ナツ編-14 かぞくでぜいむしょへおでかけ〜
本日も朝と夜に1話ずつ投稿しますよ~!
今日は定休日だ。
いつも定休日は何してるか?と言うと、俺はエイルの農園に行って畑仕事を手伝い、収穫した野菜類を持って帰るんだ。
あいつは仕込みと厨房設備の点検だ。アキさんが点検の仕方を1冊の本にまとめてるので、それを見ながらやってるぜ。
ただ、いかんせん皇国製の試作品が多いからな。故障したら修理にかなりの時間が通常ならかかってしまう。
なんと!そこはアキさんがリオさんと一緒に転移で連れてきてくれるんだ!ちーむッス!であいつがアキさんとパス皇帝に連絡したら、下手すると当日中に駆けつけてしまうんだぜ。とんでもない対応だよな!?
そういうわけで、機器トラブルは何度か発生しているが、営業支障は今のところはないぜ。
フーはモンドと一緒にあいつの兄貴に鍛えられてるんだ。剣術と魔法、それに暗殺術を教えてもらっている。
とんでもない速度で習得してるらしく、もう気配を自力で消せるようになっていた。オレも気づかないぐらいになってるんだぜ!?···マジで娘に負けるのかぁ~。オレも鍛えんとマズい!!
さて、今日の定休日はいつもと違うんだ。前回、あいつが税金申告書を作ってただろ?今日は税務署へ納税に向かうんだ。
先日、俺はフーにあいつと一緒に『出かけてこい!』って言ったんだが、『やっぱりパパもいこう!』って誘われちまったぜ。
まぁ、娘からのお願いだし、俺も行くことにした。家族全員で王都に出かけるのって、よくよく考えたら初めてじゃね?
「···じゃ、行こっか」
「おー!フーたのしみ〜!」
「まずは税務署だな?」
「···ん。早く行かないと混む」
というわけで、俺たちは税務署にやって来た。納税期間は2ヶ月なんだが、俺たちは期間が始まってすぐに行ったんだ。アキさんが言うには『最後の方は混雑が激しいから、早めがいいよ~』って言ってたからな。税務署でも同じ事言われたな。
受付開始時間ちょっと前に着いたら、すでに5人並んでいたぜ。俺たちは6番目だ。
「お待たせしました~。今から受け付けますよ~」
税務署の職員がドアを開けて中に入った。
カウンターは4つあったので、俺たちはちょっとだけ待つな。その間にあいつは提出書類を再度確認していた。
フーは大人しく待っていたが、視線はあちこちを見ていたな。···もしかして、忍び込むのはどうしたらいいか?なんて考えてないだろうな?
カウンターでは税務署の職員と、申告者がモメてたな。これもいつもの光景らしいな。
「あのー、この『大食いコンテスト参加代金』って何ですか?これは経費じゃないでしょ?」
「何を言ってるんだ!?コンテストに出て参加することで店の宣伝になったんだぞ!?経費に決まってるじゃないか!?」
「何位でした?」
「···予選落ちだった」
「予選落ちじゃあ宣伝にならんでしょ。あとはこの『接待費』ですが、領収書に宛名ないですけど?ちなみに誰を接待したんです?」
「オレの行きつけの『◯◯店』のおねえちゃんだ!」
「···それはおたくの趣味であってお店の経費じゃないでしょ?···全部やり直して下さい」
申告に来たヤツはどうもダメだったみたいだな。ゴネてたので両脇を警備員に抱えられて追い出してたな。
「6番の方〜!3番カウンターへどうぞ~!」
おっ!?俺らだな!カウンターへ行って、あいつが書類を出した。
「おっ!?『ハンティング・アイ』さんですか!私も予約して伺いましたよ~。ファンですけど、申告書は手を抜きませんからね~」
「···ん。どうぞ」
「どれどれ〜。············」
職員は真剣な眼差しであいつが作った申告書を確認していたな。3分経って、職員が顔を上げた。
「はい!ナツさん。申告内容はこれで大丈夫ですね。領収書も日付順と費目別に整理されてるので、審査しやすかったですよ~。
···他の人もこれぐらいしてくれたらなぁ~。専門業者でもここまでしてくれないんでね~。
···えっ!?ご自身で作成されたんですか!?この膨大な量を間違えもなしで!?···完璧ですよ」
「···ん。ありがと」
「では、すぐに納税手続きしちゃいますね~。はい!こちらにタッチして下さいね~。はい!ありがとうございました〜!」
これで税金の支払いは完了だな!
