」
「そう?じゃあ、今度は自分でまわしてごらん」
「うん!············」
すごい!もう回せちゃってるよ!?おれもナツも感じさせてもらった当日にはできなかったけど!?まぁ、その前に無意識で身体強化しちゃったけどね。
「うっそだろ!?おれでもすぐできなかったのに!?」
「フーちゃんはかなり高い素質がありそうだね」
「まけてらんねー!おれもつづきやるぞー!」
モンドはフーちゃんに対抗意識を燃やしてるな。これはいい傾向だ。お互い切磋琢磨する方が成長早いってパパも言ってたしね!
ただ、フーちゃんの成長速度は速かった!翌週にはほぼマスターしちゃってたんだよ···。モンドは魔法はちょっとだけ苦手のようだから、差がはっきりと出てしまったよ。
とりあえず魔法は問題なさそうだね。身体強化も3倍までできるようになってるからね。おれとナツでもこの歳だったら2倍までだったからなぁ〜。
次は剣術だ。軽めの木刀を持ってもらい、まずは型を見せて繰り返し練習してもらうんだ。
剣術も習得速度は速かった!スタイルとしてはナツとほぼ同じスピード特化だね。短めの剣を持たせてるんだ。
逆にモンドはパワータイプだ。カーネさんと同じかな?
「よ〜し!そこまで!フーちゃん?型は大事だから、家でもできれば復習しておいてね。今日はここまでにしとくね」
「は〜い!フユにーちゃん、ありがとうございました!モンドくんもまたね~!」
「またおいでね〜」
「···おう、またな」
フーちゃんを見送ったあと、モンドがおれに聞いてきた。
「パパ?おれってさいのうないのか?」
まさか···、フーちゃんの成長速度を目の当たりにして自信をなくしかけてる···?
「どうしてそう思うんだい?」
「だって!ちょっとおしえただけでフーはできるようになったんだよ!?おれはすぐにはできなかったのに!!」
「···モンド、確かにフーちゃんは才能がある。でも、モンドだって才能はあるんだよ」
「でもっ!」
「普通の3歳の男の子はうちの道場での稽古についてこれない」
「えっ···!?」
「モンドは毎日稽古に出て道場生とやっている。モンドと同い年の子はいないでしょ?」
「そ、そうだけど···」
「パパがね、前に言ってたんだ。『才能は人によってまったく違う。他の人がすごくても、自分にも他の人にできない才能がある』ってね」
「じいちゃんが···」
「おれも双子の妹のナツとは全然才能が違ったよ。おれは剣術が得意だけど、ナツは暗殺術が得意だったしね。だから、フーちゃんと比べても意味がないんだ。モンドにはモンドらしい才能がある。だれしも才能なんて、やってみないとわかんないんだよ」
「パパ···」
「モンド?よく頑張ってるって道場生たちが言ってたよ。だから、自分らしく成長していこうね!」
「じぶんらしく···。わかった。おれ、がんばる!」
よし!立ち直ったな。まぁ、確かに目の前でどんどん成長してるのを見たらそう思うのも仕方ないけどね。
翌日。
「みんな!おれとしょうぶしてくれ!!」
「へっ!?坊っちゃん、いきなりどうしたんですかい?」
「おれの『げんかい』をしりたい!まえみたいな『たいりょくのきょうゆう』はつかわない!」
「師範···?いかがしますか?」
モンドは『限界が知りたい』と言ったね。だったらおれが相手した方がわかりやすいかもね。
「わかった、モンド。ただし、相手はおれだ」
「えっ!?パパがあいて!?ぜったいにかてないよ!?」
···ちょっとこの発言はダメだね。『道場生なら勝てる』って言ってるのと同じだ。道場生に対して失礼きわまりない。
「モンド!!勝てない相手にしか戦いを挑まないのでは成長しないぞ!勝てない相手でも、どうやって勝つかを考えろ!では、行くぞ!!」
ちょっと今のモンドじゃ難しいかな?でも、魔獣とやり合う場合はそうも言ってられないからね。モンドから仕掛けたんだしね。
モンドはすぐに気持ちを切り替えたようだ。返事はしなくてもちゃんと構えたよ。
まずは槍だ。しっかりと狙いを定めて突いてきた!いいぞ!思い切りが重要だね。···なんだか試験をしてるような気分だなぁ~。
そうしておれが繰り出す攻撃をどう凌ぐのか?それを見届けたよ。
結果的には5分でモンドは力尽きたけど、真剣に稽古やっていたという実感がもてたよ。かなり上位の実力はあるね。
「うぅーー!やっぱりかてなかった···。おれってダメなんだ···」
「そんな事ないぞ?よくやった。この歳でここまでできるのはいないんだぞ?それに、パパに勝ってしまったら、パパが苦労したのがムダになっちゃうじゃないか」
「でもっ!」
「じゃあ、次の魔獣退治に一緒に来てもらう。そこで、魔獣相手に自分の実力を見せつけなさい」
「師範!?さすがにそれは···!?」
「おれも3歳でデスアリゲータを倒したからね」
「デスアリゲータ!?あ、あの凶悪な魔獣をですか!?」
「そう。モンド、パパみたいになりたいのなら、やってみるか?」
モンドは一瞬だけ考えた。けども、答えはすぐに出たようだ。
「やる!パパができたんだったらおれもやってみせる!」
次回、モンドが魔獣退治に参加が決定した瞬間だった。
世の中、上には上がいるものです。それに対して上を目指そうとすることもあれば、あまりにも差がありすぎて自信を失ってしまうこともあります。作者は「はぁ~、すごいわ。いきなりあれにはなれんわな~」って思ってのんびり成長で考えてますけどね。
今回、モンドくんは毎日道場で鍛錬しているのに、鍛錬をほとんどしていないフーちゃんの成長の速さを見せつけられて自信をなくしてしまいました。しかし、それはフーちゃんを基準としたからであって、実のところは道場でかなり上位の実力を持っているとフユくんが諭してくれました。
要は考え方次第という事ですね。あんまり焦るとロクなことにはならないですからね。
さて次回予告ですが、モンドくんはフユくんと一緒に魔獣退治に出陣します!3歳のモンドくんは魔獣相手にどこまで立ち向かえるでしょうか!?
次回は本日夜に投稿します。お楽しみに~!




