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【11/20番外編再開!】アキの異世界旅行記 すぴん・おふ!  作者: ぷちきゅう
それぞれのその後

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ナツ編-18 フー、暴走する!!

「ナツ!ありがとね~!大変だったでしょ?うちの子は元気いっぱいだから···」


「···そうでもなかった。···むしろ客側が大変だった」


「は···?ま、まぁそれならいいけど。あんたたちはどうだった?」


「「「たのしかったー!!またやりたいー!」」」


「そう、良かったわ」


「ナツ、うちのクオンを預かってありがとう。クオン、どうだった?」


「たのしかった~。ちょっとだけとんだらよろこばれた~」


「えっ···!?店内で飛んだらマズいでしょ?」


「ちょっとだけ浮いただけ〜」


「そ、そうなんだ···」



 ホームステイの1週間が終わり、コルとリナ夫妻と、ケンとミル夫妻が迎えにやって来たぜ。まぁ、この1週間はドラゴン族のちびっ子がいるという事で大繁盛だったからなぁ~。


 最初にあいつが飛行禁止って言ったが、3日目には軽く浮きながら料理を運んだりしてたわ。翼もそこまで大きくないから支障なかったし、むしろ客がリクエストして応えた結果だし、喜んでたからな。



 さて、今日は定休日だ。モンドを見送りついでにフーはフユのところで鍛えてもらうんだ。



「やあ、フーちゃん。うちのモンドが世話になったね。ありがとう」


「どういたしまして〜、フユにーちゃん!モンドくんはフーのおにいちゃんって言われてたよ〜」


「えっ!?そうなの?まぁ、ナツとは双子だし、同じ神狼族だからなぁ~」


「それで、へんなおねえちゃんに『いいことしない?』ってこえかけられてたから、パパがきおくをけしてたよ〜」



 フーのその言葉を聞いたとたんにフユは表情から感情がなくなり、冷ややかな目になった!



「···そう。フーちゃん、ありがとう。パパにもお礼言っておいて」


「えっ!?パパ!?」


「フユにーちゃん?なんかこわいふんいきがするけど?」


「···うん、大丈夫。ちょっとだけ今日はしんどいかもしれないけど、始めようか?」



 どうもフユは危機感を感じたようだな。いつもより厳し目に鍛えられたって後日、モンドが言ってたからな。



 これは先日、フユがうちに来た際に言ってた事なんだが、どうもモンドよりフーの成長速度は異常なほど速いらしいな。体力的にはモンドの方が上らしいが、魔法制御・剣術の型・技の習得が速すぎるんだとさ。


 その話をあいつも聞いていたが、その時に出した結論が、


『神狼族に整調者(ピースメーカー)の力が継承されたから』


となった。


 どうも、神狼族が滅ぼされた理由が、過激派って連中が整調者(ピースメーカー)との間に子を作って力を取り込もうとして、当時神様だったエレさんに歯向かったって事らしい。


 まぁ、俺が元とはいえ整調者(ピースメーカー)だったからなぁ〜。結果的に神狼族の過激派の野望が、フーで実現しちまってるんだよ。


 だから驚異的な速度で成長してるようだ。こうなると、ここから大変なのが『精神を鍛える事』って師匠がフユとあいつに昔に言ってたな。当時はさっぱりわからんかったが、今となってはよくわかるぜ。


 おそらく、今のフーは精神の成長が実力に追いついてない状況だ。変に精神的に不安定になったら暴走しかねんな。


 まぁ、そうなっても身を張って止めるのが親の仕事だな。そんな話を、フユとあいつと一緒にしたんだわ。もちろん、モンドもそれに近いけどな。



 その懸念は現実となった···。



 その日は普段と変わらず、店内は繁盛していた。もちろん、テイクアウトもだぜ。


 事件が起こったのはちょうどお昼の時だったな。この時に来た客は普通の客じゃなかったんだ。



「おいおい!?この店は水も出さねえし、注文を自分で書けだと!?客にあれこれさせるのか!?」


「うちはそうだよ。みんなそうしてるからおねがいね〜」


「ガキに聞いてるんじゃねえ!店長出せや!説教してやる!」


「ママはりょうりつくるのでていっぱいだからムリだよ。これいじょうはほかのおきゃくさんのめいわくだからかえって~!」


「やかましいわ!!このクソガキが!!」


「げふっ!?」


「フー!?」



 俺はテイクアウトでかかりっきりだったから、何かトラブルが起こってたのは把握していた。これが終わったらすぐに駆けつけるつもりだったんだ。しかし···、それが間に合わなかった。


 いちゃもんつけたヤツがフーを思いっきり蹴飛ばした!フーは普段は足腰のみ身体強化してたので、他の場所は普段のままだから、防御力は上げてなかったんだ。


 周囲の客が離れだした!その客に阻まれて、俺はフーに近づけなかった。するとフーは···、



「ガハッ!ゲホッ!···やったね?なら···、フーも、『ほんき』だす!」


「フー!?やめろーー!!」


「ハハハ!クソガキが!ママのおっぱい吸って寝てろ!!」



 次の瞬間!フーの周囲が暴風に包まれた!さらにフーの目が金色に輝き、顔に紋様が出た!トランスしやがった!しかも、魔法を使ってる!?



