ナツ編-17 ちびっ子たち、人気者になる!?
「「「「ありがとうございました〜!」」」」
ちびっ子たちの初日のお仕事が終わった。特にトラブルもなかったぞ。
客からの評判は、思いのほか良かったな。
『ドラゴン族の子どもさんなんて初めてみたぜ!』
『小さい子が頑張ってる姿がカワイイなぁ~!』
『ねえねえ!ちょっとだけ飛んでみせて!すごーい!小さい子でも飛べるのね~!カワイイ〜!』
『ハァハァ···。ド、ドラゴン族のかわい子ちゃん···。フーたんもいいしナツたんもいいし!ここは天国か!?ハァハァ···』
『ハァハァ···。ド、ドラゴン族とフーたんそっくりの男の子···。(ゴクリ!)いいわね···。ぜ、ぜひ握手してほしい!だ、抱きしめたい!ハァハァ···』
···出禁の女が誕生してしまったな。とりあえず出入り禁止を言い渡して追い出したけど、毎度やってくる出禁野郎と同じになるかもな。
ってか!今日は午後も出禁野郎が来てやがった!!フーが追い出してから俺は気づいたんだ!しかも予約してやがったし!?マジでどうなってんだよ!?タダの変態じゃないぞ!?
「おい!バッツ!出禁野郎が来てやがったぞ!気付いてたか!?」
「テイクアウトでかかりっきりでそれどころじゃないんですけど!?予約と席への案内はヨウさんが担当でしょ?」
「そ、そうなんだが···。知らないうちに予約受けてるし、知らないうちに入店してんだよ!」
「確かに気になりますけど、現実逃避せずにこっち手伝って下さいよ!?レジ打ちや案内はフーちゃんがやってくれてるんですから!」
「お、おう···。わかったわ。フー!頼んだぞ!」
「がってんしょうち!」
···どこでそんな言葉覚えたんだ?
まぁ、大きな事はなかったな。というわけで、閉店後に俺たちとちびっ子どもは店内で夕食にすることにした。2階は4人分しか席がないからな。
「よーし!ちびっ子ども!今日はよく頑張ったな!しっかり食べて明日も頑張れよ!」
「「「「はーい!いただきまーす!」」」」
···うん。育ち盛りのドラゴン族と神狼族だから、とんでもない量を食べるんだよ。まぁ、あいつもそれ知ってるから特盛で料理を出したけどな。
「おいし〜い!うちのママもおいしいけど、それいじょうだよ〜!」
「そうだな!やみつき?っていうんだっけか?」
「スウもカークも、あんまりママにいっちゃダメよ!きげんわるくなったらごはんつくってくれなくなるわ!」
「うちはりょうりはパパとママがいっしょにやってるからなぁ~」
「うちはママとばあちゃんがつくってくれるぜ!まぁ、さすがにこのあじはムリだけどな」
そりゃ、店やって予約制なんてやってるからなぁ~。予想通りの感想だな。ルメが言ってた通り、親に言ったら機嫌悪くなるわな。
まぁ、割り切ってもらうしかないよな。あいつからも『···おいしい料理が食べたいなら自分で作ればいい。···ナツはそうした』って言ったぞ。それを聞いたちびっ子たちは料理に興味を持ったようだぞ。
···もしかして、コルやケンたちはそれを狙ってた?···かもしれんなぁ〜。
次の日。
ドラゴン族のちびっ子たちが期間限定で手伝ってるって話がウワサとなったらしく、オープン前だというのに予約希望がいっぱいやって来た!?
「···おい?どうなってんだよ?」
「···ドラゴン族が珍しいんでしょ?」
「それだけでこうなるかよ?」
「···ま、お金払って料理を楽しんでくれるなら何でもいい。···ただし、手を出したら」
「わかってるって。ちゃんと目を光らせておくぜ」
さあ、開店時間だ!
「「「「いらっしゃいませ~!」」」」
まずは先制攻撃だ!入ってきた客は、ちびっ子たちのあいさつとエプロン姿を見て穏やかな顔になったぞ。これは効果は抜群だな!