「さーて!思ったより早く済んだな。メシ食って帰るか?」
「···まだちょっと早いから、喫茶店に行く?」
「わーい!フー、あそこのみせにいきたい~」
「あそこの店?フー、どこなんだ?」
「···ヨウと初めて行った喫茶店」
「あぁ~、あのわけのわからん長い名前のメニューがあるところか」
というわけで、その喫茶店に行った。ここに来るのも久しぶりだな。
さて、今回は何を頼もうかな?そう思ってると、あいつとフーはメニューを見てなかった。
「···おい?注文するのがもう決まってるのか?」
「···もち」
「フーも!」
「そ、そうか···。じゃ、これでいいか。すいませーん!」
「はーい!ご注文どうぞ~!」
「···ナツはウベルランジアウェイラスイタペクルミリンパラゴミナスノーヴァバンディランデスオウロプレートノーヴォクルゼイロのMを砂糖抜きで」
「じゃあ、フーはベスプレームインドルジフーフオロモウツヨンショーピングカールスクルーナカールスクーガドランメンのえむをミルクとさとうおおめで!」
「···えっ!?次は俺!?え、えーっと···、コーヒーミルクを···、え、Mで」
「はい!ご注文を確認しますね〜!ウベルランジアウェイラスイタペクルミリンパラゴミナスノーヴァバンディランデスオウロプレートノーヴォクルゼイロのMを砂糖抜きと、ベスプレームインドルジフーフオロモウツヨンショーピングカールスクルーナカールスクーガドランメンのMをミルクと砂糖多め、コーヒーミルクのMですね~?」
「···うん、よろしく」
「承りました〜。少々お待ち下さいね~」
「···ってか、フーもすごく長い名前の飲み物を頼むんだな。よく覚えてたな」
「まえにママにつれてきてもらったときにたのんだの〜!おいしかったからおぼえちゃったの〜」
「···フーは意外と口が肥えてるよ。···繊細な味の見分けができる」
「そ、そうなんだ···。まぁ、うちの味を毎日食ってたらそうなるか···。あれっ!?俺はそうでもないけど!?」
「···タダのバカ舌」
「やかましいわ!」
「あはは!パパとママはなかいいね〜!」
「フー!これは仲がいいとは言わない!」
「···ん。ただのいじりだけど真実」
「やかましいわ!」
そんなやり取りをしていたら、注文した飲み物がやって来た!
「おまたせしました~!ウベルランジアウェイラスイタペクルミリンパラゴミナスノーヴァバンディランデスオウロプレートノーヴォクルゼイロのMを砂糖抜きと、ベスプレームインドルジフーフオロモウツヨンショーピングカールスクルーナカールスクーガドランメンのMをミルクと砂糖多め、コーヒーミルクのMです〜。どうぞごゆっくり〜」
「ってか、何だよその飲み物は!?色がドンドン変わってるし、フーのは金色に光ってるじゃねーか!?ミルク入ってるのに!?」
「···うん。この味も久しぶり。···ナツではこの味は出せない」
「パパ〜、これがいいんだよ~!···うん!おいしい〜!」
「そ、そうなのか···。まだオレが世間知らずなだけなのかよ···」
「···新しいメニューにチャレンジも、いい勉強になる」
···だんだんフーにさえ置いてきぼりを食らいそうだなぁ~。
作者は税金対策で某温泉地にふるさと納税しておりまして、毎年確定申告(還付申告)をやって税務署に提出しております。最近はスマホでかんたんに申告できるようになりましたが、初めてふるさと納税をした時は申告書を提出しに税務署に行きました。
ネットで申告書が自動的に作成されるので間違いとかはないんですけど、自営業の方とかは大変でしょうね。そのために税理士さんがいるんですけどね。
ちなみに提出しに行ったらこのお話のように揉めてることはありませんでした。こちらはフィクションですからね!
しかし、異世界もので『税務署』が出てくる作品なんて作者は見たことありませんね···。かなりレアかもしれませんね(笑)!ナツちゃんのお店は高額納税者ランキング飲食店部門トップ10に入ってますし、多少は女王様と繋がりもありますからね。
ちなみによくある冒険者の経費といえば装備なんですけど、こちらは冒険者ギルドに領収書を渡せば控除などギルドにて税金申告代行してくれて、税金は日本と同様に源泉徴収という設定です。···こう書くとギルドってフツーの会社と変わりませんね。まぁ、そのためのギルドなんですけどね。ファンタジー感ねぇな···。高額な装備買って経費にして赤字に見せかけて、その後転売して税金逃れとか考えられそうだなぁ~。
そしてまたまたものすごく長い名前の飲み物を出す喫茶店が登場しました!ナツちゃんとヨウくんの初デートの場所であり、2人の仲が接近した思い出の場所ですね~。
今回の名前はグーグルマップを見ながら、ナツちゃんは南米の地名、フーちゃんは北欧の地名を拝借しております。ブラジルはポルトガル語なんですが、この名前を早口で言ったら舌噛みそうですね···。
家族の会話シーンは書いてて非常にほっこりしましたね。ここまでナツちゃんとヨウくんがいいペアになるとは思いませんでしたよ。
さて次回予告ですが、先日帰省した際にお子さんたちがナツちゃんの店にホームステイして接客を学ぶという事が決まりましたが、ついに実行されます!
まずは事前研修ですね。なんと教官はフーちゃんです!どんな教え方をするんでしょうね~?
次回は本日夜に投稿します。お楽しみに~!