「な?なんだぁ!?このガキ、変身した!?バ、バケモンかぁ!?」


「···バケモンでもいいよ。バケモンらしくおいだしてやる!!さあ!!でていけーーーー!!」


「な?ゲボォッ!?」



 フーが繰り出した右ストレートぱーんち!がヤツのみぞおちにヒットし、壁を突き破って外に出てしまった···。やっちまった···。


 だが、それだけでは終わらなかった!フーは暴走状態になってしまい、制御不能に陥った!


 魔力が暴走し、さっきまで吹いていた暴風がドンドン冷えていく!凍える吹雪をまとった次は紅蓮の炎の渦になった!このままじゃ店が燃えちまう!!



「ヨウ!!」


「ナツ!?」



 あいつが厨房から飛び出した!そしてフーに無防備で突っ込んでいった!?俺もそれに続いた!あいつだけ危険な目に遭わせられねえ!



「はははははは!」



 フーは感情が抑えられてなかった。自分が持つ力を初めて全開まで引き出し、その力に溺れてるんだ!あいつと俺はフーを抱きしめた!



「フー!気持ちを抑える!もう終わったから!もうだいじょぶだから!」


「フー!これ以上はダメだ!力を抑えろ!」


「おさえる?ははは!もう、どうにもできないよぉ~」


「···なら、強引に抑え込む!ヨウ!フーを抱きしめていて!」


「お前!?何する気だ!?」


「···前にリオパパが幼いリナにやったやり方!ナツの魔力をフーに強引に流し込んで抑え込む!」


「無茶だ!」


「でもやらなきゃフーがもたない!ナツはフーの母親だから!」


「わかった!でもムリするなよ!魔力が足りなかったらアキさんやフユから借りろ!」



 そして、ナツはフーに強引に魔力を押し込んで暴走を抑え込むことになんとか成功した。予想通り、アキさんから魔力を大量に借りたようだった。


 そして、ナツとフーは倒れてしまった···。俺もナツも、全身ズタボロ状態になってしまったぜ···。俺はかろうじて意識はあったけどな。ナツの衰弱がかなり激しい。



「ヨウさん!ナツさん!大丈夫···、じゃないですね!すぐにナツさんとフーちゃんをベッドに!」


「はあっ!はあっ!あ、ああ···」



 あいつをベッドに寝かせ、俺もそこで力尽きてしまった···。

 フーちゃんが誕生した回のあとがきでフーちゃんは歴代最強の潜在能力を持っていると書きましたが、今回その理由が明かされました。結果的にとはいえ、神狼族が討滅された理由である『整調者の力を種族に取り込む』ことがフーちゃんで実現してしまったためなんですね。

 そのためにフーちゃんはコントロール不能なほどの力がもともと備わっていました。今回、怒りがきっかけで全解放されてしまったために大暴走を引き起こしてしまいました。


 今回は2作品からネタを引用させていただきました。一つ目は『···バケモンでもいいよ。バケモンらしくおいだしてやる!!』のセリフですね。こちらはアニメ『魔法少女リリカルなのはA’s』でヴィータがなのはに言ったセリフの返しで『悪魔でもいいよ。悪魔らしくやってみせる』からですね。

 そしてもう一つはフーちゃんの暴走をナツちゃんとヨウくんが抱きしめて抑え込むシーンです。こちらは小説版『無敵王トライゼノン アルマゼノン』において超能力が暴走した雫ちゃんを同じく超能力を持った両親が暴走を抑え込むシーンからですね。こちらの作品ではご両親は後遺症を負ってしまいますが、本作ではそこまでにはなっていません。


 さて次回予告ですが、暴走したフーちゃんを止めることには成功しました。ナツちゃんとヨウくんは目覚めましたが、フーちゃんは目覚めません···。駆け付けたアキくんとリオくんによれば、フーちゃんはどうも長い夢に囚われているようです。そんな状況を聞いたエレくんが、ヨウくんを無理やりフーちゃんの夢の中へ飛ばしてしまいます!果たしてヨウくんはフーちゃんを助けることができるのでしょうか?


 それでは次回をお楽しみに~!

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