「ごちゅうもんありがとうございます!しょうしょうおまちください!」
「ちゅうもんはこれでいいな!?まっててくれ!」
「ちゅうもんありがとう!ちょっとまっててね!」
「は〜い。ちゅうもんはこれでいいのね?まっててね〜」
「おうっ!これでいいな!?まっててくれよな!」
ちなみにフーはレジ台で客を案内しつつ、予約を取っていた。さらに分身をしてテイクアウトのオーダーを取っていたわ。さらにさらにちびっ子たちの動きを注視していた。···とんでもなく器用だわ。あいつの血を引いてるだけあるな。
すると、しばらくしてちょっとした動きがあった。フーだ。
「あれ〜?おじさん、パパからでいりきんしっていわれてるでしょ〜?よやくしちゃダメだよ~!かえって~!」
「ハァハァ···、今日はパパじゃなかったから認識阻害が効かなかった!?でも!フーたんがののしってくれたぁ~!し・あ・わ・せぇ~!ハァハァ···」
「もう〜!うしろのおきゃくさんのじゃまだよ〜!···『ほんき』でおこるよ?」
「ハイ!今日は2回もののしってくれたぁ~!ごちそう様でしたぁ〜!ハァハァ···」
やっぱ何かしてると思ったら認識阻害だと!?しかも俺にしか効いてないぞ!?
俺、元整調者だぞ!?そういったものは今でもほぼ無効化できるのに!?
あいつ、タダ者じゃないな···。気をつけないと···、って!俺じゃ太刀打ちできないのか!?これはマズい!
ただ、フーの言う事をちゃんと聞いてるからな。フーから注意させるか?でも喜んでるから、むしろ逆効果か?どうしたらいいんだ!?
「ヨウさん!?ボーっとしてないでテイクアウト捌いて下さいよ!?」
「えっ···!?あ、ああ!悪い!」
後であいつとも相談だな。
店の中ではちびっ子たちは人気者になっていた。
「ドラゴン族って初めてだよ!キミたち、かわいいね〜!」
「えっ!?あ、ありがとうございます···」
「ねえ!ドラゴン族って最強なんでしょ?キミは力が強いの?」
「おれはまほうがつよいぞ〜!ちからはいもうとやおとうとだなー!」
「魔法が得意なんだってね~?うらやましいなぁ~」
「でもたいへんよ〜。あたしやおにいちゃんたちもまりょくおおくて、まだつかいにくいしね~」
「青竜って飛ぶのが上手なんでしょ?」
「そうですね〜。わたしはまだくんれんちゅ〜だけど、パパはすんごいはやいよ〜」
「ハァハァ···。フーたん似のカワイイ男の子···。ね、ねえ?お仕事終わったらおねえさんといいことしない?ハァハァ···」
「は···?なにいってんだ?···って!?はなぢでてるぞ!?だいじょうぶかよ!?」
「ハァハァ···。だ、大丈夫よ···。でも!こうやって心配してくれる顔が猛烈にカ・ワ・イ・イ〜!ハァハァ···」
「あ〜···、はなしきいてないな〜。どうぞごゆっくり?」
···出禁女が入り込んでるな。出禁野郎と違って注文してるとはいえ、ちょっとモンドを見る目が明らかにヤバいな。一応後で記憶消しとくか。あいつの兄貴に知られたら存在を消しに来るだろうからな。
···なんだか雰囲気がいつもの店じゃなくなってね?接待してるような雰囲気っぽいぞ?どうしてこうなった?
このお話でホームステイは終了です。ちびっ子たちの頑張りのおかげでお店は普段以上に繁盛しました。最後のほうはメイド喫茶っぽくなってしまってましたけどね···(笑)。
そしてモンドくんを狙う出禁女が誕生してしまいました!一方のすとーかーさんはなんと『認識阻害』をヨウくんにかけていたことが判明しました!
ヨウくんも言ってますが、整調者は特典として状態異常はほぼ無効化できるようになっています。これはエレくんが整調者引退後に狙われてもある程度は自衛できるようにという考えからなんですね。
ところがすとーかーさんの認識阻害はその無効化を突破してしまうほど強力なものでした!なぜかナツちゃんとフーちゃんには効かないんですけどね。ホント、何者なんでしょう?
さて次回予告ですが、ナツちゃん編前編のラストのお話を3話連続でお届けします。
順調に業績を伸ばしてきた『ハンティング・アイ』ですが、実は裏で営業妨害工作も行われていました。しかし、実際にはその工作はあまり成功していなかったために、ついに実力行使をされてしまいます···。店内で大暴れした迷惑客にフーちゃんが暴行を受けてしまい、それがきっかけでフーちゃんの潜在能力が解放されて大暴走を引き起こしてしまいます!いったいどうなってしまうのでしょうか!?
それでは次回をお楽しみに~!




