フユ編-03 モンド、大暴れする!
連休2日目!今日も2話お届けしますよ~!
モンドが生まれて3年が経った。元気よく育ち、今では道場生と一緒に槍を構えているよ。かなり短い槍だけどね。
「はあっ!たあっ!えいっ!」
「いいぞ、モンド!槍の使い方が上手になったなぁ~」
「えへへ!パパ!みんながどうやってるのかみてかんがえたんだ!」
「すごいな~。ただ、まだ体が出来上がってないから、みんなのようにはできないからな。やりすぎると体を痛めてしまうよ。だからできるところからやっていこうね」
「おう!わかったぜ!」
「···大丈夫かなぁ~?」
物心ついた時から槍を持って振り回し始めたんだ。これっておれとナツも同じだったような気もするけど···。やっぱりおれの子なんだなぁ~。パパとママの気持ちがわかったよ。
モンドには魔法も剣も教え始めたんだ。魔法はリオパパがやってたやり方で、剣術はおれの教え方でね。
おれもナツもそうだったけど、やっぱり神狼族ってだけあって飲み込みが早いね。道場で今生徒を鍛えてるけど、モンドの成長速度は桁違いなんだよ。おれとナツも幼い時は教えられたら当たり前にすぐできちゃってたけど、他の人ではムリだって言うのが人に教える事で気づいちゃったんだ。
さて、魔力循環も上達したし身体強化も2倍までは余裕でできるようになった。剣術も槍術もそこそこできるようになったので、ここで神狼族の特徴であるトランスを見せることにした。おれも3歳でできたからね。
「モンド、今から神狼族の固有能力の一つであるトランスを見せるね」
「トランス!?なんだそれ~?」
「これは最後の切り札だから、余程のことがない限り使っちゃダメだよ。3分しかもたないし、時間切れになったら倒れて動けなくなるからね」
「そうなんだ!わかった!」
「じゃあ、見せるね。うぉおおおおーーー!!」
「わっ!?パパのかおに、もようがでてきた!めがきんいろになってる!?」
「ふぅー、この状態になったら全ての能力が爆発的に上昇するんだ。こんなふうにね!」
おれはモンドの目の前から消えて、すぐ後ろに立った。
「えっ?消えた!?」
「後ろだよ」
「うわっ!?見えなかった···。パパすっごーい!」
「じゃあ、最後に剣術の奥義を見せて終わるね!皆伝秘技!万仞剣!!」
せっかくトランス状態になったから、皆伝秘技も見せておいた。普段だと繰り出せないからね!おれ自身の稽古も込みだ!
モンドは呆然としていたよ。まぁ、とんでもない状況だからね。そして、おれは変身を解いた。
「ふぅ~、久しぶりにやったけどだいぶ疲れにくくなってるなぁ~。おれもだいぶ強くなったかな?さて、どうだった、モンド?」
「············」
「···モンド?」
「すっげー!!パパ!それ、おれもできるのかー!?」
「ああ、できるよ。パパと同じ神狼族なんだからね」
「よし!じゃあ、やってみる!」
「ちょっとモンド?いきなりは···、って!?」
「うぉおおおおーーー!!」
モンドがおれのマネをして力を入れながら叫んだ!すると!モンドの顔に紋様が浮かびあがり、緑の目が金色に輝き出した!!
