フユ編-04 フユ一家、ナツの店に食べに行く
本日2話目の投稿です。朝に1話投稿していますので、そちらもご覧くださいね~。
先日、ナツの店に久しぶりに行った。ナツのお店は非常に大人気で、事前に予約してさらに時間制限付きというほどの盛況ぶりだ。だから普段は気軽に食べに行けないんだよなぁ〜。
なので、行く時は閉店時間が過ぎた後に裏口から入って、ナツとヨウくん、フーちゃんと一緒に食べる事にしてるんだ。
フーちゃんはナツの子どものフォトちゃんの愛称だ。なんでも、常連客がフォトだと呼びにくいようで、フーちゃんって呼ぶようになったらしい。フォトちゃんもフーって自分から言うようになっちゃったから、それでいいか!ってなったみたいだね。
「こんばんは〜。ナツ、来たよ~」
「お邪魔しますね」
「こんばんは!もうおなかすいてうごけないぞ〜!」
「こら、モンド!そういうのははしたないからやめようね」
「は〜い」
裏口から入ると、ナツとヨウくん、フーちゃんが待っていたよ。
「···いらっしゃい、お兄ちゃん。···ユキもモンドくんも」
「おっ!来たな!さあ、中に入ってくれ!」
「あっ!モンドく〜ん!こんばんは!」
「おう!げんきにしてたか、フー?」
「うん!フーはげんきだよ~!」
互いにあいさつを交わしつつ、裏口から厨房を通って店舗内に入った。そこにはすでにおいしそうな料理がたくさん出されていた!
「うわぁー!すっげー!おいしそうだなー!」
「こら、モンド!みんな揃ってからだよ。もう少し待とうね」
「はーい!」
「···今、煮込み料理を温めてるからね。あとは焼き肉も用意したから」
「ありがとう、ナツ!でも、コンロから離れても大丈夫?」
「···分身がやってるからだいじょぶ」
「あっ、そうか!分身の術を使ってるって言ってたのはこの事だったんだね」
「···ちなみにフーもできるようになったよ」
「えっ!?フーちゃんも!?」
「「「「はーい!フーもママがぶんしんしてたらできるよー!」」」」
フーちゃんが4人に分身すると、モンドは驚いた!
「すっげー!フーってそんなわざができるんだな!」
「「「「えっへん!」」」」
鼻高々なフーちゃんだったよ。かわいいけど、どうしてできるんだろう?
「···フーは『状態の共有』ができて、ナツかヨウが分身やステルス状態になったら魔力消費なしでできるみたい」
「それはすごいね···。じゃあ、トランスも?」
「···それは試してない。ちょっと危ないし」
「そうだよなぁ~」
状態の共有ね···。フーちゃんもとんでもない能力があったんだなぁ~。そう思ってると、モンドから質問が来た。
「パパ!パパもぶんしんできるのか?」
「「「「できるけど、ナツほどじゃないよ?」」」」
「すっげー!パパもできるんだな!おれもやってみたい!」
「少しずつやっていくからね」
う〜ん···。ママの暗殺術は最後にしたいんだよね~。そんなやりとりをしていたらナツの分身が温かい料理を持って来てくれた。
「···じゃ、食べようか?」
「酒も用意したからな!せっかくだし飲んでけ!帰れなくなっても部屋空いてるからな!」
「ありがとう、ヨウ。じゃあ、いただこうか!」
「「「「いただきまーす!!」」」」
「うめー!フー!いつもこんなおいしいりょうりばかりたべてるのか!?うらやましいぞー!」
「こら、モンド!ママに失礼だぞ!」
「無茶言わないでよ···。私、こんな料理できないわよ···」
「···お土産の料理も用意してるから。あとでお兄ちゃんに渡すね」
「いいの?ありがとう!」
「やったー!ありがとなー!」
「こら、モンド!ちゃんとお礼言いなさい!」
「礼儀正しい兄貴なのにお子さんはやんちゃだな」
「ヨウ、これは道場生にモンドが鍛えられたからなんだよ···」
「そうか···。うちのフーも接客やってて客の影響受けてるからなぁ〜」
「どっちもお互い様って事だね」
「全くだぜ!」
そんなかんじでワイワイ楽しみながら、夜は更けていったよ。モンドとフーちゃんを除いて、みんなお酒も入っちゃって気分良くなってきたんだ。
その時だった。フーちゃんの様子がおかしくなってきたんだ!
「あれ~?なんだかフラフラするぅ~···」
「えっ!?あっ!?もしかしてナツとヨウの酔っ払った状態を共有しちゃった!?」
「なんだって!?おい、フー!共有を切れ!」
「···つながりを切るようなかんじでやる!」
「う〜〜···!あっ···、あれ~?楽になったよ?」
「ふぅ~、そういうデメリットもあるんだな」
「···切り方も教えておくべきだね」
「良かったよ~。うちのモンドも、『体力の共有』って能力だから、常時切断状態じゃないと道場生がへばっちゃうんだよ」
「おっと!?それもとんでもねえ能力だな!?」
「···観客が多数いて一騎打ちなら無双状態だね」
「そうなんだよね~。ちょっと使い所さんが少ないのが残念だけどね」
フーちゃんの能力のデメリットも発見できたのは幸いだったね。パパが言ってた通り、何事もメリットとデメリットがあるってね!
そんな話をしていると、ヨウからちょっとしたお願いをされたんだ。
「なあ?良ければ店が休みの日にフーを鍛えてくれないか?」
「えっ?うちの道場で?」
「ああ。多少はうちでもできるが、剣術なんかはお前の方が得意だろ?」
「まあね。いいよ。魔法もモンドに教えてる最中だから、魔法も教えておこうか?」
「···それで。ありがとね」
「気にしないで。モンドも相手がいるほうがはかどるだろうからね。モンド、これからフーちゃんも一緒に鍛えるからね」
「フーといっしょにか!?いいぜ~!フー、よろしくなー!」
「うん!よろしくね~!」
この日はナツのお言葉に甘えて泊まらせてもらうことになったんだ。モンドはフーちゃんと一緒にお風呂に入り、一緒に寝るんだって。
幼い時のおれとナツを見てるようだったなぁ~。
フユくん一家はナツちゃんのお店にたまに訪れて情報交換をしています。家が近いからこうした付き合いが日常的なんですよね~。
フーちゃんの状態の共有はアルコールで酔った状態まで共有してしまいました!何事もメリットデメリットがあるものなんですよ。使い方次第ですね。
さて次回予告ですが、フーちゃんがモンドくんと一緒に鍛錬に参加することになったお話です。フーちゃんはナツちゃん編で書いた通り、歴代神狼族で最強の潜在能力を持っているがために成長がすさまじく、その姿を見てしまったモンドくんは自信をなくしかけてしまいます···。
そんな姿を見たフユくんはモンドくんに自信を持ってもらえるよう、ある事を提案します。どんな提案なんでしょうか?
明日も朝と夜に1話ずつ投稿します。お楽しみに~!