「はぁっ!はぁっ!ち、ちからがわいてくる!?ど、どう!?パパ!できてる!?」
「で、できてるよ!···あっさりモンドもなっちゃったなぁ~」
「はぁっ!はぁっ!パ、パパ!これってどうやってとめるの!?」
「おっと!そうだったね!たかぶる気持ちを抑えるんだ!ゆっくりと、ゆっくりと心を落ち着けて!」
「はぁっ!はぁっ!こ、こう!?」
「そうだ!ゆっくりでいいからな!」
「はぁっ!はぁ···、ふぅ~···、つ、つかれたぁ~」
「よくやったな。これであんまり使っちゃダメだってわかっただろ?」
「そうだなぁ~。これはとっておきってやつだな!」
う〜む···。理解が早いなぁ~。これはおれを超えるかもしれないなぁ~。
あとは共有だね。でも、共有ってすぐには気づかないんだよなぁ~。おれとナツも『意識の共有』って他の人から言われて気づいたしね。
そんなモンドの共有は、意外なところで発覚したんだ。
それはトランスをやってみせた翌週のことだったよ。この日は試合形式でいろんな人と対戦していたんだ。当然、モンドも道場生に混じって、いろんな人と対戦していたんだ。
「やぁっ!」
「ぐあっ!?ま、参った!」
「はぁっ、はあっ!ありがとうございました!つぎ!おねがいします!」
···今で15人抜きだよ。習い始めて半年の実力でここまでできるのもすごいけど、恐るべきはその体力だ。軽い息切れしているけど、辛そうな顔はしておらず、むしろ楽しんでいるような雰囲気までしているんだよ。
「たあっ!」
「ぐぅっ!?ま、参りました」
「はあっ、はあっ。つぎ!おねがいします!」
···これで20人抜きだな。ここから先はおれがやった方が良さそうだね。
「じゃあ、次はおれが相手になるよ」
「はあっ、はあっ。パパがあいて!?」
「そうだよ。さあ、全力でかかっておいで!」
「うん!じゃあ、いくぜーー!!」
息切れして疲労困憊かと思いきや、動きは先ほどまでよりもさらに速くなった!?おれも少し本気で相手しないとヤバそうだね!
突きを躱して、モンドの短い槍を下からすくい上げる!しかし、モンドは槍をがっちり握ったまま、槍と一緒に軽く宙を舞った。
ここでモンドは驚くべき行動に出た!宙に舞った勢いを利用して上段から薙ぎを払ってきた!
かろうじて槍で受け止め、モンドはスタッと地面に立った。もう息切れはしていない。
ここからおれはスピードでモンドを攻めた!ギリギリで捌ける程度にしておいて、スタミナ切れを待った。
···ところが、1分経ってもモンドは捌き切っていた!2分、3分···!いつモンドの集中力が切れてもおかしくない状況にも関わらず、平然と捌いて、逆におれに疲れが出始めてきた!
これはさすがにマズイ!おれは一気に決める事にした!
「槍技、旋風陣!」
「えっ!?うわぁー!!」
「ふぅ~。これはおれの負けだなぁ~。まさか技を出さざるを得ないなんてなぁ~」
「イテテテ···。パパにかてた···、のか?」
「ああ。とんでもない体力だなぁ~。おれが疲れるぐらいだからなぁ~」
「そうかなぁ~?でも、まだまだやれるぜ!」
「いや、ここまでにしておこう。他の人が試合できないからね。さあ、次はおれが相手になるよ。誰か挑んでこないか?」
そう道場生に聞いたところ、なぜかみんな疲れが見えた。えっ?見てただけなのに?
「あれ?みんなどうしたの?」
「し、師範···。モンドくんが師範と試合を始めたあたりから少しずつ疲労感が···」
「えっ!?も、もしかして···!?」
そう、モンドは道場生全員と『体力の共有』を無意識に展開していたんだ。だからこそ疲れ知らずに試合を続けていたんだね。
でも、これは使い方によっては非常にマズい!おれとナツはパパと魔力を共有してるから気づいた。体力の共有は一騎打ちとかなら最大限に力を発揮するだろうけど、集団戦でやれば味方が一気に疲弊してしまうんだ。どちらかと言えば指揮官向けの能力だから、使い所が難しい共有だなぁ~。
「モンド?この共有はあんまり使っちゃダメだよ。みんな知らず知らずのうちに疲れ切っちゃうからね。強力な敵と戦う時だけに使うんだよ?」
「たいりょくのきょうゆうかぁ〜!なるほどな~。わかったぜ!」
···大丈夫かなぁ~?
モンドくんがトランスに目覚め、そして『体力の共有』という共有能力が開花しました。
本編でも述べていますが、モンドくんは指揮官タイプです。そして某戦国武将の無双ゲーム同様、単騎で多数の相手をするにはもってこいな能力なんですね!さらに言い換えれば元〇玉でしょうか(笑)!?わんぱくでたくましく育ちそうですね~!
さて次回予告ですが、フユくん一家がナツちゃんのお店に行って食事をする日常ほのぼの話です。近所なのでたまにこうして会ってるんですよ。
次回は本日夜に投稿します。お楽しみに~!




